食べ物レポート

千歳空港のダメージと業態転換

千歳空港の食堂フロアーで、いつも凄まじい行列ができていたラーメン道場のえびそば。その行列がちょっとだけ復活していた。この一年は、並ばずにえびそばが食べられるのでずいぶん利用させてもらったが、ようやく昼前に行列ができるまで復活したようだ。ラーメン道場のダメージは大きかっただろうなと推察する象徴的なシーンだ。それでも各店の混み具合はまばらで、満席近いほど賑わっている店は少ない。

その混雑するえびそはを避けて、好みのラーメン屋に入り醤油ラーメンを注文した。座った時にはガラガラだった店内だが、ラーメンが出てくる5分の間に、ほぼ満席となった。満席といってもコロナ対策仕様なので席の間隔は広く、以前と比べると半分ほどの席数に見える。それでも満席は満席。めでたしめでたしだ。鶏白湯+魚介だしのWスープは本当に美味い。ラーメンで腹を膨らませた後で食堂街を探索してみた。

待ち時間がある時にたびたび利用していたサッポロビール園が業態変更していた。サッポロビール各種が飲めるのは変わらないが、小樽の名店「三幸」にかわっていた。三幸はファミレスの草分けというか、デパートの大食堂的なメニューが魅力の老舗レストランだ。個人的にはキッズ向けのオムライス(亀がモチーフで大人が食べてもうまいと思う)がおすすめだが、肉料理、パスタ料理などうまい洋食がせい揃いでどれを選ぶか迷ってしまう。
従業員の方に尋ねたら、10月1日から業態変更したそうだ。これもコロナの影響なのだね。外国人客減少で、日本人客向けのローカル志向に転換したということだと思う。日本人観光客にとっては小樽の老舗レストランが、かなり「おいしく」感じるのではないだろうか。

そして、これが今回の業態転換で最良の策だと思ったのが、小樽繋がりの若鶏半身揚げ「なると」とのコラボだった。今まで千歳空港で売っていないのが実に不満だった、若鶏半身揚げがっこの店で買えるようになった。個人的に最大の朗報だ。うれしい。
若鶏半身揚げは注文してから待ち時間が30分ほどかかると言われた。となると、これからの千歳空港利用パターンを変えなければならない。空港に着いたら、なによりも優先して、まずこの「三幸」に直行してテイクアウト注文をする。それから食事をするなり、買い物するなりという行動のパターンにしなければならない。千歳空港マストバイアイテムに決定だ。
ただ、問題も一つあり、揚げたての若鶏半身揚げは機内に持ち込むには強烈すぎる匂いがする。若鶏半身揚げをラップなどでぐるぐる巻にして、匂い漏れを防ぐ専用バッグを忘れずに用意しなければならない。それが嫌なら、テイクアウトは諦めて、ここで若鶏半身揚げとビールを楽しむという選択もある。それでもきっとテイクアウトにもう一つ注文してしまうような気もするが・・・。
もちろんこの店に来る時は、腹ペコで来るべきだ。若鶏半身揚げに追加して小樽名物あんかけ焼きそばを食べるのを忘れてはいけない。これまで苦労されてきたお店の方には申し訳ないが、自分にとってはコロナのダメージが良い方向で改善された事になる。千歳空港が楽しみになった。

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旭川で締めを求めて彷徨

旭川で軽く締めのご飯を食べたいものだとフラフラ歩き回った。この店の名前は聞いたことがあると思ったのが、「二幸本店」だった。が、何の店だったのかが思い出せない。小樽には三幸があったな、などと脳内連想ゲームが進んだのだが。

ショーケースを見ると鮨と天ぷらがメインらしい。失敗したと思った。最初にこの店に気が付いていれば、鮨で一杯やれたかもしれない。
旭川は北海道でも珍しい海に面していない大都市なのだが、実は海産物がうまい。オホーツク海、日本海から札幌に海産物が流れていく途中を横取りするので、札幌よりも質の良いものが手に入るようだ。この話は富良野で聞いた。富良野は旭川のおこぼれが調達できるので、札幌と同じレベルのうまい鮨が食べられるというのが店主の言い分だった。もっともだと思った。

