食べ物レポート

かまぼこ屋ですよね?

どうも伝統の味は隅に置いてあったような気がする

高知県高知市、繁華街の端っこの方にある蒲鉾屋を見つけた。お店の前がやたら活気があるので気がついたのだが、店頭に並ぶ商品を眺めていたら、なんだか不思議な気分になってきた。

この店はかまぼこ屋と看板に書いてある。かまぼこといえば白くて板の上に乗っている魚のすり身製品だ。厚めに切ってわさび醤油で食べると極上な肴になる。ただ、蒲鉾屋では魚の練り製品を販売する以上、主力は蒲鉾よりもすり身の揚げ物ということは理解できる。いわゆる、さつま揚げやじゃこ天のようなお手軽お惣菜系食品だ。

ところが、この蒲鉾屋で店舗の前面にグイグイと押し出しているのが、なんとアジフライに代表されるフライグループだった。魚の揚げ物だからかまぼこ屋としてはギリギリの線かあ、仕方がないよなあ、と思ってみていたら、コロッケだの鳥唐揚げだのお惣菜人気商品が勢揃いしていた。

カキフライの横にはミンチボールなる珍品が並んでいた。どうもメンチカツの中身を小型ボール状にして揚げたものらしい。とりあえず買ってみた。食べてみると、これはなかなかに美味い。なぜ、世の中の惣菜屋でこれ(あるいは類似品)を売っていないのだろうかと、実に不思議になるほどの名品だった。メンチカツを揚げる方が手間が少ないということだろうか。でも、これはコロンブスの卵的な商品なのではないか。

売っているところがかまぼこ屋だとしても……………うまいものはうまい。

さらに驚いたというか笑ってしまったのが、イカの足とイカゲソ(小)が別物として売られていることだ。イカ好きとしては、両方試してみなければと、これまた一つずつ買い込んでしまった。個人的にはいかの足がお買い得だと思う。

あれこれ買いたいものが並んでいるが、一人で食べるのだから注文しすぎてはいけない。それでも、気になるものはある。例えば、このキクラゲの天ぷらだ。キクラゲを揚げて食べるのかと驚いた。だが、何やらうまそうな気がする。
初見ではあるから、これは注文するしかないか。などと、自分にあれこれ言い訳をしながら結局は揚げ物を三人前ほどの量で買い込んでしまい、今日の晩飯はホテルで揚げ物パーティーにしようと諦めた。
このあと、コンビニに行って各種調味料も調達したのはいうまでもない。高知の魅力的な蒲鉾屋にドハマリしてしまったが、後悔はない。(きっぱり)

やはり高知は良いところだ。

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たいのらーめん

高知市内の繁華街にある一軒の店がずっと気になっていた。一見しただけだと、まるでおしゃれなコンセプトショップ、流行りの雑貨屋的な外観だが、歴としたラーメン屋だ。
おまけに、なぜ高知でカツオではなくタイのラーメンなのだと、何年も悶々としていた。なゆたという名前も気になる。おそらく、「那由多」のひらがな読みなのだろう。那由多は仏教用語が源のとてつもなく大きい数字を意味している。味わいがとてつもなく複雑で……………みたいな意味合いを持たせているのかもしれないが。

店頭には大きなメニューボードが出されている。これを眺めれば、店内で何が食べられるかすぐに分かる親切設計だ。鯛でとった出汁がスープベースらしい。塩味推しでもあるようだ。おそらく端正なスープだろうと予測できるが、それをつけ麺にするというのもすごい。

