
北海道に飛ぶときは、だいたい翼の上の席、つまり景色が見えない席になることが多い。窓から景色が見える前方席は人気があるので、正規料金、それも高いお値段を払う人の専用シートだと思っていた。
見慣れた光景でもあるし、窓際の席にこだわりがあるわけでもないので気にしていなかった。ところが、搭乗直前に座席確認をしてみると前方席がガラガラで、それではと前方窓際、それも右側の席に変更して首都圏空撮でもしてみようかと思った。
撮ったのがこの写真だ。川崎から横浜にかけての工業地帯がはっきりと写っている。海と人工物しかない。東京周辺特有の見渡す限り建物で埋め尽くされた「繁栄の証」というやつだ。

そして、1時間半ほどの飛行の最後で、地平線までほぼほぼ人工物が見当たらない景色という異世界に突入した。おそらく一番基礎的な人工物、道路すら見つけるのが難しい。濃い緑は原生林で、薄い緑は畑か原野か。畑は人工物と呼ぶべきなのだろうが・・・。


流石に北海道とはいえ、住宅密集地はある。それでも、住宅地よりは原生林の面積が遥かに広いのは見ただけでわかる。
どちらに住むのが幸せだろうなどという哲学的命題を悩んでいるわけではない。自分の暮らしで置き換えて考えると、電車で生活できるか、自動車で生活するかの差みたいなものだろう。
北海道で自動車なしで生活すると、交通弱者という言葉が実体験できる。実は大都市圏外で自動車なしで暮らすのは、ストレスが溜まる。もはや街の暮らしは自動車抜きの設計になっていない。医療ですら、自動車なしの住民には冷たいというか対応していない。
まあ、移動も生活も生存も含めて自己責任という、アメリカンなライフスタイルということだ。首都圏で暮らす都市型住人には、相当に不便な社会と感じる。不実な行政と非難するひともいるだろう。飛行機の上で写真を撮っていて気がついたことだ。たまには、窓の外を眺めてみるものだな。
ちなみに、車のナビの推定移動時間の半分でどこにでも辿り着けるというのが、「北海道あるある」なのだよね。