寿司を食いはぐれたことに後悔をちょっとだけしながらもう少し歩いていると、懐かしのラーメン屋の前に出た。すでに閉店しているようで、コロナのせいか、悲しいぞ。それでも夜遅くまで空いているのがラーメン屋だろうとぶつぶつ言ってみたが、よく見ると本日は定休日だった。
我ながら悔しいのだがたびたび思い知らされる運の悪さだ。特に旅先では、行ってみたいと思う店が臨時休業だったという経験は数えきれない。決してコロナのせいで早仕舞いしていたわけではないようだ。食べられないと思うと余計にラーメンが食べたくなり、もう一息歩いてみることにした。

旭川発祥の有名店、今やグローバル展開もしている塩ラーメンの名店を見つけた。この本店に来たのはひょとすると10年ぶりくらいかもなどと思いつつ店内に入ったら、全く中の光景が変わっていた。記憶の中ではコの字型のカウンターの店だったはずだが、今はテーブル席も多いファミレスみたいな店になっていた。

梅干しが真ん中に乗った塩ラーメンを食べると、なんだか妙に懐かしい。札幌にある支店もたびたび訪れてはいるのだが、やはり本店で食べるのが一番うまい・・・はずだろう。ただ、記憶にある本店の味とは微妙に違うような気がした。普通にうまいのだが、記憶の中の味は過剰に美化されているようだ。
店の味は変わらずにいて、自分の舌が変わった可能性が高いなと思う。濃いめの味がだんだん苦手になってきたのかもしれない。スープを飲みながらそんなことを考えていた。外の気温は相当に下がってきていたので、暖かいスープは何よりのご馳走だったが、麺を完食するのがしんどかった。やはり無駄に歳はとりたくないものだと、久しぶりに思ってしまった旭川の夜。でも、次は醤油ラーメンにしようと前向きに考えてもいたのですよ。

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セコマのBig 2 かもしれない

久しぶりに北海道上陸し、気になっていたセイコーマート、セコマのパンを買ってきた。一つ目はヨーカンパンの新種で、北海道では定番の豆パンの上にヨーカンコーティングをしたものだ。さほど気にしてもいなかったが全国でヨーカンパンは当たり前のものではないらしい。
確かに東京に来てしばらくしてからヨーカンパンを見かけないことに気がついた。豆パンは好物だったので、東京に来て3日目で豆パンが存在しないことに気が付いた。普段食べ慣れたものがなくなると、人はずいぶん悲しい思いをするものだ。豆パンは恋しい気分にはなったが、ヨーカンパンは恋しくはならなかった。そのためにヨーカンパンが存在しないことに気付くのが遅れた。見た目が同じようなチョコレートコーティングのパンはどこにでも売っていたから、錯覚していただけかもしれない。

チョコレートではない、ヨーカンコーティング

豆パンはメロンパンのような丸型のパンの中に、金時豆の甘納豆が入ったパンだ。似たような甘い豆が入ったパンは四国高松で発見したことがある。なぜ高松で?と思ったが、高松のうどん屋では甘い豆の天ぷら・かき揚げが売っていたので、おそらく甘い豆需要が高いせいだろう。北海道でも赤飯は小豆のものと甘納豆のもの2種類が混在する甘い豆文化圏だ。標準的な赤飯は甘納豆のもので、小豆の赤飯は異文化のものだとずっと思い込んでいた。赤飯文化のインプリンティングということだ。だから、いまだに東京で赤飯は食べることが少ない。あれは異文化の食い物だという心理障壁があるのだと思う。
この豆パンは、そういう甘い豆礼賛文化が産んだ北海道的解答であり大歓迎だが、全国的にはほぼ異端の食い物だと思う。普遍性は・・・ない。文化的に許容度が広い東京圏でもこれは受け入れられないだろう。似たような存在にべこもちがある。ルーツは岩手のようだが、北海道では極めて日常的な和菓子だ。これも東京圏には存在しない。(たまに、ファミレスのとんでんで売っている)