たまたま、店の前にいた時に中から数組の客が出てきた。つまり、席が空いたということだ。ちょっと腹が減っていたせいもあり、ついふらふらと入ってしまった。券売機で食券を買うシステムだったが、鯛塩ラーメンのボタンが大きくなっているので、迷わず「看板商品」を頼んだ。余分な追加は無しで、ラーメンと対決する(エヘンエヘン)
スープは予想通りの澄んだもので味は淡麗なものだった。昨今のラーメン業界では珍しい。鳥スープですらぐつぐつ煮込んで白湯にするのが現在のはやりだ。ストレートな中太麺がよくあっている。
そして感嘆するべきは、チャーシューの仕上がりだった。豚肉特有の臭みはキレイに消されている。タイのスープと喧嘩をしないバランスの良さだ。すごい食べ物に出会った気がする。しかし、相変わらず疑問は解消されない。なぜ、高知で鯛?
次はつけ麺を食べに行かなければなあ。

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気分はファイアー

日高屋が面白いことを始めたとニュースで見つけて、久しぶりに行ってみた。夜のちょい飲み需要が戻ると業績が好転したようで、日高屋の元気が良い。今回はドラゴン系メニューとでも言いたい「辛い」ラインナップ投入だった。
ブロッコリーと辛いポテトサラダに辛い粉をかけたサラダが新作だった。時々日高屋で出現する「超びっくり」メニューだ。そもそも町中華でサラダを注文するという感覚は持っていないのだが、あえて頼んでみたら、これはサラダというものですか?と言いたい微妙なものが出てきた。
見た目はヘルシー?で味はスパイシー?みたいな変な連想しか出てこない。おそらく中華料理屋で見るブロッコリーが衝撃的だったということだろう。中華屋で見る緑といえば青梗菜の炒め物、ニラレバ炒めみたいなものしか思い浮かばない。
ちなみに、アメリカの中華料理屋、いやチャイニーズレストランでは、ブロッコリーが多用されている。やはり食材にも国民性の違いが現れるものだろうか。

ドラゴンな鳥唐揚げも、やはり辛いソースで食べるものだった。これは普通に美味いと思うが、どちらかというとご飯のお供というより酒の肴だ。
まず、ドラゴンは鳥類ではないと思う。どちらかというと爬虫類みたいな見た目だが、絶滅した恐竜の一族だとしたら、鳥類とは遠い親戚だから、鳥唐揚げでドラゴンと言っても……なんかちがうか。
これを丼にしたドラゴン丼が出てきたら、ちょっと面白そうだと思った。ただ、その時は骨付き肉にしてもらえないものだろうか。

そして極め付けがドラゴンハイボール。これもありそうでなかった、紹興酒のソーダ割りだ。ゲテモノかなと思いつつ注文してみたが、意外といける。個人的には好きな部類だ。どうやら定番化するらしいので、ちょくちょく頼むことになりそうだ。日本酒のソーダ割りは勘弁して欲しいと思うが、なぜか紹興酒だとOKというのも、勝手な思込みなのだけれど。

そして締めには辛い味噌ラーメンを注文した。最近、幸楽苑が売り出した辛い味噌玉が乗っているやつかなと期待したが、単純にスープが辛い味噌ラーメンだった。これは、肩透かしを食らったという感じだ。
あの味噌玉を溶かしながら食べる龍上海スタイルは是非導入してもらいたいものだ。しかし、日高屋が元気になってよかったなあ。

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大衆酒場風大食堂

地元にある居酒屋が大改装していた。元々居酒屋的ファミレスみたいな店だったが、それが一段と強まったようで、大衆食堂で酒も飲めますよ的な進化をした。すでに、お江戸の大繁華街では、この転換が着々と進んでいる。しかし、自宅近くの住宅地にある店までこう変わるかとはびっくりだ。

アボカド天ぷら 塩味のわさびソースで食べる

そこで、昼飯を食べることにして、のこのこと出かけたのだが、コロナが終わってみんな夜飲みに戻っていたはずなのに、なんと昼飲みが大賑わいだった。おまけに、こういう店には必ず登場するはずの高齢者男性集団(騒がしいじい様達)は全く見当たらず、20-30代と思しき女性グループが主力客層だった。この改装は狙い通りの結果になったのだと思う。
年齢層の若返りと女性の取り込みは、この先の居酒屋業界では必須要件だ。団塊の世代を中心とした「旧居酒屋ユーザー」は、今後減少する一方だし、最近の「老害」報道を耳にするたびに思うことだが、すでに高齢者は「良い客」ではなく「迷惑な客」として認識されるようになっている。

