書評・映像評

創竜伝 ラス前らしい 田中芳樹の良心

表紙 by Amazon

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未完の大作だらけだった田中芳樹の放りっぱなし作家ぶりが(笑)が、ここ数年実に勤勉になったと感心し、ありがたいことと感謝している。

放置していた作品は記憶にある限り以下の通り
タイタニア  88年に第一部、91年に第3部、その後22年ぶりの2013年に第4部を刊行し完結
完結まで25年

アルスラーン戦記 86年第1巻、99年に第10巻、そこからその後6年空けて再開し2005年第11巻
2008年13巻、またしばらく休み14年に第14巻、17年に第17巻で完結
完結まで31年

創竜伝 第一巻は87年、2003年に第13巻が出た後、19年に16年ぶりで第14巻が出て、来年には最終巻刊行予定(希望)らしい。完結まで33年かかることになる。

世の中に未完の大作と言われる作品は多いが、一人でこれだけ未完作品を長期に抱えている作家も珍しい。

タイタニアは超未来の星間帝国の話だし、アルスラーン戦記は中世ペルシアが想定世界なので、時間がかかっても世界の変容はないのだが、創竜伝は現代テーマなので、33年も経つと色々と不都合が生じる。ダメダメな政治家はいつの時代にもいるので、そいつを揶揄するのは問題なかった。ダメな総理大臣はいくらでもおかわりが聞いたからだ。
ところが作品世界を彩る小道具が困った状況になっている。刊行当時の87年世界は、まだ携帯電話が本格的に普及する前で、ポケベルがまだ全盛だった頃。それが最近巻ではスマホにインターネットが世界を構成する重要小道具になっている。学識高い人にものを聞くより、スマホで検索する方が早いし説得力もある。国際社会も大変動しているから、なかなか整合の取れない作品世界となってしまった。まあ、それはご愛嬌として、我慢できる。最大の問題は4人の主人公の動きが悪くなってしまった。つまり、書き手であるところの田中芳樹が高齢化して、ドタバタが書けなくなっているという疑惑だ。やはり書き手は若いうちでなければ、活劇ものを描くのが難しいようだなと思う。
どうも最終巻は月に入って怪獣大決戦的な話になるようなので、それであればなんとか書ききれるかなとは思うが。
アルスラーンの終わり方のあっけなさ、タイタニアのバッサリ具合を思い起こせば、四兄弟が昇天して終わりというのもありえない話ではない。(昇天とは文字通り神の世界に戻るという意味で)

「おまけとして」
どうやら長編多作型の作家に未完作品が多いようだ
記憶にある未完作品をご披露すると、
半村良 「太陽の世界」 全80巻の触れ込みで書き始め20巻で放置された。
妖星伝は15年間を開けて最終巻が出た。

平井和正 「幻魔大戦」「真幻魔大戦」はちょっと微妙だが「青年ウルフガイシリーズ」は終りが見えないまま放置。

小松左京 「日本沈没」の続編は谷甲州により完結したが「虚無回廊」は未完。

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