街を歩く

メロンパン行脚 その3?

あちこちのパン屋に出入りして、変わりメロンパンを探している。いざ探し始めると、意外と変形メロンパンは見つからないものだとわかった。オーソドックスな丸くて表面がカリカリのメロンパンがほとんどだ。変わりメロンパンと言っても、生地を多少変えているくらいで、形状をいじることは少ないらしい。
ところが、渋谷にある高級スーパーで見つけたラグビーボール的なメロンパンは、なかなかの変形振りだった。このスーパーでは日替わりで全国各地から人気のあるパンを集めて、曜日ごとに販売している。だから、行く日によって並んでいるお取り寄せパンは異なる。たまたま火曜日がこのメロンパンの日だったらしい。兵庫県加古川市のパン屋さんが製造しているが、地元神戸ではおなじみのスタイルらしい。

このツルっとした表面は、見栄えに関わらずいつものメロンパン的な味がした。ただ、パンの中に白餡が厚さ1cmくらいで収まっている。普通によく食べるあんぱんのように、中身の半分以上があんで占められているという感じではない。生地の方が圧倒的に優勢だ。
食べると口の中でビスケット生地の甘さと白餡の甘さがミックスされるので、なんとも不思議な甘さになる。これが粒あんやこし餡であれば、食べた切り口が白黒に混じった見栄えになるので、あまり美しくないのかもしれない。見た目を考えての白餡なのだろうか。とにかく初めての味で新鮮な体験だった。
メロン味のクリームを入れたメロンパンは最近よく見かけるが、白餡入りは初めてだし、あんことメロンパンという組み合わせも想像の外にあった。色々なことを考える人がいるものだ。次に神戸に行く機会があれば、何軒かパン屋さんを巡ってみようと思う。白餡入りのパンが、あれこれバリエーションとしてあるのかもしれない。

たまたま、高級スーパーの売り場の近くで、これまた別な高級スーパーのPB商品が置かれていた。その「別の高級スーパー」では、スコーンのような、一般的なパン屋ではあまり販売していない種類が人気のようだ。ただ、スコーンやビスケット(お菓子ではない方)のような口の中の水分を全吸収する食べ物は苦手なので、スコーンの代わりにシナモンロールを買ってみた。
デニッシュのような、ブリオッシュのような柔らかくて甘めの生地と、控えめ甘さの味付けがバランスよく仕上がっている。
よく売られているシナモンロールは、アメリカ的なというか暴力的な甘さのものが多い。たっぷりのアイシング(砂糖でコーティング)で、パンを食べているのか砂糖を食べているのか錯覚するほどの甘さが、シナモンロールの特徴なのかもしれない。それはちょっと苦手というか、食べるのにも勇気と覚悟がいる。だから、こういうシンプルで控えめな甘さのシナモンロールがあると、実にホッとする。
まあ、食べ物の好みは人それぞれなので、誰かに強制するものでもない。自分の好みの味を探し出して、それを楽しめば良いのだ。同じ日に見つけた二軒のスーパーで、これまた全く性格の違うパンを発見して楽しむことができた。お江戸の街の良さは、こんな利便性にあるのかもしれない。
ちなみにこの日は別のパン専門店でクイニーアマンを買っていて、1日では食べきれないから買うのを諦めたパンも何種類かある。多すぎる選択肢は、贅沢な悩みにつながる。これがお江戸のよくないところでもあるのだなあ。

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