一度テレビ番組で釜飯工場の内部が放映されたのを見たが、この土釜で炊き上げているのではないようだった。大きなチューブでニュイーっと炊き上げられた味付き飯が釜の中に押し出されていき、その上にトッピングが順番に乗せられていく。その光景を見て、ヘーっと思ったがよく考えると一つずつ炊き上げていたら、いったいどれだけ長いラインが必要になることか……… でありながら、やはり釜の蓋から吹きこぼれる・・・みたいな絵柄を想像していたので、ちょっと残念な気持ちになった。 Do it myself の精神で、土釜で炊き上げる飯については自作することにしている。焚き火で炊き上げると、土釜の縁から吹きこぼれた出し汁が黒く焦げ付く。それが、まさに炊き上げた感を漂わせるのだ。 ただ、食べたあと焦げついた焼き跡を洗うのは相当に手間がかかるのだが。美味いものを食べる代償は労力で支払わなければならないということだ。 実は、この釜飯についてくる小さな漬物セットが大好物で、自作の釜飯の時にはその漬物セットがないのが実に残念の極みだ。わさび漬けに小梅と野沢菜という組み合わせは至高のサイドアイテムであり、駅弁業界の至宝だろう。 新年になれば新宿の百貨店で恒例の駅弁大会が開かれる。そこでまた釜飯を買い込むことになりそうだ。