
たまたま朝早く渋谷に行くことになった。いつもは大混雑している渋谷駅前、特にハチ公前だが、流石に朝の早い時間は誰もいない。若者が苦手とする時間帯で、高齢者の極楽タイム(笑)だろう。いつもハチ公のま前は通りすぎるだけだったが、 何十年かぶりでマジマジとハチ公を眺めてみた。
やはり犬族としてはなかなか凛々しい顔をしている。映画の主人公になるほどの勇姿だ。人には「イヌ派」と「ネコ派」がいるそうだが、今のイヌ派の主流は小型犬なようで、猫と変わらない大きさのチビワンコが人気らしい。それと比べると、ハチ公は小型犬とはいえ日本犬本来のサイズというか、イヌらしさがある。
ヒト族と最初に暮らし始めた異種はイヌ族らしいが、やはりヒトと共に暮らす生物としては独立の覇気を示してくれる異族として親近感が湧く。あれこれ考えながら5分ほど立ち尽くしていた。
ただ、個人的には忠犬という呼び方より、いなくなった相棒を忘れられないナイスガイ的な呼び方をして欲しいものだと思う。主人と家来の関係ではなかったと思うのだがなあ。

同じ日に、新宿に移動したら、なんと駅前で立体猫動画が映し出されていた。周りの通行人、特に外国人観光客らしき人たちが一斉に写真を撮り始めたので、何があるのかと見渡して発見した。
映画の有名なシーンに、道にいる通行人達が空飛ぶ超人を指さして、あれはなんだ、ざわざわするみたいなものがあった。あの感覚だ。周りにいる人の視線を追うのではなく、スマホの向いている方向を探すというのが現代風だが。
テレビのニュース映像で見ていた、壁面の広告動画をスマホで撮るシーンが目の前にある。普段であれば、フンというだけで何もしない、というか無視するのが常なのだが、今回は恥ずかしながら自分もスマホを出して写真を撮ってしまった。
壁に映る動画の立体感がすごかったせいだ。平らな面に映している画像を立体視させるのは、いわゆる錯視の一種だが、それほど特殊なテクニックではない。古典的な絵画の中にも錯視の呪術は取り込まれている。しかし、動画で見せるというのは、見て初めてわかるびっくり仰天な展開だった。テレビのニュースで映る画像は当然ながら錯視の効果が消えているので、なんでこんなものをみんな写真で撮りたがる、という疑問しか出てこない。
しかし、リアルに見ると明らかにすごいのだ。ただ、自分で撮った写真を見返すと、壁の境目まで目立つ、なんて事のない下手くそな「絵」にしか見えない。見返してまたびっくりするのだから、なかなか手の込んだコンテンツだと言えそうだ。
たまたまだが、この日は動物、それもイヌ族とネコ族についてあれこれ考えさせられた。何やら、おイヌ様、おネコ様のお告げなのかもしれない。どこかの神社にお参りに行ってこようかな。