食べ物レポート

居酒屋とちょい飲みと

居酒屋はチェーン店が大苦戦をしているが、若者が酒を飲まなくなったことが原因だと言われている。確かに、昔のように気がつけば終電というような深酒をすることは減ったと思う。首都圏では東日本震災以降、確かに電車が止まることへの恐怖からか、夜からの時間シフトが起こっているの現実だろう。
ただ外的要因だけではないと思う。居酒屋のメニュー開発が足りないというのも現実だ。そもそも居酒屋とは凝った料理を出す業態ではない。手軽にチャチャっと飲んで食べてが基本のコンセプトだから、ガツンと肉が食いたいとか、野菜たっぷりでヘルシーなどという概念からは程遠い業態だった。しかし、それをよしとする客層は今や50代以降しかいないだろう。
とりあえずノンガーボだ、糖質フリーだ、高タンパク低脂肪だなどと、メニューの良し悪しではなく、素材の(それも物性的な)機能を求める時代に、見合ったメニューを開発していない。少しは回転寿司チェーンの貪欲さを見習うべきだろう。今や、回転寿司では主力メニューがラーメンやうどんになり、寿司のシャリにカレーをかけたものがヒットする時代だ。回転レーンで回っているのはデザートが一番多いし、人気のネタは魚ではなくコーンだったり、カルビだったりする。

養老乃瀧でサーロインステーキ

さて、おそらく日本でいちばん古い居酒屋チェーン「養老乃瀧」は、経営者が変わった以降、相次いで低価格業態の一軒目酒場を急展開しつつ、従来型店舗のメニューを大胆にいじくり回している。その典型が鉄板サーロインステーキだろう。ただし、ステーキと言うには厚みが足りない肉、ステーキソースも照り焼き系の甘めという、本格ステーキと言うよりは厚目の焼肉といった方が良いと思うが、これが酒(決してワインではない)とよく合う。サワーやホッピー、ハイボールなどの炭酸割りもの系の酒とは相性が良いだろう。こうしたメニュ開発が大事だ。要は大人のファミリーレストラン的な要素を強めることで、居酒屋はメニューコンセプトを変えるべきなのだと思う。

日高屋で三種盛り

一方、ラーメン屋のちょい飲みの成功例として「日高屋」がある。もともと街の中華料理屋を居酒屋がわりに使う層はいたのだから、そこを正面突破すると言うのは正しい発想だ。昼に混み合うラーメン店や蕎麦屋も夜にはガラガラという例が多い。蕎麦屋が店主入魂の和食コースみたいな方へ進化するのはよく見る例だが、お手軽居酒屋を目指す方が確率は高そうだ。ラーメン屋では間違いなく、ビールと餃子とラーメンで1000円みたいなお手軽さがいちばん受け入れやすいだろう。今では、王将もその方向に向かっている。ストイックに昼でも夜でもラーメンというのは流行らない、というかビジネス的に柔軟性が足りないというものだ。
日高屋でおつまみ3点盛りとホッピーを頼むと1000円でお釣りが来る。ちょい飲み需要とはそういうものだ。
そういえば最近、日高屋でラーメン食べたことないな。

串鳥 新生姜の豚肉巻き

ちょい飲みを居酒屋サイドで実現したのが、「串鳥」で、メニューのバラエティーが立派だ。焼き鳥以外にも、モツまで手を広げ、串焼きやというのが正しい。焼き鳥屋の代表格、全国を席巻する鳥貴族だが、いまだに札幌に出現していないのは串鳥対策ができていないからだろう。鳥貴族はメニューを絞り込み店内加工率を上げている。串鳥は店内加工を排除してメニュー幅を広げている。まったく方向性の違う二つのチェーンだが、共通しているのはどちらも安い、ちょい飲み志向のコンセプトということだ。そこそこ飲んで食べて2000円でお釣りが来る。串鳥は仙台、そして東京一部にまで広げているが、首都圏出店を本格的に拡大すればあちこちで鳥貴族vs串鳥の戦争が見られそうだが。