普通の鳥からあげ キャベツの量が少なめなのが好ましい

その辺りがメニューにも現れている。アボカドの天ぷらは初見だが、メニューに載っていると「ああ、なるほどね」と思うほどにはアボカドは一般的だ。だが、これが高齢者向きに開発されたとも思えない。

大衆食堂で鳥唐揚げは鉄板メニューだと思うが、それも一皿いくらという売り方ではなく、個数単位で注文できる。人数に合わせて、あるいは自分の腹の好き具合に合わせて、欲しい数だけ注文する。これも平成後半以降に定着した注文方法だ。フードロス削減と食育とコスパの三点セットが生み出した、新しい注文様式というやつだろう。
(そういえば、3年前に大ブームだった新しい生活様式はどこに行ったのだろう。全く定着しなかったような気がする)

この店の主力商品は〇〇定食で種類は豊富だが、よく考えると、全ての定食は居酒屋的に酒の肴にもなる。生姜焼き単品はちょっと微妙だが、唐揚げ定食や焼き魚定食などはまさに酒の肴を流用したものだ。
それに加えて、単品めしのラインナップもかなりの豪速球ラインで、ラーメンとチャーハンが定番化されている。今回はチャーハンを頼んだが、普通に美味い。標準以上かもしれない。おそらくこれは完全調理した冷凍品を鍋で煽っただけだと思うが、今やチャーハンはその方が品質が安定する。
街の中華料理屋で下手な店に入ると、油ぎったチャーハンが出てきて閉口することがある。それほど手作りのチャーハンは個人技量に影響を受ける。すでにファミレスでは冷凍チャーハンが標準だし、客もその味に慣れている。となれば技術的障壁のないメニューとして、今後も冷凍チャーハンは定着していくだろう。
おそらく居酒屋は、この手の「メニュー新陳代謝」「コンセプト・チェンジ」が必要だったのだが、平成時代はなかなかできなかった。昔の常連客、高齢者に忖度していたとも言える。それが、コロナという強風で一気に吹き飛ばされた。
どうもこの国は「外圧」がなければ進化できない社会らしい。コロナの落とし子として、この大衆食堂は注視していきたいと思う。

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フィッシュマーケット争奪戦

岡山の飲屋街はどこにあるのかよくわからないのだが、おそらく駅前の高島屋裏あたりがそうなっているようで、昼のうちにうろうろしてみた。そこで発見したのが、四国では瀬戸内の反対側にある高知の有名店だった。
瀬戸内海ではカツオは取れないだろうから、高知からわざわざ運んできているのだろう。ただ、高知から岡山までは高速道路を使えば3時間程度。魚市場で朝のセリで購入したカツオを上手に運べば昼までには到着する。高知市内で食べるカツオと同タイミングで岡山でも売ることができるのだから、鮮度は問題にならない。これが大阪以東や広島以西になれば配送時間が問題になるかもしれないが、岡山であれば高知県内と変わらないはずだ。
ただ、瀬戸内の海は魚種も豊富だし、個人的には日本で一番魚の旨い地域だと思っているので、そんな場所でわざわざ黒潮の魚が売れるのだろうかという気にもなる。

その後、岡山駅横にある大きなイオンに行ってレストラン街を視察していたら、なんとまたもやカツオの専門店を発見した。こちらは鰹のタタキ定食が中心のようだが、メニューを見る限りカツオ一色で、まさにカツオの一本釣りメニューだった。
どうも、この会社は本気で四国外のマーケットを狙っているようだ。個人的な経験でしかないが、やたら旨いカツオを高知の港町で食べてしまったことから、それ以来お江戸にある高知料理屋のカツオでも全く満足がいかない。人間、一度良いものを食べると、それより下のもので満足できなくなるというのは本当だった。
圧倒的に上質なカツオを食べてしまうと、それまではスーパーで買ってきたカツオでもうまい旨いと食べていたのだが、2度とそんな気分にならない。一度の上質な経験が残りの人生を不幸にするというのを、我が身を持って体験してしまった。


