うまい鮨勘は、本当にうまい
仙台では有名なリーズナブルすし屋の鮨勘で、好きなものだけ食べるという贅沢をする。板前さんオススメの握りよりはるかに値がはるのだが、たまにはいいものだ。好みのネタというと、イカ・タコ・アワビという頭足類グループ、サバ・アジなどの青魚グループ、そしてシャコにとどめをさす。北海道だと秋と春の旬が二回あるシャコだが、なぜか東北仙台ではほぼ年中無休で食べられる。海水温の違いか、漁法の違いかはよくわからない。が、ありがたい。おまけに、オスとメスの選択ありで、値段はメスがちょっとだけ高い。海棲生物でも女性上位なのだ。

一般的な人気のネタ、マグロやアオリイカ、タイやヒラメなどの白身はあまり注文しない。だが、アワビとシャコだけ10巻みたいな注文であればしてみたい。(シュワルツェネッガーが来日した時はアワビを40巻注文すると聞いて、それは是非真似をしてみたいと思ったことがある。)
仙台は三陸沖が暖流と寒流の境目なので、暖流魚(カツオとかアジね)が食べられる。仙台以北ではアジが獲れないのだろうか。アジ料理は食べられないし、珍しい。朝ごはんの焼き魚はアジの開きではなく、塩鮭になる。個人的にアジの北限は仙台と理解している。
さて、アジのなめろうだが、これは千葉あたりでしか食べないものと決めつけていた。ところが鮨勘ではどうやら名物という扱いになっている。これも自分好みの仕上がりで、おまけにすぐに出てくるのが良い。なめろうをちびちびやりながら、鮨のラインナップを考えるというのが実に楽しみだ。
味は薄い味噌味だと思う。梅ソースをちょいとつけて食べるのも良い。

おはぎといえば秋保
仙台名物といえば(牛タンと短絡的に考えないとすると)、やはり秋保温泉のおはぎではないか。朝からおはぎの大量買の客が押し寄せ、第3駐車場まである人気ぶりだ。店内はおはぎを大量に抱える客で溢れていた。一人が10パック、20パックという大量買なので、おはぎの陳列棚の前は一方通行になっている。おまけに駐車場のガードマンは愛想が悪く横柄で、ちょいとイラっとするが、これも1個100円ちょっとのおはぎのためかと思うと笑ってしまう。

おはぎは何種類かあるのだが、やはり定番のあんことゴマがよろしいと思う。一個ずつ売っていれば全種類買うという「大人買い」もありなのだが、最低販売単位は2個。二種類買うと4個食べなければならない。そして、このさいちのおはぎは、お母さんの手作りが自慢なので大きく重たい。賞味期限は一日、4個完食はほぼ無理だ。

おはぎ以外にも手作り惣菜を売っていて、これが東北仙台の家庭料理というラインアップで購買意欲を掻き立てられるが、おはぎを買ったらもう胃袋に余裕がない。秋保温泉にのんびり遊びに来て、夜食にちょっととか、帰りがけにお土産を兼ねてとかいった買い方であればもう少し選択肢もあるが。所詮出張の途中での立ち寄りだから購入量制限付きは仕方がない。
おはぎの味は、素朴なうまさというべきだろう。甘みは控えめで中のご飯はたっぷり、ぎっちり。いわゆるお彼岸に売っている菓子屋のおはぎとは随分違う。なんというか、甘みとしてのおはぎではなく主食としてのおはぎという言い方があっていると思う。

仙台に行ったら、車で小一時間のドライブで秋保温泉。これからの季節は紅葉を愛でながらの「おはぎドライブ」もいいかもしれない。
市内に戻って一杯やるなら鮨勘本店で。そろそろさんまと牡蠣の季節だ。