男山直営 金富士でガツ

そして居酒屋本業でもちょい飲み対応の店は人気で、6時を過ぎると入れないのが当たり前の札幌ススキノの酒蔵直営店金富士。ススキノには札幌の酒造メーカーの盟主「千歳鶴」の直営店もあるが、そちらはちょっとお高い路線で居酒屋というより割烹的な店だ。料理もいわゆる海鮮を中心とした和食で接待づかいもできる。一方、金富士は串焼き、それももつ焼きを中心に実にお安い。確かにこれこそ1000円でベロベロ、千ベロの元祖みたいな店だ。安くても客数が多いので、串焼きの鮮度もよろしい。ガツのぐにゃぐにゃした串を噛みしめながら、熱燗徳利で男山をちびちびと飲むのは、これからの季節にはありがたい。


八代亜紀の世界だなあ。

食べ物レポート

美味しいビアホール 恵比寿で遊ぶ

恵比寿の町にはとても長い間通っていた。今のようにすっかりおしゃれになる前の恵比寿は、山手の下町などと言われてそれなりに不便な町だった。
駅ビルができるまでは、まともな本屋もなかった。マクドナルドと吉野家もなかった東京の僻地。それが今では住みたい町ランキングで上位になるとは。

ヨナヨナビールでダッッチオーブンご飯

そんな恵比寿でもおしゃれ系の店は意外と少ない。イタリアンの小ぶりな店は多いので、そこは評価したいが、もう少し賑やかに呑みたいとなるとガーデンプレイスのサッポロビール直営ビアホールくらいしかない。そのサッポロビールの本拠地に乗り込んできたのが、ヨナヨナエールの公式店で、ここはそれはおしゃれなお店だった。

ヨナヨナエールは地ビールのハシリで、たまには旅先で飲むくらいだったが、今や世の中すっかりクラフトビールブームで、「生」「ドラフト」が飲めるとはありがたい時代になったものだ。そして、ヨナヨナエールを飲みながらいただくのが、ダッチオーブンで炊き上げたご飯。ダッチオーブンといっても鋳物の鉄鍋に変わりはないので、単純にいえば鉄鍋ご飯だが、これは土鍋とは違ったうまさだ。気分的にはパエリアと炊き込みご飯の中間くらい。米の飯が料理に変わり、ビールによく会うのは驚きだったが、鮨食いながら日本酒飲むのと同じことだ。しみじみ旨いと思う。世の中、ノンカーボと言われる中、炭水化物でアルコールというのは、全く逆風だが、美味いものはうまいな。

恵比寿アトレ のライオンで クリーミートップ

恵比寿はサッポロビールというかエビスビール発祥の地。そもそも恵比寿という地名はエビスビール工場があるから着いた名前で、地名がビールの名前になったわけではない。その恵比寿の地にあるアトレ(駅ビル)レストラン街に銀座ライオンがある。この店、ビールもうまいがランチもうまい。サラリーマンの昼食ラッシュが終わったあたりを見計らい、ランチしながらビールを飲む。これは小さな悪徳だが、それはそれは楽しい。
昼時にちびちびやるには黒ビール、スタウトがよろしい。

ランチセットで付いてくるサラダがちょうど良い

ランチセットを頼むと、サラダがついてくるが、この程度の野菜をビールのあてにするのは正しいと思う。昼下がりのビールで、罪悪感を感じながらのビール、まさに背徳の極みだ。

ビフカツビール

そして一杯だけでやめておこうと思ったビールだが、ついおかわりをしてしまうのは、この日のランチがビーフカツだったせい。あっさり目のデミグラ風ソースがかかったアツアツのビフカツをハフハフ言いながら口に入れ、冷たいエビスビールで流し込む。まさに恵比寿の昼はこうしてプチ・ゴージャスに過ごすのがよろしいかと。

新宿や渋谷などの超繁華街では味わえない静かな昼下がり。ありがたいことだね。

食べ物レポート

仙台で魚 好きなものを独り占めの快感

仙台は後背地に気仙沼、石巻などの漁港を抱えているので、魚を食べるには良い町だ。北と南の魚が両方集まる三陸沖で獲れる魚種は多い。マグロやアジなどの南方系の魚と鮭やサンマなどの北方系の魚が同時に出回っている。仙台朝市で魚屋を見て回ると、それがよくわかる。

1 マグロがうまい

仙台はマグロがうまい。というと不思議な気もするが、どこの居酒屋に行っても本マグロが売り物になっていて、値段は東京の半額以下であることが多い。カツオも概ね東京よりはうまい。南から泳いできたカツオが高知沖、静岡沖、千葉沖とだんだん大きく成長してきて三陸沖でUターンするのだから、仙台の初鰹は脂の乗ったモチっとした味がする。ただし、店によって当たり外れが大きいので、無難に頼みたければマグロの方が良いと思う。