そのせいもあり、たまたま見つけたカツオ専門店に入る気にはならなかったのだが、岡山の客はどのように感じているのか気にはなる。瀬戸内海の魚と黒潮の魚の対決は、どっちが有利なのだろうか。瀬戸内フィッシュ・マーケットはかなり熱い戦いなのかもしれないなあ。

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さかながうまい

九州といっても、地域によって食文化は相当異なっている。四国も同じだが、全体を島と見立てると山脈により寸断されているので、通行路に沿って文化が異なっているようだ。現代の基準で見れば、車でほんの一時間程度の距離でも、昔は陸路が厳しかったり、船での連絡が難しかったりしていたので、同じ県内ですら異なる食べ物があったりする。
四国と向かい合った瀬戸内海の端っことでもいうべき大分は、九州とも四国とも異なる独自な食文化があるように思う。

大分に来たら鳥唐揚げというのが、出張時のルーティンだった。ただ、そのルーティンを忘れて、ひたすら魚を食べてみようかと魚居酒屋を探してみた。

福岡で食べたゴマ鯖と似ている。どちらが先行したはずだが

よく考えてみればの話だが、地元の魚と言っても瀬戸内海南西部海域で取れる魚であるから、松山や広島と極端に魚種が異なるはずもない。それでも、この地に来れば伝統的に有名な「あじ」「さば」をたべることになる。
面白いなと思ったのは、広島から運ばれてきた牡蠣が「イチオシ」でおすすめだったことだ。まあ、鮮度を考えれば「推し」メニューになるのは理解できるが、広島から陸送するとそれなりに距離がありそうだ。まさか、船で運んでくるわけもないだろうが………

まず注文したのは「りゅうきゅう」だ。リュウキュウという地元料理は甘めの醤油だれに魚の刺身をしばらく漬け込んだものらしい。これも大分限定のようで、福岡あたりでは見かけない。南に降った宮崎でもみたことがない。
大分は瀬戸内海運で中国四国と繋がっていたから、九州の他地域から影響は受けていないのかもしれない。
醤油醸造は、ある時代まで最先端の科学技術だったので、文化的に進んでいる地域からその製造技術が広まっている。瀬戸内海沿岸地域は、小豆島をはじめ醤油先進地帯だったので、その恩恵を被った料理と言えるかもしれない。
ちなみに関東の醤油文化は和歌山から千葉(外房)に伝わり広まった。そこからは川による水運で川沿いに山地部まで広がったようだ。関東は醤油に関して後進地帯だったから、内陸部に入ると醤油の前の調味料、味噌を使った料理が主流の地域が多い。調味料の普及は文化度を示す高齢だろうが、現代の消費生活からはそれを想像できない。


この「リュウキュウ」は、甘めの醤油タレが決め手だが、自作してみても面白そうだ。大分では家庭料理だと聞く。実に美味いものだと思う。


その後、魚料理をいくつか頼んだのだが、結局はとり天を頼んでしまった。もはや、この鳥唐揚げに対する執着は「カルマ」のようなものらしい。鶏肉は好きだから、ついつい無意識のうちに頼んでしまう。願わくば「1個単位」で注文できるようにしてもらえると嬉しいが…………