セコマの文化的地平線を広げる努力は日々進行している。その発想は豊かで、常識を超える。その異端の開発者から、当然のように生まれてきたのがおにぎりパンなのだろう。おまけに中身はおにぎりの具材ランキング不動のNo.1 「ツナマヨ」というのだから、開発者の本気度がわかるというものだ。
そもそもコラボ先が新十津川町という自治体というのもすごい。ちなみに新十津川町は札幌からほぼ真北に70kmほど離れたコメどころだ。遠い昔、某国営放送で朝ドラの舞台になり、最近では日本一終電車の発車時刻早い駅があることで話題になっていたはずだ。(午前中に終電車が出る)
そのコメどころが米シロップ(それって何と聞きたいが)を提供して、パンに米の味をつけたようだ。食べると確かに米っぽい感じがする。

ご丁寧なことに、おにぎり風に海苔が巻いてある。この海苔がなければただの白パンに成り下がるので、海苔はルックス的に重要だ。ただ、食べてみるとわかるが、おにぎり感を増すため「味」の面でも海苔は良い仕事をしている。

売り場のPOPを盗み撮りしてきたが、確かにパンコーナーの中ではイチオシ扱いだった。ただ、やはり根本的な疑問が残る。なぜ、パンをおにぎり味にしなければいけない?
まあ、ヨーカンをパンにかけるセンスがあれば、パンをおにぎりに変えるというのは、ほんの一息のジャンプかもしれないが。セコマのパンの中ではちょっとお高めのブランド感を漂わせることもあり、次はサロマ漁協とコラボしておにぎりパン・ホタテ味とか日高産鮭を使ったおにぎりパン・鮭味とか、色々とシリーズ化されれば楽しいなあ、と妄想している。セコマで去年は焼きそばパンの代わりに味噌ラーメンパンも売っていたし・・・。

個人的には、この昔懐かし「ポテサラパン」が好物で、価格は税込100円と渋い値付けだ。本当にセコマはわざわざ買い物に行きたくなるコンビニだ。何とか関東圏の出店拡大をしてセブンに成り代わってコンビニ王者になってほしいなあ。

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北海道限定品 おすすめの二点

これは本当に北海道でしか買えない伊藤園のローカルアイテム。トウキビ茶と書いているがいわゆるコーン茶のこと。カロリーゼロと書いてあるが、うっすらとした甘さを感じる。舌に優しい、喉に優しい名品だ。どうやらラベルの違いで札幌バージョンとか根室バーション?などがあるらしい。千歳空港の自動販売機で、自分のお土産用にいつも買って帰る。通販でケース買したこともあるが、なかなか手に入りにくい。ローカルドリンクで好みなのは沖縄のサンピン茶とこのトウキビ茶だが、確か金沢でも棒茶のペットぼろとるが売っていたような気もするが、定かな記憶ではない。JR九州が九州限定でお茶を売っていたが味の記憶が全くない。地元に愛される商品といいうのがローカルアイテムのテーマだと思うが、それが全国区にならないのは、やはり何か理由があるのだろう。トウキビ茶もなんとか全国区商品になって欲しいものだが。