マグロもカツオも甲乙付け難い

2 白身魚もうまい

白身の魚を一匹捌いてもらう。脂の乗ったうまい魚だが、煮付けにするよりは刺身が良いだろう。これを一人で一気に食べる。1000円程度でこれが注文できるのだから、やはり仙台は魚好きには天国みたいな町だ。肝を醤油で溶いて食べると、また別物になる。個人的な意見だが、タイやヒラメよりこちらがうまいと思う。

目があうとちょっとかわ3いそうに・・

3 頭もうまい

日によって変わるカブト煮もうまい。ただ、皿が出てきてギョッとする。このような絵面は初めてだ。かこれだけの魚を独り占めして、しめてみれば2000円とちょっと。仙台は魚好きには本当に良い町だ。ぶとの開き?と言えば良いのか。そもそも頭の両面が兜煮で出てくることはあまりないのではないかと、記憶を辿るが思い当たらない。それでも一度箸をつければ、止まらなくなる。濃いめの甘辛い醤油で味付けされた煮魚で、特に脳天のあたりの肉は旨味たっぷりだ。頰肉も旨いが、やはり脳天が一番よさそうだ。骨だけ残しきれいに完食。

かぶとは骨の髄まで食べよう

これだけの魚を独り占めして、しめてみれば2000円とちょっと。
仙台は魚好きには本当に良い町だ。

食べ物レポート

B級でもうまいもの?

B級グルメ 行脚はしんどい・・・

よく言われるB級グルメとはどのようなものか。個人的見解として述べると以下の三つの条件があるのではと。
●店が大きくない、立派でない、きれいではない
●材料が、特上のものではない
●調理法や味付けがいささか変わっている。
逆にA級と言われるレストランはこの反対で、店がきれいで大きくて立派、材料は吟味された高級食材、伝統を重んじた優れた料理法。
B級とはA級の裏返し、あるいは条件のスペックダウンと思えばいいのだ。

この点でいえば、ファミリーレストランのメニューはB級とは言えない。条件1「店が大きい」に抵触する。しかし、本来美味しいものが不味くなるという不思議な現象が起きると、ファミレスメニューであっても条件3 「味付けがいささか変わっている」に該当するようになる。(嫌味ですよ、もちろん)

ただし、これはB級であってもグルメとは言えないかもしれない。まずいの一言で切り捨てるのもかわいそうだなあということでのB級認定だ。

これははずれという場合もある ファミレスでは多い

今年の夏は暑かったせいか、あちこちで酸辣湯麺が夏メニューとして取り上げられていたが、どこの商品も出来が悪く、酸っぱくもなければ辛くもなく、おまけにスープの味が薄いという三拍子揃った怪作ばかりだった。その中では、辛だけはなんとかクリアしていたのがジョナサンの酸辣湯麺。ドバッとラー油をケチらずに入れただけのことだが。見た目は辛そう、そしてスープはそこそこ辛かった。麺はくっついて団子状、スープは味が薄い。それでもラーメン専門店の幸楽苑のものよりはマシだったのでB級認定。幸楽苑はランク外だ。というか、幸楽苑のそれは、金返せレベルだったので、比較しても意味がないかもしれない。そもそもファミリーレストランのメニューで、鍋をあおってスープをいじくり回さなければならない中華系麺はオペレーション的に無理ではないのか?

ジョナサン 酸辣湯麺

町の洋食屋はあたりが多い だから生き残っている

これは所沢にある洋食屋「キッチンサン」のランチセット、ハンバーグに豚天ぷらがついてお得な600円(だったと思う。他の料理は単品で頼めるが、この豚天ぷらだけはセットにしかつかないみたいだ。まさに豚肉薄切りの天ぷらなのだが、それにかかっているソース(トマト味)が微妙に豚肉にあっている。この店の一押しは豚天ぷら。残念ながらナポリタンはお勧めできないが、オムライスはまずま

キッチンサン ハンバーグと豚てん

立ち食い蕎麦は、一点豪華主義で攻める

仙台の立ち食い蕎麦チェーン店である蕎麦の神田で、冷やしそば・イカ天のせが好みだ。ここの蕎麦は立ち食いそばでは珍しく十割蕎麦で、蕎麦はうまいが、つゆがちょっと弱い。というか、東北の蕎麦屋は全体的につゆが甘めで大人しい。お江戸のそばとは違うのだが、これは東北ローカルのお約束なのだろう。ちなみに北海道の蕎麦屋は、昆布だし強めのお江戸風辛口つゆが多い。そばの地域さというのは意外とあるのだね。

