旅をする

あちこちにいるアン○ンマン

アン○ンマンはJR四国の土讃線・予讃線を支配している。少なくとも幼稚園に通う子供たち、それより下の歳の子供達の心を鷲掴みにしている。その吸引力は時にママやパパへの愛情を押し除けるほど強いものだ。
この丸い顔のキャラクターとそのファミリーで満載された特別列車は、おそらくだが週末はとてつもない混雑なのではないかと思っている。ただ、子供時代の純真な愛情をすっかり失って久しいジジイ世代としては、このキャラ列車に乗っても特別な感慨はは生まれない。JR九州のデザイン列車であればなかなかときめくものもあるのだが。
車内が明るいなあとか、あちこちにキャラがいるなあとか、つまらん感想しか出てこない。感動は……………ないなあ。
ただ、ジジイ世代向けにこの特別列車は違う魅力があるはずなのだ。孫を連れて日帰り旅行を楽しむジジイの絵が頭の中に浮かんでくる。孫ッチのご機嫌取りにいそいそとアン○ンマン列車の乗り込むジイさん、バアさんという光景は、パパとママの姿よりしっくりくる。おまけに、まだこのキャラは外国人アニメオタクの侵略を受けていないようで、異国人に車内が占拠されることもない。
オタクに向けたキャラ列車は確かに短期的な収益は上げやすいし話題にもなる。ただ、少子高齢化に悩むこの国にとって、ジジイババアのエンタテイメント、つまり孫に阿る活動はもっとも広がりがあるビジネスではないかと思うのだが。
阿蘇では復興のためにワン○ースのキャラ列車がはしているそうだが、例えば国民的なアイドルキャラ筆頭の「青い猫型ロボット」列車を日本海沿いにリレーで走らせるとかやらないかなあ。新幹線の路線はあえて外して地域の活性化に繋げるのが吉だ。中央本線は新宿から松本経由で名古屋前、ライダー列車にするとか、東北本線で東宝怪獣キャラ総出演とか。東海道53継でウルトラ怪獣53体を撃破せよとか。ゴールは大阪駅でバル○ンがお出迎え……………いや、大阪城決戦はゴモ○だったか。楽しい妄想だなあ。

JR四国の主要駅ではそれぞれ趣向を凝らしたキャラお出迎えが準備されている。個人的には松山駅が一番よろしいと思う。駅内で一番良い場所を占領していたが、お子様にとっては絶好の撮影スポットだろう。バイキ○マンではなくド○ンちゃんなのは、昨今のジェンダー問題への配慮なのだろう。意外と芸が細かい。

岡山から高知へ向かう特急も、なぜか高知駅ホームでしばらく待機しているので、時間さえ合えば親子揃って(いや、ジジババ孫ッチ揃って)絶好の撮影スポットになっているのだが、意外と写真を撮っているファミリーを見かけたことがない。たまに、女一人旅風の観光客が熱心に写真を撮っているのをみることはある。おそらく、2歳くらいからの熱狂的なファンなのだろう。大人になって念願の一人アン○ンマンツアーを楽しんでいるに違いないと思っている。

高知駅ではホームに上がる階段が撮影スポットみたいだが

アン○ンマンの著者が生まれた高知県だが、意外と高知駅に撮影スポットがない。松山駅とは大きな差があるなあと思うが、これはJR四国の管轄違いによるものだろうか。駅長の考えなのだろうか。あれこれ考えてしまう。
ちなみに、高知駅から、あの有名なはりまや橋に続く駅前通りには、あちこちにアン○ンマンファミリーの石像が並んでいる。鳥取県境港市には鬼太郎ファミリーがこれでもかと道沿いに並んでいたが、あれよりはだいぶひっそりとしている。石像設置の担当が高知県なのか高知市なのか観光協会なのかはわからないが、登場キャラ全部を並べるくらいの気概を見せて欲しいものだ。アン○ンマンファミリーには軽く100を超えるキャラがいるはずだから、全国の腕自慢な石工を集めて石像製作コンテストでもやれば良いのになあと思う。

高知空港では全体的に龍馬ラブが溢れまくっているので、アン○ンマンはほとんど脇役だ。2階の休憩ロビーにあるキッズコーナーにひっそりと立っている。この隣には高さ2mを超える鳴子(よさこいの必須アイテム)があって、その脇役というかおまけ扱いになっているのが寂しい。
主要ファミリーを最低でも十人くらい登場させて撮影スポットにすれば子供に、そして子供を喜ばせたいパパママ、ジジババには大人気になるだろうに。少子高齢化対策などと行政が下手くそな策を講じているが、子供を喜ばせる施設をもっと大量に作って、じじばばに孫を連れ歩くようにすれば、つまり孫のために金をたっぷり使わせるネタを作れば、経済活性化と併せて良い試作になるのになあと思う。
子供が喜ぶ姿を見れば、パパママはもう少し子作りに頑張るだろうし、ジジババは孫っちの面倒を見ることで体を動かし健康寿命が伸びるというものだ。子供が一人では一回しか行かない「お子様向け施設」も孫の数が二人、三人となれば当然ながら行く回数も増える。

アン○ンマン文化が国を救う、社会を守る。まさに描き手が思い描いた元気百倍な良い社会の実現ではないか。来年、この著者を主演とした某国営放送の朝ドラの舞台になる高知県はどれだけどれだけ自分の金を突っ込むのだろうか怪しいものだ。ただのり便乗商法は避けて欲しいものだがなあ。

どうもアン○ンマンの理念は、子供にはよくわかってもらえるが、金儲けをしたい大人には難しすぎるらしい。

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