食べ物レポート

札幌で博多推し サバ三昧

競馬場で暑さに負けて思考能力が低下し、さっさと帰ることにした。軽い熱中症だったような気もする。ボーとしているので会話をする気も起きない。それでも冷房の入っているレストランでしばらく涼んでいたら、どうにか頭が働き始めた。なぜかそこからまっすぐ帰らずに一軒の居酒屋に立ち寄る羽目になった。いまだに理由がわからない。熱中症ボケだったのだと思う。
その店は売り物が鯖という珍しいお店だった。店内で話を聞いてみると、鯖の店というより博多の名物を食べさせる店だとのこと。なるほど、餃子と鯖の意味がわかった。

福岡の鯖といえば、一択で決まる「ゴマ鯖」だ。福岡名物と言われればあれこれ思い出す。明太子やとんこつラーメンなどはもはや全国的知名度がある。ただ、個人的な好みで言えばこいつに限る。全国あちこちに鯖の名所はあるはずだが、このゴマ鯖を博多以外で見かけたことがない。鯖の生食といえば、どこでもしめ鯖になってしまうからだろう。

メニューを見ても「サバ推し」なのは一目瞭然だが、この鯖も石狩湾で獲れたものではなく長崎から仕入れているのだという。店主のこだわりというものだが、凄い執念というか、たかが鯖、されど鯖なのだろう。

しめ鯖は薄く切られたスタイルで、これもちょっと普通のしめ鯖とは違う感じがする。締め加減はたいへんお上手だった。酢で締めるのではなく塩で締める本格的なしめ鯖で、これは確かに美味い。
ちなみに、札幌の回転寿司屋でも自家製しめ鯖を出す店は多いが、やはり酢がきついところが大半で、そこと比べればこちらの仕事のうまさが引き立っている。

鯖ガリは、しめ鯖と生姜の甘酢漬けをあえたもので、日本酒の肴としては申し分ない。自分のうちでやっても美味いが、市販のパック済みのしめ鯖はやはり酢がきついので、これほど上手には作れないだろう。
昔むかし、自分で釣ってきた鯖をしめ鯖にして食べたことがある。あれも美味かったが、やはりプロのお仕事の方がよりうまい気がする。

全開のサバ攻勢に、何か日本酒のおすすめはとたずねたが、予想に反して福岡の酒はないようで、それでは自分のお気に入りにしようと新潟の名酒にした。ただ、この日本酒選択は良くもあり悪くもありで、軽く一杯飲んで帰るという目論みは消え去り、サバを肴にしっかりと飲んでしまった。日中に続いて体を酷使できるほど若くはないのだがなあと反省しながらついつい飲んでしまう。やはり熱中症の高師匠だったのだろう。
次回は、鯖の嵐に巻き込まれず餃子かもつ鍋にしてみよう。

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