立ち食い蕎麦ではかき揚げが名物ということが多いが、ここではかき揚げよりイカ天がおすすめだ。天ぷらの衣がつゆを吸って柔らかくふやけていくのを食べるのが良い。そばを茹で置きしないので、麺はスッキリしている。東京にはない、仙台の立ち食い蕎麦の良さだ。

神田そば イカげそ天

日本全国あちこちで、色々とローカルメニュー試してみるが、結構ハズレを引くことが多い。外食はいつもギャンブルなのだね。

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米沢で蕎麦を食らう

ホームで駅弁売店は、もはや文化遺産

米沢の駅前で新幹線を降りると目の前が駅弁の売店だった。山形方面に向かうホームなので、山形や新庄に行く人が米沢で駅弁買うかなと思ったが、それは勘違いだった。米沢駅1番線ホームは、新幹線が上下線とも止まるので、東京行き上りの乗り込みもある。ということで2軒並んでいる弁当屋の競合体制も納得できる。奥の売店は、駅弁市場では超がつくほど有名な「牛肉どまんなか」を販売中。

駅を出てコンコースを歩くといきなり登場した前田慶次殿、なぜ米沢でと再び疑問符が三つくらい出てきた。どうやら前田慶次はこの地に最後は居ついていたらしい。戦国バサラの勇姿が最後は米沢まで来ていたとは。

さて、山形のそばといえば、板そばと冷たい肉そばになる。蕎麦の名産地だから、どちらもうまい山形名物と言えるだろう。「冷たい肉そば」は、山形県北部河北町あたりが発祥・本場で、山形県南部の米沢では見当たらないと思っていたが、しっかりと田んぼの真ん中の一軒家そばで登場してきた。さすが、そば王国山形。

実は、そばではなく「龍上海」の辛味噌の乗ったラーメンを食べようと車を走らせていて、途中で見かけた蕎麦屋にフラフラ入ってしまったというのが本当のところだった。しかし、旅の途中の直感はたまには良い仕事をしてくれる。昼時を過ぎていたが、店内はほぼ満席だった。

メニューの写真を撮る気になったのは、見ての通りのシンプルさだからだ。肉そばと肉中華とは、スープが鳥の出汁の強い透明感のある山形独特のものをつかい、麺が中華麺か日本蕎麦かの違い。あとはスープが冷たいか暖かいかは選択できる。冷たい肉そばか温かい肉そばかということだ。普通のざるそばもあるが、周りを見てもみんな食べているのは丼に入った蕎麦のようで、圧倒的な肉そば推しだった。

山形のそばは太めでもちっと歯応えがある。もう一つの山形名物「板そば」なども、スルッとすするのではなく、もぐもぐ噛み締める蕎麦だ。肉蕎麦も同様で、濃い出汁の効いたスープが絡んだ硬めの麺を噛み飲み込む。トッピングで乗っているのが親鳥の肉で、これも日頃食べ慣れたブロイラーの柔らかさとは違う。ガッチリ噛み締めて、歯応えと肉の味を確かめるように食べる。麺を大盛りにする客が多い、というかデフォルトは大盛りなのだそうだ。しかし、ここでは鳥中華のために胃袋のスペース確保をしなければならない。

鳥そばは冷たいのを注文したが、鳥中華は暖かいものにした。スープはちょっと違うような気がしたが、麺の違いが味の差としては大きい。鳥トッピングは同じようなものだが、なんと言っても蕎麦と小麦の差がはっきりわかる。山形県のラーメン消費が多いという原因は、この蕎麦屋で食べる中華そばのせいなのだろう。ただ、ラーメンはローカルルールの塊なのでなんとも言えないが、この鳥中華はラーメンとは似て非なる食べ物ではないか。あえて強弁するとすれば、豚骨ラーメンとちゃんぽんのような違いというか、限りなくラーメンに近い何か違うものという感じだ。蕎麦つゆにラーメンの麺を入れて食べる地域もあるのだから、この鳥中華くらいはラーメンの振れ幅のうちという考え方もあるが。ただし、これはこれで好みの食べ物で、また食べてみたいとは思う。