紅生姜が絶対のサイドアイテムだ

二品目は、これぞ The北海道銘品と言いたい甘納豆のお赤飯。たまに変形で甘納豆が金時豆ではなく小豆のバージョンも見かける。甘納豆で作るので、米に色はつかないから食紅で染めている。甘納豆がコメの中に紛れ込むのが普通だと思うが、この赤飯は甘納豆がトッピング状態になっている。おそらく製法の都合というやつだろう。
紅生姜の薄切りはデフォルト設定で、これが千切り紅生姜だと、ちょっと悲しい思いがする。甘納豆をおかずに餅米を食べるという、ハイパー炭水化物+炭水化物連合で、お好み焼きでご飯を食べるに近い発想の食べ物だ。これにごま塩(ごまは黒胡麻)をかけて食べるのが標準仕様だと思う。ごま塩のしょっぱさと甘納豆のバランスが絶妙になる。この甘納豆赤飯と新香巻(具材が奈良漬)を自分土産に買って帰るのが、北海道に旅した時の定番行事だが、今回は現地で食べすぎたのでパスした。
全国に存在するご当地グルメというか、その地では当たり前に日常的に食べられているが、実はそこでしか売っていないというやつに目がない。だからローカルグルメは散々試してきた。その結論として言わせてもらうと、やはり北海道に行ったら甘納豆赤飯を食べて欲しいものだ。
個人的には進化し続けている札幌ラーメンより、最近人気のスープカレーより、北海道ソウルフード的な楽しみが味わえると思いますよ。

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旭川でも串鳥

旭川に所用で一泊することになった。コロナ制限解除前なので、夜8時を過ぎると飯も食えない。ホテルに着いたのが6時半過ぎで、慌てて店を探しに行ったが、どうも酒が飲める店のほとんが開店休業状態で悲しい雰囲気だ。入り口を開けて中に入ってみても誰も出てこない。そんな店に2軒連続して当たってしまい、3軒目は席まで案内されたまま放置された。従業員不足らしい。これでは8時までに食べ終えられるか心配になった。結局、何も頼まずにその店も出ることにした。あまりの長きにわたる休業のため従業員の手配がつかないか、接客のあれこれをすっかり忘れてしまったか。どちらにしても、客に金を払っていただくレベルに戻るにはずいぶん時間がかかりそうだ。さすがに4軒目を探し見つける気力をなくし(時間も残り僅かになり)、ようやく見つけた串鳥 旭川店に逃げ込んだら、何と満席で5分ほど待たされた。それでも普通の居酒屋の活気ある雰囲気がありがたい。

旭川店限定のミックス肝串があったので、早速それを注文した。どうも、これは美唄焼き鳥インスパイア系というやつだろう。ただ美唄焼き鳥は串に刺さっている肝が気まぐれというか串ごとに違う。それに対して串鳥旭川店限定品ではどの串も同じ配列になっているようだ。それでも玉子の黄身の元がついているのは嬉しい。

つくねも定番の梅だれを注文したが、追加で青南蛮入りを頼むことにした。北海道では唐辛子のことを南蛮ということが多い。確か仙台の辺りでも同じように南蛮といっていた気がするので、これも東北からの移入語だろう。その青南蛮、つまり青唐辛子を練り込んだつくねは、間違い無く大人の味だった。一口目はあまり感じないが時間が経つと舌がビリビリと痺れてくる。これは味変焼き鳥として傑作だ。ただし相当に辛いのでラス前くらいで頼むのが良さそうだ。
ふと気がついたら8時を過ぎていて、店内は賑やかだったがホテルに帰ることにした。30分一人飲みのはずがちょっと長居をしてしまったのは、久しぶりの元気な居酒屋感が楽しかったせいだと思う。
次はどこの串鳥に行ってみようか、などと考えながら店を出た。個人的な希望としてミックス肝串は全店に導入して欲しいです。

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30分待って買えた名物コンビニ弁当

函館に行けば必ず寄る「ハセガワストア」は、函館ローカルのコンビニだった。だったと過去形で言うと申し訳ないが、自分にとってハセガワストアはコンビニではなく出来立て弁当を売る店になっている。個人的な思い込みだけではなく、店先で品揃えを見ると、ギリギリコンビニと言える程度の品揃えはしている。が、手抜きとは言わないまでもコンビニとしては妙にスッキリしている。コンビニ売り上げの1/4以上と言われている弁当類に完全特化してスーパー弁当業態ということだ。特化どころか専門店に近いと思う。
ハセガワストアはすでに北海道のコンビニNo.1であるセコマのグループ企業なので、普通にコンビニをやろうとしても問題はないはずだが、弁当を売る方が本業に見えるほど特別化したかわったコンビニ(のようなもの)であると思う。
それだから、売り場の面積の余分な部分(物販その他)をスッキリとカットして、弁当部分だけ切り出してチェーン店化した方が儲かるのではないかと前々から思っているのだが・・・。少なくとも北海道内での知名度は抜群なので、札幌近郊を中心に出店すれば面白いのになあ。

