
北海道特有の言い方であるザンギは鶏唐揚げのことだ。ただ、スーパーの惣菜売り場でもザンギと鶏唐揚げが別々に売られていることもあるので、普通うの鳥唐揚げとは味の違いがある。(はずだ)
ただ、ザンギの正しい定義などあるものだろうか。なにやら諸説あるが誰もそんなことを気にしているとも思えない。あえて言えば、にんにく生姜で醤油味というくらいだと思っていたら、最近は塩ザンギなるものが勢力を伸ばしている。ただ、塩ザンギと鶏唐揚げはもはや区別をつけるのが難しいと思うのだが。
その辺りは、言語が極めてアバウトに使用される「北海道的」解釈ということだろう。誰も詳しく咎めたりしないし、それで説明終わりにしても良さそうだ。
塩ザンギよりすごいものがある。十分すぎるくらい濃い味付けのザンギに「専用タレ」をつけて食べるという、ザンギの変形あるいは進化系も存在する。タレ付きザンギで一番有名なのは釧路の町外れ(正確には隣町)にある山盛りザンギの店だろう。ザンタレと呼ばれているが、一人では完食不能な量が一人前で、九分九厘食べ残したザンギを持ち帰ることになる。
その店は車で行かなければいけない場所にあるので、当然ながら帰りの車内はにんにくスメルで充満する。にもかかわらず平日でも行列のできる人気店だ。
北の街でも市民の大多数がその名を知っている(らしい)ザンギの名店がある。正式には町中華でありザンギ屋ではないのだが、ほとんどの客がザンギを頼む。そのザンギ屋が鮨と中華という禁断の国合わせのメニューを出す支店を作った。これがまた大人気店で、予約をしないと入れない。

そのザンギ・中華・鮨の店でランチメニューの旨辛麺を注文した。どんなものが出てくるのか楽しみにしていたのだが、麺より先にザンギが来た。まあ、ザンギは前菜だと食べ始めたところに、一面がレッドな麺が来た。赤みの強い麻婆豆腐のように見える。食べてみると、エビやイカが入った海鮮麻婆豆腐だった。これは美味い。麺の上に乗せるのではなく単品で食べたい。
麺料理の完成度としてはどうよと言いたいくなるが、実はこの店の本店でザンギの次に人気のあるのが麻婆麺らしい。だから、この赤い麺は麻婆麺のアレンジ商品なのだと思う。麺の上にあんかけを乗せたり(広東麺)カニ玉を乗せたり(天津麺)、はたまた野菜炒めを乗せたり(関東圏のタンメン)、麺料理のトッピングはなんでもありの自由な世界だから、そこに文句をつけるつもりはない。仙台では焼きそばの上に麻婆豆腐を乗せているくらいだから、麺料理は本当になんでアリなのだ。
だが、しかし、海鮮麻婆豆腐とは想像の斜め上をいくという感じになる。それも麻婆豆腐本流である「しびれ」ではなく「辛味」推しなのだ。本格的な中国料理(大陸の正式レシピーで作られたもの)と比べて、町中華のなんと自由奔放なことか。いつもそれには驚かされる。
結局、鮨と中華の組み合わせを楽しむ前に白旗を上げてしまった。次回は、麺抜きの海鮮麻婆豆腐を注文してみたい。ザンギを諦めればもう一品追加できそうだが、それはザンギやとしてありえない選択だしなあ。昼飯抜いて夜に行くことにするしかなさそうだな。