山形の麺文化は奥が深いなあ。

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名古屋でモーニング

朝食は喫茶店という文化は素晴らしい

名古屋で喫茶店に行くと、色々とおまけがついてくるという話は有名だと思うが、特にモーニングセットが一味違う。普段はホテルで済ませることの多い朝食を喫茶手で食べてみる価値はありそうだ。

名古屋の下町という大須観音のあたりは、食べ物や、居酒屋などがごちゃごちゃと固まっているカオスな街並みだ。その中の一軒、「コンパル」に開店とほぼ同時に乗り込んだ。にもかかわらず先客が何組もいる。超常連組かと思われる高齢者軍団だった。コンパルは他にもいくつか支店があり、メニューがそれぞれの店で微妙に異なるらしいのだが、モーニングは同じようなのでお試しに大須に来た。

コーヒーは、濃い。昔のおっちゃんたちがミルクと砂糖をたっぷり入れて飲んでいた時代のコーヒーだ。ミルクのピッチャーが泣かせる、味がある。

そして、モーニングセットのハムエッグトースト ¥130なり。このホットサンドもどき、中身は卵とハムのトーストサンドは、予想外にうまい。周りにいる常連客の半分くらいが、こいつを頼んでいた。確かに、コンビニで買うサンドイッチの半値くらいでこれが食べられるのだから、名古屋の人は幸せだ。

おまけは、びっくり名古屋めしの大関クラス、小倉トースト。あんこはしっかり甘い。あんこの下はたっぷりバターなので、最近はやりな「あんバター」の発祥は名古屋だったとわかる。しかし、あんこにバターとはいったいどのような発想から生まれるものだろうか。きっと何十年か前に、バタートーストの上に、間違ってアンコ落とした奴がいるのだよね。そして、それを「アア、もったいない」といって食べた締り屋さんも。
まあ、人類史の中で新しい食べ物が生まれる時は大体そんなものだよ。人類で初めて海鼠を食べたやつとか、初めてウニの殻を剥いて中身を食べたやつとか。そういうおっちょこちょいには感謝しなければならない。名古屋の、多分、喫茶店のおっちょこちょいにも感謝しよう。

表に出て看板を見れば、納得の分かりやすさ。店内でメニューを見るとコーヒーが400円で、ハムエッグトーストは130円なのだが、看板はモーニングセット合計額で表記、合理的で分かりやすい。ただし、ランチに関しては価格が分からなくなっても気にしないのも名古屋流なのか。実は、この「コンパル」ではランチのメンチカツサンドの方が有名らしいので、今度は昼に来なければいけないと決心しつつ、名古屋は喫茶店で朝食が正しいと納得できた。

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9月のお気に入り

牛タンの利久

仙台名物牛タンは、麦飯とテールスープの三点セットが定番だ。そこをちょっとずらして、牛タン単品を頼み、冷酒「浦霞:でちびちびとというのは、かなり楽しい有色のあり方だと思う。牛タンは塩漬けにしてあるので、何も調味料がいらない。適度に固く、適度に油が染み出してくる旨さは、白飯が良い派と酒が良い派に分かれるはずだ。(と我田引水な牛タン理論)口の中にあふれる油を打ち消すためには浅漬けを一口摘む。箸休めのように南蛮漬け(唐辛子の味噌漬け)も楽しむ。うむうむ、仙台で楽しむ牛タンはまた格別。残念ながら東京で牛タンを食べる気にはなかなかならないのだ。

利久 牛タン単品

珈琲文化 三本珈琲

いわゆるセルフサービス式の喫茶店で、うまいコーヒーに巡り合うのは至難といって良い。喫茶店を利用する目的が時間潰しということはよくある。だから、そんなときにこーひーのあじをもとめるの野暮というものだとも思う。だから、といってアイスコーヒーに逃げ出すつもりもない。仙台駅前にある比較的広い店内は、いつも静かで、コーヒーマシンで落とすコーヒーは某大手チェーンと同じ味になるはずだが、なぜか違う味がする。
おそらく上質なコーヒーカップのせいなのだろう。そして、広い空間でひっそりと過ごす時間のせいなのだろう。となりの席までわずか10cmというような異常過密空間で飲むコーヒーがうまく感じるはずがない。美味しいコーヒーは空間とシズあかさから生まれる。