持ち歩くうちにご飯が偏ってしまったので、隙間が空いているが買った時はご飯は平らになっていた

一応説明をしておくと、このやきとり弁当は札幌の百貨店のイベント会場で買ったもので、長い行列ができていた。行列に並んでいたのは30分を超えるが、待っている間にも自分の後ろにもっと長く行列が伸びていった。おそらく最後尾は1時間待ちを超えたはずだ。原因は、この弁当の知名度と人気もあるが、一人の客が3個5個とまとめ買いすることだ。焼き鳥は一本ずつ手焼きなので製造時間の壁がある。実際に函館の店で買うときも、待ち客が多いこと注文に応じて焼き始めるので、最低10〜15分は待つことになる。このイベント会場では焼き鳥3本入り弁当限定だったが、函館では串の数も選べる。(はずだ)
何より、やきとり弁当と言っているが、肉は鳥ではなく豚で、正確にいえば豚串弁当だ。それでも誰もが疑いもなくやきとり弁当と言っている。札幌ローカルブランドである「ぎょうざのみよしの」と函館ローカル 「ハセストのやきとり弁当」でコラボ出店となれば、行列の途切れないお店になるような気がする。

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10月の推しラーメン

この店は札幌ススキノの外れにある。長い行列のできるラーメン店の一つだ。ススキノのハズレという場所柄のせいか、外国人観光客も多かったようだ。店の前を通りがかるたびに長い行列を見て、今日も入れないなあなどと思っていた。ところがこの一年、すっかり行列が無くなってしまいふらりと昼前に立ち寄るとすんなり入れた。待ち時間ゼロというのはすごいことだ。
ただ、ラーメンを食べ終わり帰る時にはすっかり行列ができていたので、たまたまのタイミングだったのだろう。この店のうまいやつは間違いなく味噌ラーメンだと思うが、他の客の注文を聞いていると意外とばらけていた。メニュー名は昔の国の名前なので「信州ひとつ」とか「越後に餃子つけて」みたいな感じの不思議な会話が飛びかっている。チャーハンが裏名物らしく、ラーメン+チャーハンという豪快な組み合わせを頼む客も多い。強靭な胃袋の持ち主だ。

いわゆる豚骨味噌ラーメンの系統で、今ではすっかり当たり前になってるが、初めて食べた時はかなり斬新なラーメンだと思った。最近はすっかり見かけなくなった月形の睦屋みたいな感じだと思う。見た目は平面的というか簡素なルックスだが、麺と濃いめのスープはなかなかバランスが良い。もはや老舗の風格だろう。抑えきれぬ満腹感が、うまさの証明だった。いつもチャーハンを食べたいなと思うのだが、永遠に無理かもしれない。

こちらの店は千歳の外れにあるカレーラーメンの象徴的な店で、国道沿いに立つ原野のど真ん中にある一軒家的佇まいだ。店の作りや駐車場の広さを考えると営業系サラリーマンとかトラックドライバーなどを相手にした店なのだと思う。
ただ、この店も一時期はインバウンド客があふれ混雑度がマックスになり入りずらい時期もあった。そのピーク時の後、店内が改装されセルフサービスの店に変わった。回転数を上げるための工夫なのだろうが、個人的にはサービス度が下がったなと思っていた。ところが、コロナ拡大期にはこの仕掛けがうまく作用したようだ。客と従業員の接触が最低限になる「たいへんよくできました」的なオペレーションになった。昼時に行ったのだが、待ち時間ができる繁盛ぶりだった。