魚を食べるなら瀬戸内と思い込んでいるが、その中に大分を加えるべきだと改めて思った。

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いとしの焼きそば

細い麺と大量のもやしが特徴 紅生姜は個人的に大盛りにしてみた

日本にはあちこちに焼きそばの名所がある。B級グルメといえば各地で焼きそばが登場してくる。その中でイチオシしたいのが、大分県日田の焼きそばだ。その中の長老格にある老舗がこの店になる。
ずいぶん昔にこの店の本店まで連れて行かれた。日田という街に行ったのも初めてだったが、その初めての街で食べるのが焼きそばと聞いてちょっとがっかりした覚えがある。
ただ、目の前の鉄板で焼き上げる焼きそばを見ているうちにみるみる腹が減ってきた。おまけに焼きそばを焼くときに焦げるソースの匂いはあまりに蠱惑的だった。シズルという言葉を初めて実感したような気がした。

出てきた焼きそばを一気に食べきった。それほど美味いものだった。以来、機会があるとせっせと日田焼きそばを食べてきた。お江戸まわりでは支店もほとんどない。
もっとも、お江戸でも日田焼きそばの類型店があちこちにあるので、そこで食べれば良いと思うが、実際に行ってみるとちょいと味が違う。真似っこをダメ出しするつもりはないが、真似たにしては再現性が低すぎる。オリジナルから改変したのだとすれば、それは技術力が低すぎで、元の味を超えられていない。まあ、一言で言うと残念な食べ物になっているところが多い。
必然的に、九州北部に出張したときに機会を作り出し(仕事をぬけだして)食べに行った。典型的な郊外立地の店ばかりなのでタクシーを乗り付けるか、車を借りていくしかない。なんとも高価な食べ物なのだ。

メニューを見れば、なぜ美味いかは説明してある。これを読んで納得できるかどうかは実食して確かめるしかない。たかが焼きそば、されど焼きそば、という感じがする。

メニューは清々しいほどシンプルだ。写真を見るとずいぶんバリエーションがありそうだが、基本的に麺量とトッピングの違いしかない。わかりやすい。いつも迷うのが目玉焼きをのせるかどうかだ。ただ、目玉焼きをのせたら、もう一つの名物ご当地焼きそばである横手焼きそばと見分けがつかない。

開店時間を間違い、少し早くついてしまったが、駐車場には自分を含めて3台の車がオープン待ちだった。確かに、昼になると行列ができる人気ぶりだから、それを嫌って早くくる人も多いのだろう。
お江戸界隈にもっと出店してくれないものだろうか。関東にも町おこしが必要な中小都市は多くある。どこぞの町おこし隊が誘致に手を上げないものだろうか。

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回転寿司で岡山堪能

岡山のイオンレストラン街で見つけた回転寿司屋は、均一価格ではなくお高い皿もある高級店だった。自宅近くのイオンでは金沢発の高級回転寿司に行列ができているが、この店もそれと同じように行列のできる人気店のようだ。
イオンは開店後数年してテナント入れ替えが起きると、保守回帰というかみんなが知っているブランド店をテナントとして入れることが多い。売り上げ実績を考えると、そうなるということだろう。
新店オープンでは次世代のブランドを探すべく挑戦するが、実績が出ないとあっさりと切りてられる厳しい世界だ。となると、この回転寿司もきっちりと売り上げてきたということのようだ。

回転寿司屋の前にメニューボードがあるというのも変な話だが、一皿100円均一ではない業態だから、レストラン風にセットメニューを見せたりする必要があるのは理解できる。ただ、見た目が全部同じに見えてしまうのは、「切り身をみせる」寿司屋というコンセプトの孕む問題だろうか。

そのセットメニューにまんまとのせられてしまうことにした。5貫で1000円だからこの店の値付けで考えると中級ネタということになるらしい。岡山ご当地のネタを食べたくなるのは、ご当地の人間ではないはずなので、このイオンが広域集客していることはよく分かる。
地理的な感覚がないのでよくわからなないのだが、備前、備中は岡山県、備後が広島県に当たるのだから、この岡山県から広島県東部に至る地域は、食文化が同一圏として考えても良さそうだ。となれば、この岡山食べ歩きは誰がターゲットなのだろう。
どうやら、このセットメニューは美作国、つまり中国山地の地域に標的を絞ったものではないか、などと考えながら食べるのは楽しい。