仙台 三本珈琲

岐阜城のグルメ 高山ラーメン

岐阜城 山頂レストランの高山ラーメン

岐阜城はロープーウェイで上るくらいの高い山の上にある。歩いて登る人は、山歩きを趣味にしている人たちで、多分、練習がてらにお城まで登っているのだ。山登りの趣味のない人間には、なかなか理解しがたい。その岐阜城ロープウェイ山頂駅は、定番のお土産やと軽食(ソフトクリームなどの定番)とレストランがある。眼下に長良川が流れるの見ながら食事ができる展望レストランで、夜にはパーティーなどもできるらしい。そのお洒落空間で岐阜で一番有名?な高山ラーメンを食べた。どうも自分の記憶の中にある高山ラーメンとは、いささか違うような気もしたが、それはそれ、観光地でのご愛嬌としてサッと流す。展望台で食べるラーメンは、心持ちが違うのだよね。目の中に入る景色も味の内だなどと言い聞かせながら、美味しく魚介系スープのラーメンいただきました。ただ、高山は岐阜県内とは言え、地勢的に飛騨。岐阜城があるのは美濃。ちょっと無理があるかなあと思いつつ。

もうすぐ冬籠の季節に突入だなあ

食べ物レポート, 旅をする

名古屋で一杯やる時は・・・

名古屋の繁華街といえば、栄になる。その飲み屋密集地帯に大きな居酒屋があり、その名を「だるま」という。名物は「名古屋飯」と言われる、名古屋ローカルフードが勢揃いなのだ。何年かぶりで来てみれば、なんだかずいぶん明るくきれいになっていた。ちょっと前に改装したそうだ。前は、薄暗くて微妙に哀愁がある親父の居酒屋っぽかったのだが、すっかりコンビニ的な明るさでヤングアダルトな店に変わっていた。
そんな新装のカウンターでまずは専用グラスに入った生ビールを飲む。

名古屋名物といえば味噌煮込みうどん、きしめん、味噌カツ、えびふりゃーといったところだが、高級路線ではひつまぶし、安直なとところではスガキヤラーメンも名古屋ローカルとして有名だろう。
しかし、なんと言っても、どて煮を忘れてはいけない。居酒屋の定番のもつ煮込み、牛すじ煮込みなどの煮込み系料理をドーンと乗り越えた味噌味の煮込みというか、味噌で煮たもの。甘辛味がよろしいようで、どて煮発祥の店にも行ったことがあるが、どうやらこの味の濃い料理は、お店による差が出にくいのではないか。どこの店で食べてもうまいようだが・・・。

何やら昔の日めくりカレンダーのような人生の教訓を学びながら酒が飲めるのもありがたい。帰りに子供のお土産に買って帰りたくなる。一体何種類くらいあるのだろう。

手羽先と味噌カツも忘れてはいけない。手羽先は元祖よりもそれを真似したチェーンがすっかり大手になってしまったが、手羽先唐揚げ自体は名古屋のあちこちで食べられる。これは確かに店が違うと味が違う。胡椒の加減が一番の差のようだ。味噌カツは、味噌の味で決まるので、どて煮と同じで店の差はないような。ただし、衣の暑さの具合で味は変わるような気もする。濃い味付けが酒を飲む時には良い塩梅となる。名古屋は酒飲みの場所だと聞いたことはないが、出てくる料理は酒向きばかりだなと感じることが多い。

そして、これを名古屋めしと言ってはいけないよという飛騨高山地方の漬物ステーキ。もともとは鉄板で少し発酵の進んだ古漬けを焼いて食べるということなのだが、冬に野菜がない時代は保存食の漬物を焼いて食べていた。それが現代では、嗜好品として一般的になったようだ。その飛騨料理を堂々とメニューに加えるのは、だいぶ強気だとは思うが、名古屋人からすると名古屋の(影響力・支配力)範囲は日本海まで及ぶということなのだろう。卵のかけっぷりは鉄板ナポリのアレンジだし、たっぷり鰹節というのもおそらく名古屋流(きしめん的食べ方)。おまけにソースが味噌、醤油など4種類もある。確かに名古屋的に発展し拡散した料理だから岐阜高山料理などと言わず、広域名古屋圏料理とでも言うべきだろう。

東海北陸道路で走るとわかるが、名古屋と北陸との境はおそらく白川郷あたりに敷かれているのだと思う。岐阜のケイちゃん焼きも、いつの間にか。この店では名古屋めし扱いだったし。おそらく名古屋人の思考回路では、名古屋→大名古屋→広域名古屋→名古屋以外の日本くらいの広がりで、西は京都、東は沼津あたりまでは名古屋圏なのだ。

そのうち福井のサバ料理、へしことか、焼津の黒はんぺんあたりまでは名古屋飯化するかもしれないが、それもまた楽しみだ。
そして、純名古屋飯としての新興勢力といえば、台湾ラーメンから生まれた台湾まぜそばが人気上昇中、次の名古屋飯とその進化はなかなか見逃せない。

食べ物レポート

浜松といえば餃子

五味八珍の目指すものとは   ・・・餃子屋?