カレーラーメンは、とろみのあるねっとりとしたスープで、食べ進むうちに額に汗が出てくる。さほど辛いとも思わないがスパイスが効いているので発汗するということか。ただ、舌は正直で水を何度も飲むハメにはなる。全体的な味は日本蕎麦屋のカレー南蛮に近い「カレー感」だと思う。麺が表だって主張してこないのはスープの強さのせいだろう。旨辛という表現が似合っている。最近のタラーメン屋の旨辛味は赤い唐辛子をベースにしたものだが、こちらはカレーベースなのでまた別の「旨さ+辛さ」だ。
スープカレーの原点はラーメンスープだったという話を聞いたことがある。確かにこのカレーラーメンを麺抜きにして、揚げ野菜を放り込んだら、美味しいスープカレーが出来上がるだろう。
ただ、それを肴にビールを一杯という気分にはなりそうもない。スープカレーはやはり孤高の食べ物で、酒をお供にはしないような気がするからだ。
普段だと、まずは餃子にビールで締めにラーメンというパターンを好んでいるが、このカレーラーメンはこれ以外は何もいらないぞという主張の強さがある。ビールなぞ論外というストイック感がある。スープまで完食した後、吹き出る汗を拭いながら「うまかったあ」と店を出るのが、このラーメンの正しい楽しみ方のような気がする。

気分はほとんどゴローさんだな。

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駅を降りたら、1分で焼き鳥

札幌生まれは間違いないが、札幌育ちかと言われるとちょっと苦しい。中学の頃の家は江別にあり、その後は北広島に引っ越したからだ。当時は地の果て扱いされていた北広島(そのころは町だった)だが、国鉄がJR化されたあとJR北海道は千歳線の強化に乗り出した。そのため、いつの間にか北広島市は(人口が増え市に昇格した)札幌駅から18分の便利なベッドタウンに変貌した。ちなみに札幌地下鉄を使い札幌駅から地下鉄南北線南端、真駒内駅までが18分。大通り駅から東西線東端の新札幌までが19分なので、北広島は通勤面から見て一応地下鉄圏と同等とみなされる。日中は1時間に5−6本が発着するので発車時間を時刻表で確認する必要もない。便利な街に進化したものだ。
そして、いまや日ハムボールパーク建設地として全道的に一気に知名度が上がり、ボールパーク開幕以降は全道一観光客が集まる場所?になるはずだ。一気に地価も上がったそうで、北広島はすごいことになっているのだ。
JR千歳線で札幌に向かうときも、ボールパーク工事現場が見える。夏に来た時には目立たなかったが、今では柱や屋根がニョキニョキと生えてきた感じがする。

その北広島の駅前に串鳥が店を構えている。札幌駅周辺にも串鳥は何軒かある。隣の駅の新札幌にも大きな串鳥の店がある。だから、なぜわざわざこの駅に店を出したのかずっと不思議に思っていた。だが、串鳥というブランドがすでに繁華街の繁盛店から地域密着型に変わっていたのだ。
気がついたのはここしばらくのことだ。確かに串鳥は人気があるので札幌中心部の店では満席で断られることが多い。そのため繁盛店の周りには支店が増殖する。ただ、札幌都心部で溢れた客が北広島まで流れてくるに来るということは考えにくい。
週末を中心に家族連れがファミレス的に使う。平日は夕方前から高齢者の客が押しかける。5時を過ぎれば地元のサラリーマンもやってくる。明らかに都心部とは違う客層だ。駅から歩いて1分の場所にあるが、通勤客が帰りがけに一杯やるという感じではない。チェーン店の地元化というのはありそうで、なかなか難しいことだ。

カウンターに一人で座り、もっきりを一杯注文し、好きな串を2−3本食べる。酒のおかわりをして、それを飲んだらサッと帰る。滞在時間は30分ほど。そんな飲み方が最近の好みだ。串鳥の開業以来のサービスで、お通し代わりに大根おろしと鳥スープが最初に出てくる。これもつい最近までは無料だった。今は100円になる。お通し代というよりテーブルチャージみたいなものだろう。世の中のぼったくり居酒屋ではお通し代500円だの700円だのという時代に、何とささやかな100円と思ってしまう。焼き鳥が出てくるまでの繋ぎに鳥スープはとてもお腹に優しい。