ただ、実際に出てきたものを見ると、ちょっと不思議だなと思ったのは、寿司がバラバラに置かれていることで、これは大阪の鮨屋でもちょっと感じた違和感だ。握り寿司の間に空間を作るのが、最近のお作法なのだろうか。
おまけに、色が全体に黒っぽい。握り寿司の美しさは色バランスによるものが多い。この岡山五点盛りでは紅白バランスなどかけらもない。ひょっとすると、握り鮨の美観に関する東西の差なのかもしれないが。

岡山といえばママかりだ、とママカリの握りを食べた。が、これはやはり鮨にしないで白いご飯と食べたほうが良い感じがする。まあ、何事も学習だ。

イカが瀬戸内で獲れるのかどうかは勉強不足でよくわからないが、3点盛りで出てきたイカは大変美味しいものだったので、実に満足だ。
岡山繁華街を彷徨き回っても鮨屋を見つけられなかったので、あまり期待しないで入った回転寿司だったが、結果的にはおいしく楽しめたのでめでたしめでたし。
握り鮨についての東西差は、今後のお勉強テーマにしよう。

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もう一つのちゃんぽん

だいぶ以前のことだが、とあるラジオ番組でその局を代表する有名アナウンサーがちゃんぽんについて話していた。日本三大ちゃんぽんという話題で、ちゃんぽんといえば長崎ちゃんぽんしか思い浮かばなかったから、他にもちゃんぽんの有名な地域があるとは知らなかった。
しばらくしてから、そのうちの一箇所、天草に行ってちゃんぽんを食べた。確かに長崎ちゃんぽんとは違うなとわかる。どちらが美味いかというものではなく、それぞれにうまさがあるという感じだ。塩ラーメンと醤油ラーメンのどっちが美味いと聞かれれば、それはそれぞれの好みだろうと答える。それと似たようなものだ。
そして、もう一つの名物ちゃんぽんもいつか機会があればとおもっていたが、その機会は全然訪れることがなかった。場所が、なかなか遠いのだ。天草も自宅のある埼玉からは遠いが、それよりも体感的にもっと遠い愛媛県八幡浜という、おそらく東京から行くには相当に時間がかかるところだ。
ちなみに、東京駅をスタートして到着するまでに一番時間がかかる場所を調べると、実は沖縄の南にある島や北海道の北の端っこなどより、四国西部、つまり高知県の西側、宿毛や中村周辺になる。そして愛媛県の南側、宇和島周辺も同様に遠いというか時間がかかる地域になる。
同じくらい遠い場所は(時間がかかる)は、島根県中央部、江津あたりで空港から離れているせいだ。
その愛媛県南部にある町が八幡浜にようやく到達した。おそらく、残りの人生でこの町に来ることは二度とないような気がする。それくらい、遠いと感じる場所なのだ。

この八幡浜は、街全体がちゃんぽん推しをしている「ちゃんぽんシティー」だった。そのちゃんぽんマップの中にある一店を選んで実食することにした。屋根のかかったアーケード商店街の中にある食堂だった。店名を見るとお食事処とある。これは、期待できそうだ。今や、風前の灯となっているマチ中の大衆食堂ではないか。