浜松と宇都宮の餃子バトル、毎年一進一退の繰り返しだが、それにしてもなぜそんなに餃子を食べるのか、ひと事ながら不思議だ。両市民にとってなじみ深い餃子の味を語るのは、いささか危険思想に当たると思うので、ここは餃子の話をするつもりはない。二つの餃子の差を語る意思もない。ただ、見た目の違いはある。もやしがつくかどうか、円形に並べるかどうかあたりが浜松餃子の特徴のようでわかりやすい。

五味八珍という静岡県ローカルの中華チェーン店が、静岡県民にとってはソウルフードであるらしい。中華料理店だとずっと思っていたが、いつの間にか「餃子の五味八珍」と名乗るようになっていた。まあ、それはブランドの建て方という、かなり奥深い課題の成果なので周りがとやかくいう必要はない。ただし、餃子屋になったせいか中華料理屋としてのメニューバラエティーが減った。これはなかなか難しいことをやっているなと感じる。中華料理屋というのは町場の大衆店であろうが、ホテルの中の高級店であろうが、メニューの多さが売りだ。また、メニューの多さこそが料理人の技量を示す尺度でもあり、少ないメニューで商売をするのはチャイニーズレストランとしては得策とはいえない。五味八珍は中華のファミリーレストランであり、かなり危険な思想を実践しているなという感じがする。
ちなみに商売がうまくいかなくなると必ずメニューを多角化するのが外食・レストランの習性なので、この五味八珍のメニュー絞り込みは、ビジネスが成功している証明と見ることもできる。

さて、浜松餃子の話をすると、この円形盛り、もやし付きが何より大事らしい。実は5年ほど前にこの店で餃子を注文した時、浜松餃子と普通の餃子の両方を売っていた。違いは何かと尋ねてみたら、もやしがつくかつかないかだと言われて、呆然としたことがある。今回はそんなことはなかった。おそらく社内で餃子の統一が行われたのだろう。

味は普通にうまい餃子でビールによく合う。
文句はない。某関西系餃子の・・・と言う中華チェーンや、某東北系ラーメン専門店の餃子と比べても明らかにうまいと思う。ただし、ここで立ち止まってはいけないのだ。埼玉県ローカルの中華チェーンの餃子は、これと遜色ないレベルにあるので、「餃子の・・・」と名乗りたいのであれば、競合に対する注意と研究が必要だろう。関西発の餃子チェーンは明らかにレベルダウンしている。以前は店によって当たり外れがあったが、今は全体的に低位安定になってしまった。埼玉系の餃子チェーンは、西日本へ展開を開始しているので、首都圏から攻めていくと激突地は浜松あたりになる。ちょっと楽しみな餃子戦争、東西対決も含め三つ巴?になるかワクワクして待とう。

唐揚げのうまい餃子屋

そして、浜松餃子専門店?でありながら、恐るべき高い水準だったのが、鳥の唐揚げ。これは本当に高い水準だ。某フライドチキンチェーンはこれをパクって商品開発してみたらどうかと思わせる水準の高さ。この世に唐揚げ専門店を名乗る店やチェーンは多いが、油と鶏肉と衣の品質管理に手を抜きすぎているから、なかなか安定して商品を提供できていない。有名な釧路の唐揚げ屋では油が発煙していた。トンカツ屋が運営している唐揚げ屋でも味のばらつきが多い。スーパーで売っている唐揚げに至っては、ほぼ論外と言いたいくらい無水準だ。(調理後、時間が経った時の衣の状態維持を考えて商品開発しろと言いたい。唐揚げとは経時劣化する食べ物なのだよ)
ついつい完食してしまったのだが、これは一つ二つ持ち帰って経時劣化を見るべきだったと反省した。