若いカップルが多いのは値段がこなれているだけではなく、串のバラエティーがあるせいだと思い込んでいた。チーズなどを多用した串メニューは、おっさん向けの焼き鳥屋としてはずいぶん先を行っている。が、カウンターに座って他の客の注文を聞いていたら、サラダを頼む人がとても多い。串鳥でサラダかと、初めて気がついた。確かに焼き鳥だけでは野菜が足りないし、食事としてはバランスが悪い。おっさんの一人飲みには存在しないニーズだ。サラダが売れる焼き鳥屋とは、新しい業態と考えても良いだろう。
一人飲みだと話に夢中になることもないので、他人様の会話に気がついたりもする。駅を降りて1分でたどりつき、30分の滞在で満足する焼き鳥屋で、学ぶことはそれなりにたくさんある。これも人生のささやかな楽しみだな。

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蕎麦屋で行こう憩う逝こう?

もうすでに半世紀近く(おおげさだなあ)愛用している蕎麦屋で、昼のピークすぎに一人で蕎麦を肴にお銚子を一本だけあける。気分はお江戸の悪い兄ちゃんになりきり、蕎麦つゆにネギを入れてちびりちびりとつまみにする。まずはネギ酒、そして次に蕎麦を一本だけつまみ、これを酒に浸してつまむ。そのままチョコの中の酒を飲み干す。お江戸の兄ちゃんはなんともいじましい飲み方をしていたようだ。そうして、蕎麦を一本ずつ摘んでいるといい加減乾いてくる。それに酒をちょっとふりかけて食べたりしたそうだ。あくまで人伝に聞いたことで、本当にそんな不良あんちゃんを見たことはない。おそらく戦前、ひょっとすると明治大正の時代の話なのかもしれない。お江戸の下町には町内に必ず風呂屋と蕎麦屋と寄席があったそうだ。蕎麦屋は居酒屋であり食事の場ではなかったとも聞いた。

この店で出てくる蕎麦はお江戸のつまみになる蕎麦とは違い、腹一杯になる食事蕎麦だ。だから、一本ずつ摘んでいるといつまで立っても食べ終わらない。お江戸のバーコードのような薄盛り蕎麦はつまみにちょうど良いのだろうけれど。だから、そばが来る前に軽くつまみを注文する。今回は鶏皮のポン酢和え。さっぱりとしたポン酢味に甘めの日本酒がよく合う。銚子が大方開く頃に、蕎麦を頼む。そして、2、3本そばをつまみにしたら、あとは一気に蕎麦を啜る。

締めには蕎麦湯を何回かに分けて飲む。最初は蕎麦湯少なめでそばつゆ濃いめ。半分ほど飲むと、蕎麦湯を継ぎ足し、それを繰り返すと最後はほとんど蕎麦湯だけになる。蕎麦湯は蕎麦屋によってどろっと濃厚なものだったり、ちょっと目には白いお湯に見えるほどサラッとしたものもある。この店は中間程度。とろみがある白いお湯という感じだろうか。寒い季節になっても不思議と蕎麦屋では温かい蕎麦を頼むことがない。北海道では店内の室温が夏より冬の方が高いせいもあるだろう。東京では冬になるともりそばではなくおかめ蕎麦を頼むようになる。東京の冬は体感的に寒いからだ
我ながら不思議な感覚だが、雪まつりを見に行った帰りもざる蕎麦を食べていた記憶があるから、体感温度と室内温度は季節以上に重要な蕎麦要素だ。
今年の冬は、蕎麦屋でいっぱいの日常が続くことを願いつつ、平日の昼下がりに神田の老舗で小田巻でもたべながら熱燗といきたいものだな。そんな暮らしの中でイケるといいね。

