旅をする

文句を言ってはいけないとは思うが

高知市内で馴染みの店が休店していたので街中を彷徨い歩くことになった。忘年会シーズンのせいかどの店も満席で晩飯難民になりかかった。全国チェーンの大箱であれば何とかなるかと入ってみたら、幸運にも席が取れた。ただ、幸運はそこまでだった。
忘年会シーズンなので、料理の出てくるのが遅いのは何とか諦めがつく。隣の席が大人数の宴会で、そこから聞こえる大声の会話も居酒屋としては仕方がないとも思う。

ただ、高知に来ていてお江戸風の居酒屋料理を注文する気にもならない。高知県人が普段と異なる江戸風料理を食べたくなるのは理解できるが、こちらはそれに合わせる必要はない。高知でハンバーガーチェーンに入ると負けた気がする。居酒屋でも似たようなものだ。
だから全国チェーンの居酒屋ではあるが、店頭に観光客向けで高知料理のメニューが掲げられていたので、、それをいくつか注文することにした。

普通な「いものてんぷら」

ナスのたたきとは高知の家庭料理で、特別に決まったレシピーがあるわけではなく、それぞれの家庭で色々とアレンジされているそうだ。揚げなすをポン酢的なタレで食べる料理だと理解している。それを注文したらあまりのルックスの違いに驚愕した。
ただ、気になって店頭のメニュー写真と現物の写真を撮り比較してみたら、まあ、別物というほど違っているようでもない。メニュー写真の方がうまそうには見えるが、よく広告などに書いてある「写真はイメージです」的なものと考えれば許容範囲かもしれない。
注文する時にメニュー写真のイメージが勝手に膨らみ、現物が出てきた時に違和感を感じただけなのだろう。でもねえ、ちょっと違うよなあ、と心の中で声がする。

いも天は、高知日曜市で出店している有名な人気店の看板メニューだ。甘めの衣がついたさつまいもの天ぷらといったもので、高知のあちこちで「いも天」類似品は売られている。だから、当然のように各店ごと味も違い形も違う。
ただ、この時に出てきた「いも天」は、普通な衣の天ぷらだった。うむうむ、芋の天ぷらであることに間違いはないから、名称詐称とは言えない。確かに芋の天ぷらだ。普通にうまい。でもね、高知でいも天と言えばこの味ではないのでしょう?と言いたくなる。

このモヤモヤした感じは、高知市内の店で高知料理を注文した気分から来る、いわゆるご当地バイアスなのだと思う。同じものが高知名物料理としてお江戸の盛場、新宿・渋谷・池袋あたりで登場したのであれば何の抵抗もなく受け入れるだろう。
だから教訓として学んだことだが、旅先で全国チェーンの店に入ってはいけないし、もしも仕方がなく入ってしまった時はご当地メニューを注文しないこと。唐揚げとか肉じゃがとか冷奴であればご当地バイアスで悩むこともない。

責任はお店にあるのではなく、あくまで自分にあることをよく理解しておきましょう。だから、次回は絶対に居酒屋「葉牡丹」だなと思うのだが、葉牡丹でいつも注文するのはオムライス、酢豚、焼き鳥……………全く高知の匂いはしないのだけれどね。

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