旅をする

高知の日曜市

高知は公道を使った「市」が市内各所で定期的に開催される。その中でも日曜市は中心部を通る主要道路の片側二車線を封鎖して開かれるので、店舗数も多区賑やかだ。高知を舞台にした映画では、アジアンなストリート・マーケット的雰囲気があるとまで言われていた。確かに人通りも多いし、店のおばちゃん達も元気だから、とても賑やかだ。スーパーには並ばないような野菜や果物が売っているのも魅力だろう。

その日曜市の端っこの方は、刃物や古道具店の店頭で露店商売が楽しめる。店の前に置かれた怪しげな物品はまさに掘り出し物とガラクタの混在で、ひとつひとつじっくりと眺めたくなる。そして、ここでしか見られない光景もたくさんある。
骨董道具屋の店頭にあった「刀買います」の看板は、色々と感慨深い。少なくとも今の法律で、刀は武器では無く美術品として登録されている。それを売ろうとすると、なかなかハードルが高い法的手続きが必要だと思うのだが。
家に帰ると土蔵の中に刀がゴロゴロしているようなうちはあまりないだろう。押入れから父親の形見の日本刀が出てきた、というのも想像し難い。そんな品物を「古着買います」的なノリで書いてあるのだから、やはり高知はすごい。ひょっとすると幕末のどさくさの時に、ごっそり刀を仕舞い込んだ庄屋さんみたいな方がいたのかもしれない。しかし、誰に向けて言っているんだろうなあ、と不思議な気分になった。

なんだか古びた帽子が洗濯ものを干すようにブラさがっていた。値段はひとつ300円らしい。衣料品店の倒産品・質流など色々と考えてしまった。
この店はJRで忘れ物として保管されていたものが放出されたあれこれを売っていた。世の中面白い商売があるものだと感心した。しかし、忘れ物であれば仕入れ値は無料ではないかと思うのだが、それを洗濯したり選別したりという手間賃が300円なのか。

日曜市では、多分一番行列ができる店の「いも天」。これは一度食べてみなければ旨さがわからない、高知の隠れ名物だと思う。さつまいもをざっくりと乱切りにして、それに衣をつけて揚げただけだ。衣は甘めだ。例えていえばホットケーキミックスみたいなもので、普通の天ぷらとは違う。揚げたてを売っているので、紙袋に入った「天ぷら」は手で持つのも難しいほどの熱々だ。これをハフハフ言いながら食べる。手が油でベタベタになるが、そんなことを気にしてはいけない。
コロナの最中は嫌がられた歩きながらのつまみぐいも、どうやら復活したみたいだ。

コロナが流行る前は、道の両側に隙間なく屋台というかテントがびっしりと並んでいた。今回確かめてみると1/3くらいが空き家になっている。たまたまこの日は休んでいたのか、あるいはお店の免許を持った方達が廃業してしまったのか、定かではない。あてにしていた高知特有の野菜売りのおばちゃんの店、自家製の布袋など小間物を売っていたおばあちゃんの店も無くなっていた。

隙間が多いせいか思っていたよりあっさりと全部のお店を見終わってしまって、いささか拍子抜けしてしまった。お天気のせいもあるが客が少ないようだった。特に観光客が全然いない。年内にはなんとか昔の賑わいを復活して欲しいものだなあ。日曜位置を冷やかして回った後は、ひろめ市場で一休み。

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