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濃厚な美味さの北海道スイーツ

昔、まだ会社で働いていた頃、お菓子の研究に北海道出張を申請したら、上司にバカにされた。なぜ北海道だと聞かれて、答える気にもならず適当な言い訳をした。どうやら洋菓子といえばおフランスという短絡的思考回路らしく、フランスで修行したパティシエは東京にしかいないと思い込んでいた節がある。日本の洋菓子の集積地として確かに東京は大きい市場だが、洋菓子は明治以降の開港地から広まったため、全国の港町など名人が多くいた。
そして、洋菓子の原材料である牛乳、バター、生クリーム、砂糖などは北海道が主産地で、当然ながら北海道には良い原材料をふんだんに使った菓子製造の拠点が出来上がっている。特に十勝は小豆と砂糖が揃っているので和菓子の拠点にもなっている。というようなことを外食産業で働いている人間にわざわざ説明しなければわからないのかと思うと、あまりに面倒くさく、とてつもなく馬鹿らしくなり、内心では自分で勉強しなさいよと思いながら適当に誤魔化した。会社組織で知識の共有は必要だが、それも人間関係によるのだ。

その十勝帯広から生まれた六花亭の隠れた名品が、このクレームブリュレだと思う。お値段160円だが、価格が3倍でも支払うべき傑作スイーツだ。買ってから時間が経ってしまい、トップに乗っているキャラメラーゼしたカリカリの砂糖が溶けてしまったので見栄えが減じている。お店で販売しているものは、表面がガラス状に輝いていて美しい。クレームブリュレは、乱暴な言い方をすれば濃厚味の生クリームプリンだ。東京の洋菓子店でもほとんど見かけないのは、原材料費が高くなりすぎること、つまり牛乳がわりにタップリと生クリームを使うのがうまさの秘訣だからだろう。おまけに、表面で焼き上げてキャラメラーゼした砂糖のパリパリとした食感が、旨さの秘訣になるが、時間がったつと溶けてしまうという致命的な欠点があるからだ。テイクアウト向きの商品ではないし、時間経過に弱いという特性のせいだ。その難物スイーツ、クレームブリュレがプリンと同じ価格で売られている。六花亭はマルセイバターサンドというキラーコンテンツを持つ製菓屋さんだが、和洋合わせた広いラインナップで北海道スイーツメーカーのトップ集団に入っている。

残念なことに買ってきて半日もしないうちに表面がこういう状態になってしまう。おいしくいただく賞味期間は、買ってから1時間くらいではないか。それでも、砂糖が溶けた状態であれ中の味は変わりがない。濃厚で、ねっとりとした舌触りさえあるプリンのようなもの、としか言いようがないがプリンとは旨味が違う。そもそも都内の大半の菓子屋でプリンと言って売られているものは、全てとは言わないが大部分が水羊羹的というか寒天っぽいというか、ゼラチンの使い方が下手すぎる。
プリンでそのレベルなのだから、クレーム・ド・ブリュレなど、そもそも販売しないのも無理はない。北海道といえば海産物とラーメンの話しか出てこないのだが、実は菓子は相当レベルが高いので、北海道旅行を考える方は是非スイーツツアーを検討して欲しいものだ。

個人的にはこの六花亭を筆頭に、柳月の三方六、千秋庵の山親父、ロイズの生チョコ各種あたりが初心者コースで、上級者になると札幌のロマン亭、ショコラティエマサール、ステラマリス、パイクイーンなどをめぐって欲しい。旭川の壺屋、帯広のクランベリーもわざわざ行く価値のあるお店だ。日本全国、地域ごとに有名な菓子店は存在する。東京でもカタカナ書きの有名店は数多くある。ただ、地元の食材、国産の食材を使うという点でいけば北海道に対抗できる場所はないだろうと思うので、是非お試しいただきたい。決して地元愛に溢れた発言ではないので、そこはご理解賜りたい。(エヘンエヘン)

ちなみに全国47都道府県全制覇している過剰旅行者としては、沖縄のジミーズのホールケーキ、広島のバッケン・モーツアルトのザッハトルテ、太宰府の梅ヶ枝餅、小樽の館ブランシェのショートケーキなど愛してやまない名店は全国あちこちにありますよ。