街を歩く

恵比寿のロボット食堂

看板は漢字四文字だから、定食屋とか麺屋ではよくありそうな雰囲気がするが、なぜか看板から漂う「テイスト」が海外チックな不思議感がある。どの文字も日本で普通に使われているもので、あの大陸系漢字、読めそうで読めない漢字のむずむず感は全くない。

店頭のメニューボードを見たら、なんとなく以前見たものと違い「普通な麺」が並んでいる。確か前回見た時は、ギョッとするほど尖ったメニューが並んでいたような気がするのだが。
と思って店に入ろうとしたら、入り口に今日からメニューが変わりましたという告知があった。あれこれと考えさせられる。そうか、この店も苦労してるんだな。味の調整に1年近くもかかったのだな。ということが、その告知文からにじみ出てくるような気がした。ちなみに改訂前のメニューはスパイシー系やエスニック系が中心だったような記憶がある。

コロナ時代の開店なので、なんとなくあちこちにコロナ対応が見受けられるが、やはり一番はカウンターの前面にしきられた壁があり。その壁の向こうが、ロボットが麺を調理しているところだろう。ベルトで運ばれるお釜もどきは、茹で上がった麺を入れた鍋だろう。その鍋が、加熱調理をする場所に移動して、ぐるぐると回っている。調理人が鍋を振るように、麺を加熱する道具らしい。お釜が斜めに傾いて状態でクルクル回っているのはなかなかシュールな光景だ。どうせなら、もっとはっきり客に見せれば面白いのになと思う。ロボットの調理を見たいだけで、店に来る客もいるだろうになあ。

とりあえず一番技術がいらないのではと思われるナポリタンにしてみた。味は普通。ロボットだからといって、うまいかマズイとかの差が出にくいものは何かと考え、選んでみた。
喫茶店のナポリタンみたいな濃い?味付けではないが、誰でも納得できるレベルだろう。人間がやっても、これより下手くそな店はたくさんあるし。ただ、味の調整より具材の選択に注意したほうがよさそうだ。もはや赤いウインナーは、食品としては劣化版製品だと思っている。もはや赤いウインナーは、昔懐かし食べ物を愛する、レトロ趣味がある人が味に目を瞑って食べる特殊な嗜好品だと思う。当店では昭和を忠実に再現するなどと言い訳しないと、外食企業として使いにくい原材料だ。
どうも商品開発者は、昔懐かし系の商品を開発する時に、あれこれイメージに引きずられすぎて原材料の味に妥協しているのではないかと疑いたくなる。
少なくとも現役の商品開発担当者(おそらく30-40代と推定)が、赤いウインナーの入ったナポリタンを食べた経験は限りなくゼロに近い気がする。そもそも、赤いウインナーがとてつもなく美味いなどとは、だれも思わないと思うのだが。(確認のためにその後、実食してみた)もし赤いウインナーが万人受けするうまいものであれば、スーパーで赤いウインナーがレアモノになっているはずがない。
今回学んだこと(笑)だが、ロボットは決められた通りの味付けで仕上げるから、料理のうまさはロボットのせいではなく、そのレシピーを仕込んだ人間様にあるのだな。だから調理ロボットを開発する時には、まず最初にレシピー開発する人間の「能力開発」をしなければならない。新しい「ヒト」と「ロボット」の関係が理解できた。作業性では、人はロボットに劣るのだから……………という感想を持ちました。

コメントを残す