
高知県四万十町と言われて、その場所がピンとくる人は少ないと思う。高知県は東西に長いが、四万十町は県西部の中央に位置する。香川県から高知県につながるJR土讃線の終点の駅がある。ここから愛媛県につながるJR予土線と、高知県西端の街、宿毛につながる黒潮鉄道の接続駅でもあり、乗り鉄にとってはなかなか魅力的なポイントだ。
ちなみに四万十町とは別に四万十市も存在するので、この辺りを訪れるときはきっちりと住所確認をする必要がある。
そんな街で、たまたま一晩泊まることになった。長い付き合いの友人が、隣町にも関わらず一夜の宿を手配してくれた。昔から続く老舗旅館の主人が、離れとして小さいホテルを開けたということだった。ぱっと見では古民家改造の旅館風だったが、実は歴とした新築で、内部のデザインも和をベースにして木を生かした作りだった。モダンジャポネスクという言葉が記憶の中から飛び出してきた。友人曰くビジネスホテルだというのだが、これはプチホテルというカテゴリーだろう。ペンションともちょっと違う気がする。

高知県は山と森林がほとんどの「森の国」なので、木材を使った建物がもっと多くても不思議はないと思うのだが、意外と木造建築は少ない。木のテイストを生かした建物で思い出すのはJR高知駅くらいだ。確か高知県長も高知市役所もガチガチの鉄筋コンクリート建造物だったような気がする。おしいなあ。
このプチホテルの2階で一晩過ごしたが、小ぶりながら快適な部屋だった。このオシャレ空間にむさ苦しいおっさんが泊まるのは場違い感がある。が、たまにはこういう洒落乙な宿も良いではないか。

チェックインするフロントは別の建物にある。食堂もそちらだ。ただ、そこに至るたる小道というか小路というか、それがまた風情がある。こういうのは計算され尽くしたものだと思うが、良いホテルは細部にこだわるものだ。作り手の感覚が優れているのだろうなあ。自分位は無理だと思う。

部屋の天井は木が剥き出しだが、これがやはり良い感じだ。宿の主人は実家の旅館を継ぐまでは美術関係のお仕事をしていたそうだ。人として感性が違うのだな。自分のようなおっさんでも、このホテルの良さ、細部までこだわった作りは理解できる。
もう一度泊まってみたいと思うが、どうやら観光シーズンは満室が続く人気ホテルだとのこと。それも納得できる。
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