店頭にかかったバナーを見ると、どうもスープはクリアタイプらしい。野菜が多めに見える。お江戸界隈のローカル麺、タンメンと似ている感じがする。

いざ実食してみた。注文する時に最初に聞かれたにが大盛りにするかだった。どうやら、大盛りがデフォルトらしいのだが、自分の腹をいたわり普通盛りにした。それが正解だった。後から来店した女性客が誰もが大盛りを注文していたから、やはりここのちゃんぽんは大盛りが定番のようだ。
スープはあっさりで塩ラーメン的な味わいだった。野菜がたっぷりと乗っている。麺も細めな感じがよい。長崎ちゃんぽんとは全く別系統のようだが、長崎で発祥したちゃんぽんが九州島を横断して四国に渡ったという物らしい
天草は海路で繋がる西九州の文化圏だが、ここ八幡浜は長崎と海で繋がっているとは言い難いほど距離がある。ただ、日本海周りで関門海峡から瀬戸内、豊後というコースで伝わるとすれば、阿蘇山を越えて陸路を通るよりは伝達速度が速そうだ。
今でこそ、山陽・九州新幹線の道筋がメインルートのように感じるが、江戸期までは瀬戸内海上ハイウェイ、豊後経由で日田・久留米・長崎と西に行くルートが主動線だったのだから、思っている以上に長崎・八幡浜は近かったのかもしれない。
三大ちゃんぽんの伝播に思いを馳せ、中世日本の交通路を振り返る。うーん、歴史的学びをの多いちゃんぽんお試しツアーだった。

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ラーメンの話 徳島の体験

やはり阿波踊りの本拠地に来たら「ラーメン」を食べないわけにはいかない。と思い、駅前の有名な店に行ったら券売機の前に行列ができていた。まあ、人気店だから仕方がないなと思っていたら、大量のチャイニーズスピーカーがやってきて、食券も買わずに店内に入っていく。ラーメン屋でもインバウンド対応で予約席を作るのか、とうんざりしていたら、店員に追い出されてきて券売機で食券を買うようにと諭されていた。ただ、その日本語のご指導が全く理解できていないようで、おまけにガイドらしき案内人風な男も日本語がよくわからないようだった。
そして、いきなり券売機前に並ぶ行列の先頭に行き、割り込んで食券を買い始めるではないか。割り込まれた客も戸惑っている。それをみて、すっかり並ぶ気が失せた。オーバーツーリズムどころではない。日常における不文律を守らない無法ものが存在する店になど怖くて入っていけるものか。(店の責任ではないのだが)
というわけで、そこから少し離れた場所にあるラーメン店に行き先を変えた。

小ぶりな店だが、いかにもラーメン店という感じがする。店内は明るい。日本語以外の文字もない。よしよしだ。多分、まだインバウンド客情報に侵略されていないのだろう。メニューはシンプルでラーメンとチャーシュー麺、チャーハンに餃子。これはひと目で信頼できる。
店内が明るくて綺麗な店、つまり掃除が行き届いていて床が油でべとべとしていない中華料理店は実に少ない。だから、店に入った瞬間にその店のレベルは大まかに判断できる。この店は大あたりだと思った。

豚骨醤油のコッテリ系スープだが、とんこつ特有の匂いは控えめだ。麺はストレートな感じの歯応えがあるタイプで、いや、これ実に好みのラーメンではないか。チャーシューも低レベルの店でよくある「豚肉臭さ」がしない。優れものだった。

初めての店でチャーシューメンを頼まないのは訳があるかなりの確率でチャーシュー作りを失敗しているラーメン店、中華料理店が多いからだ。特に、豚肉の匂いを消しきれていない店は多い。最近流行りの「危ない」低温調理チャーシューはほとんどアウトだと思う。臭くて食えない店が多い。
その次にまずいチャーシューは、煮過ぎて肉の味が全て溶け出してしまったようなカスカスの煮豚だ。これもよくある。単純に不勉強なのだとも思うが、ひょっとすると毎日作っている「商品」を試食もせずに販売している可能性もある。初めての店で美味いラーメンに出会うのは、なかなか大変なのだ。
今回は無法もののインバウンド連中に感謝すべきかもしれない。もし彼らが礼儀正しく行列に並んでいたら、この店に来ることはなかった。人生、万事が流転するのだよ。それもきっと良い方向にね、と我が身を慰める哲学的な夜になった。次の機会があればチャーシューメンに決まりだな。