食べ物レポート

川越の最中

最中の話の続きだ。福蔵は、ある意味プレミアムな最中だ。だから当然レギュラークラスのモナカが存在する。ところが、プレミアムとレギュラーはあまり値段が変わらないので、ついつい福蔵の方に手が伸びてしまう。しかし、レギューラーにはレギュラーの良さがある。

実に普通らしい包装に包まれている。うっすらと見えているイラストは、なんだか単純な模様に見えるが、これが現地人であれば一目瞭然、川越の街並みのシンボル「時の鐘」だ。NHKの朝ドラに出ていた頃は、川越にも「時の鐘」を見に来る観光客が群れていた。その観光客が増えたことで、街並みの改装が続き、より小江戸感がました。その活躍の中心が時の鐘だ。

最中の中身は、この通りの時の鐘を模したものだ。福蔵と比べると少し小ぶりで、塔の形をしているから、どこから食べようかちょっとだけ悩む。たい焼きを尻尾から食べるか頭から食べるかと悩む感覚と同じようなことだ。こちらは中にあんこしか入っていないので、食感の変化を楽しむということはない。単純にあんこと最中の皮のミックス具合を楽しむだけだが、これが最中の正統派と言えなくもない。だから、こちらのレギュラー最中は食べるのになんの理由もいらない。その分、ありがたみも薄いが、所詮最中を食べるのだから、何やら勿体をつけても仕方がない。そういう意味で、まさにレギュラー最中なのだ。

最近ではザッハトルテよりも最中の方がすっかり好みになってしまったが、ザッハトルテを買うには新宿伊勢丹まで行かなければいけないというのが原因のような気もする。コロナのせいで、都内に出没するのに抵抗があるからだ。少なくとも年間で何個かザッハトルテの売り上げは落ちているのは事実だ。次にお仕事で都内に行く時には、デメルによって敵討ちとしよう。

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和菓子の話

川越には文化がある。やはりお殿様がいた町なのだ。お殿様のいた町だから老舗の和菓子屋があると言うのは真実かどうかは知らないが、川越には有名な和菓子屋が二軒ある。おそらくどちらの店も謂れはあると思うが、それもよくは知らない。ただ、二軒とも最中が有名だ。

この福造というもなかが、全国的に有名なのかどうかはわからないが、自分の中では最中界の最上級であるように思っている。東京には銀座の空也、吉祥寺の小ざさをはじめとして、最中の有名店はたくさんある。しかし、個人的にはどこの最中よりも、この「福蔵」が好みだ。四角い最中で中にはぎっしりと餡が詰まっている。餡は甘めだが、そのあんこの真ん中に福餅という餅が入っている。この餅のねっとり感が好きなのだ。お値段も手頃だし、バラ売りもしている。何かめげてしまいそうなことがあると、この最中を一つだけ買い、一気に貪り食う。大体それでなんとかなるほどの単純な人生を送ってきた。普段から甘い物を大量に食べる習慣もなく、人生の辛さに項垂れることがやたらあるわけでもない。だから、福藏にお世話になるのは、せいぜい一年に一個とか2個という頻度だ。最中一個で回復するような落ち込など大したこともない。そのはずなのだが、最近はどうにもこの最中を食べたくて仕方がない。落ち込んでいるからではなく、腹が立つかららしい。何より、コロナで右往左往するおバカな政治屋たちに腹が立つので、つい最中を食べてしまう。

どうやら怒りを鎮めるには、甘いものであればなんでも良いということではないようで、かりんとうは役に立たず、ショートケーキ系も効き目が薄い。ちょっとお高いチョコレートは若干効果アリだった。和菓子ではどら焼きとか饅頭も効果なしで、カステラも不発。圧倒的な破壊力というか鎮静力があるのが最中だ。理由はわからない。ただ、家から歩いてすぐのところに、この最中が売っているのはありがたいことだ。甘いものの食べ過ぎは控えなければいけない歳だが、どうにも最近はこの最中に引き寄せられてしまう。怒りの感情に負けて寿命を縮めるか、甘い最中の食べ過ぎで体調を崩すか。人生の重大な別れ道に差し掛かってしまったようだ。