五味八珍とさわやか、浜松の誇る二大ローカルチェーン、首都圏内に出店してくれないかなあと心底思う。

食べ物レポート

仙台の老舗 居酒屋と牛タン焼きと

仙台の誇る横丁文化

仙台は横丁が多く残っている。映画「深夜食堂」に出てくるような細い道の両脇にびっしりと食い物屋と飲み屋が立ち並ぶ。これを人工的に作ったのが各地にある屋台村だろう。仙台の本屋に行けば、仙台横丁についてのムックも並んでいる。横丁が残るということは、再開発から逃れ商売が長く続いているという意味だ。だから当然のように、老舗化している店が多い。

居酒屋 源氏の看板はひっそりと

仙台の有名横丁に「文化横丁」がある。これは一番町から続くアーケド街を、横に外れた一角にあって、店舗数は30−40軒ばかりだろうか。いつでも行列のできる餃子屋もあり、鮨屋あり、焼肉屋ありのカオスな展開が良い。その横丁の中間あたりを曲がり、また一段と奥まったところの突き当たりにひっそりと暖簾を上げている居酒屋が「源氏」だ。テレビのルポ番組でも度々取り上げられている有名店なのだが、中に入ると実に古い居酒屋だ。そして居心地が良い。
コの字のカウンターに15人も座ればいっぱいになる小ぶりな店で、中には女将一人が忙しく注文をとり、料理を並べている。ここは酒を頼むと自動的に料理が一品つく仕掛けなので、好みの日本酒、ビールなどを頼み、まずはお通しを片付けながら、一品めの肴は何が出てくるかをじっと待つ。周りの客の前を見れば、なんとなく今日の出し物がわかるのだが、追加で料理を注文する人も多いので判別がつかないことも多い。

一品目は煮物、二品目が冷奴というのが、この日の出し物だった。そして、お酒の注文には制限があり(3杯だったか4杯だったか)、最後の肴には味噌汁が締めのサインとしてつくらしい。そこまで飲んだことがないので、不確実情報だが。
追加の料理もいろいろあり、個人的な一押しは「汐ウニ」。塩漬けのウニが小皿にふたつまみ程度、この量が絶妙で、だいたいこのウニを肴に冷や酒2杯が的量だ。そして、あと一杯呑みたいのになと思いながら、さっと退散する。次から次へと客が来るので、長居するのは野暮というもの。老舗居酒屋に行く時は、この早い回転を手伝う(他の客のためもあり店のためもあり)のが、暗黙のルールだという気がする。
ちなみに塩釜の日本酒「浦霞」を、グラス酒(もっきり)で頼むと1000円だった。料理一品付きなので、まずまずのお値段。

仙台随一の飲み屋街国分町の名店 太助

戦後の食糧不足期に開発された「牛タン」焼は、すでに仙台の名物であるのは間違いない。その牛タン発祥の地が、「太助」。仙台の夜の繁華街、国分町の真ん中あたりにある小ぶりなお店だ。国分町は仙台屈指、つまり北日本ではススキノに次ぐ夜の街だろう。ススキノではジンギスカンの店が目立つが、仙台では牛タン屋が多い。
お昼時は観光客を含む行列が伸びている。それでも昼時を外せば、比較的すんなりと入れる。メニューは牛タン焼とテールスープと麦飯、これをバラで頼むかセットで頼むかの違いだけで、超がつくほどシンプルだ。客の選択肢は牛タン3枚にするか4枚にするかくらいしかない。
なぜ麦飯なのかとは考えなくても良い。モリモリと麦飯をかき込みながら、塩味の効いた牛タンを噛み締める。肉汁と油が口の中でいっぱいに広がる。それをテールスープで流し込む。こういった動作の繰り返しで、定食を完食する。満足度は高い。

余計なことだが、テレビ番組で見た店主はにこやかに牛タンのいわれなど話していた。気さくな親父と言う感じだったが、実際に店に行ってみると、にこりともせずに牛タンを黙々と焼いている。おー、あれは営業トークだったのだねなどと思いつつ、目の前の仏頂面親父を見ながら笑いだしそうになった。カウンター内で働く女性も、それなりに表情硬いのは親父の仏頂面が移ったのか。ランチもディナーも混み合う店なので、まあ仕方がないだろう。大チェーン店になった利久では、まるでファミリーレストランみたいな接客をされるので、どっちが良いと感じるかは個人の好みだろう。

牛タン3枚 テールスープ 麦飯セット

老舗には老舗の重みがあるということを承知して、この二軒お試しあれ。どちらも仙台のお宝だと思う。