
弁当というか「変形どんぶり」というべきか、どちらにしてもすっかり好みになったご飯たっぷりの高菜弁当。そもそもホカ弁とは、あつあつのご飯を食べるためにおかずが添え物的にあるというもの、ご飯が主体でおかずはおまけ(笑)。白飯優先の食べ物だと思っている。
ホカ弁=ドカベンだと信じているので、ご飯少なめで、栄養バランスよくちまちまとした幕の内弁当みたいなものは、ホカ弁界では人気がないのではと勝手に思っていた。ところがぼうっとメニューを眺めていると「おかず単品販売」という文字がある。アレレという疑問を感じてしまった。ご飯なしのホカ弁って、なんだよそれという気分だ。

善意に解釈すれば、追加おかずという大食らいに親切な対応だろうか。のり弁だけでは足りずに、鳥唐揚げ単品を頼むという感じだ。まあ、のり弁に鳥から弁当というW弁当を頼む強者もいるには違いないが、おかず追加はガツンと食いたい客からは普通にありそうだ。ただ、そこでも湧き上がる追加の疑問が、丼の頭だけ、つまりカツ丼の上だけに相当する、「カツ卵とじ煮」なる存在だった。いや、弁当のおかず単品はありだとして、丼の上だけって・・・。
老舗の蕎麦屋に行けば天ぷらそばの蕎麦抜きを注文できる。天ぷらを肴にちびちびと日本酒を飲む。それもそばつゆに浸かりちょっとぶよっとしてきた衣を剥がして肴にする。確かに、こういう食べ物がある。そして、うまい。ただし、蕎麦屋で頼む蕎麦でない方という「裏的」存在だ。
居酒屋でもたまに「カツ玉子とじ」みたいなメニューがあり、確かにあれで飲むビールはうまい。だからカツ丼の頭が単品としてまずいはずはない。仙台にあるお気に入りの居酒屋ではカツカレーの飯抜きがメニューに存在する。これはまさしく絶品で、ハイボールとの相性が最高だ。

牛丼の飯抜きは牛皿として存在している。牛皿を牛丼(並)と合わせて注文して、牛皿を全部そのまま牛丼(並)の上に乗せる。頭特盛の上をいくスーパー牛丼をセルフで完成させることができる。この食べ方は牛丼のプロ級レシピーだと信じている。(ただし、価格は倍になる高額、高級牛丼だが)
これと同じで、カツ丼を頼み、その上にカツ卵とじ追加というスーパーカツ丼を食べたい人もいるかもしれないが・・・。ご飯に合わせてちょっと甘辛く煮付けたトンカツは、酒の肴としてはうまい。この上に冷蔵庫の中に入っている紅生姜でもふりかければ、また一段とうまくなるだろうとは思う。味が濃いめなので、冷えた吟醸酒あたりが合いそうだ。フルボディーの赤ワインも良いかもしれない。
昨今流行りのアレンジメニューというより「ヌキ」メニューだから、手抜き感は半端がない。が、ゴテゴテと飾り立てるより、いらないものをどんどん「抜いていく」断捨離メニューの方がご時世にあっているか・・・。などとつまらぬ妄想をめぐらしながらお庭で昼酒にしようと思ったのでありますよ。