
常磐線で仙台まで来て、とりあえず早めにホテルに入ることにした。久しぶりの仙台の街はあちこち変わっているはずなので、夕方は仙台街中の散歩をするつもりだったあ。荷物を置いたら晩飯の場所を探しがてらのぶらぶら歩きだ。
予想通りというか、残念ながらというか、何軒かのお店がしまっていた。ビルごとなくなっている店もあった。コロナはまちの姿を変えるというか、破壊したのだ。ちょっと物悲しい仙台の夜だった。

仙台から東北本線を各駅停車で北上すると、最初の乗り換え駅(乗り継ぎ駅)は、小牛田になる。ここから海岸を目指せば気仙沼に着く。前回の各駅停車の旅では気仙沼から小牛田に来た。

小牛田を超えるとすぐに岩手県になる。岩手県内はただただ北上するだけなので、車窓からの景色が変わらない。基本的に山と畑が続く。途中で世界遺産の平泉もあるが、今回は素通りだ。

一関が岩手県の玄関口というか、北上してきた時の乗り換え駅になる。新幹線も止まるので、駅自体は随分と大きい。東北本線では大きい駅の一つだ。ただ、東北本線で最大の駅は仙台駅で、他の駅とは別格の大きさだから、それと比べてはいけない。

一関は、なぜか理由はわからないのだが「黄色いモンスター」にお出迎えされた。スタンプラリーが開催されているらしい。夏休みには子供向けの人気キャラスタンプラリーで乗客ゲットというのは鉄道各社でよく行われている。北東北限定のスタンプラリーのようだ。

ご丁寧に等身大?のモンスターもご挨拶している。子供だったら通り過ぎるのが難しい関所だろう。と思って見ていたら、幼稚園くらいの子供が、この場に立ち止まっていた。祖母らしき年配の女性は諦めたように、何も言わず待っていた。子供連れの家族が何組もいたら、場所取り写真取りで忙しいだろうな。

改札口には古典的なお出迎えのパネルがあった。個人的には、こちらの方が何やらホッとするというか、懐かしいし安心する。

駅正面を見ると最近の近代化改装されたJRの駅とは趣が異なる。やはり懐かしの「観光地の駅」のイメージがある。温泉に行く時には、こういう駅が良いなと思うのは、既に昭和ノスタルジーでしかない。一関で駅弁を買おうかと思ったのだが、駅弁は新幹線の売店で売っているらしい。

ここから盛岡までJR東北本線はつながっている。ただし、今回は目的があって盛岡に直接は向かわず途中下車することにしていた。

途中で降りたのは、あの有名な花巻駅だ。ちょっと前まで花巻といえば宮沢賢治の駅のはずだった。今でも宮沢賢治の記念館を訪れる人も多いだろう。ただ、最近の花巻スターは大リーグで二刀流の大活躍をするベースボールプレイヤーだろう。まだ現役選手だけに、駅に彼の「顔」が登場していないようだが。

花巻からは海岸に向けて乗り換えると釜石に着く。初めは、そのコースを通り海岸沿いの三陸鉄道で北上するつもりだった。ただ、接続が悪く行程上でもう一泊しなければならないようで諦めた。

花巻から盛岡までは短い移動で済む。ちょっと予定が早く終わって駅に戻って見たら快速が発車直前で、あわてて飛び乗った。車内はほとんどが高校生で通学専用車みたいな雰囲気がした。

1時間もかからずに盛岡に着いた。ここがJR東北本線、各駅停車での移動の終着駅になる。盛岡から北は、新幹線が開通した後にJRから分離されて、岩手県部分と青森県部分がそれぞれ私鉄になっている。盛岡駅では乗り換え口はなく、一度駅の外に出て別の入口から乗車するようだ。

盛岡駅は新幹線駅でもあり、北東北では最大規模の駅だろう。駅前広場を延々と工事をしていたが、3年ぶりに着て見ると工事が終わっていた。駅前のホテル建設も完了したようで、工事のフェンスなどはすっかりなくなっていた。

その工事の終わった広場は、どうやらイベントスペースになっているようで、お決まりの記念写真用パネルが置いてあった。さんさ踊りのパネルは、夏の終わりにちょっと悲しいが、この日の気温は30度を超えていたので、まだ夏の終わりというには早い感じもする。

盛岡駅での待ち時間は1時間ほどあった。駅ナカを彷徨い回ってみたが、一番気になったのは山盛りにされた福田パンだった。3年くらい前はこの1/3くらいの品揃えだった。いつの間にかスタンド台が二台、他にもう一面の陳列棚がある、堂々とした盛岡を代表する「土産物」になっていた。確かに福田パンは美味しい。自分の好みで味を選べるのが良いのだが、これだけ並んでいれば一つやふたつはお気に入りのものがあるだろう。

あれこれ迷ってしまい、結局この日は福田パンを買うことにならなかった。もし天気が悪かったら、この福田パンを2種類くらい買って、ホテルで晩飯にしたような気がする。
盛岡の隠れ名物と思っていたが、いつの間にかすっかり表舞台の人気者になっていたのだね。