
所用がありちょっと遠出をした。あれこれと打ち合わせをした後、気がつけば昼飯の時間を過ぎていた。帰りの運転がてらどこかのレストランで遅めの昼食にしようと思ったのだが、前日に見たテレビ番組の記憶に引きずられてしまった。
それは深夜の飯テロとして有名な番組で、録画したものを適当に見ているのだが、たまたま前日に見たのが焼肉のシーンだった。その「飯テロ」記憶が空腹と連動して、たまたま進行方向にチェーン焼肉屋の看板が目に入った瞬間フラッシュバックした。実に衝動的な、だからこそ圧倒的な強さで「焼肉食いてー」となってしまった。気分はすっかり五郎さんだった。
一人焼肉など何年振りかと思うくらいだが、大衆価格の焼肉チェン店もこの数年間でかなりの値上がりになっていた。昔はワンコイン焼肉ランチなどという有難いものがあったが、いまは昔の話になっていて、焼肉ランチはだいたい1000円超だ。だが、今日は価格の問題ではないと断じつつメニューを睨んだ。この店は焼肉店なのにメニューがやたらと複雑だ。肉の種類や組み合わせをあれこれ悩むとほぼ無限大のメニューに拡散してしまう。
なので、まず食べたい肉を決める。カルビかロースかみたいな話だ。そこに豚とか鳥を混ぜると話がややこしくなるので、牛肉一本に絞る。続いて肉の量を決める。昔であれば200gや300gはへっちゃらだった(と思う)が、いまでは肉の量を慎重に決めなければいけない。一番下の量80gでは物足りないだろう。160gにすれば大きめのハンバーグくらいだからなんとかなるか。みたいなことで肉を決める。
そして、ランチメニューにはスープのオプションもある。セットメニューの基本はワカメスープだが、割り増し金を払えばカルビクッパに変更できる。カルビクッパは好物なので、これは外せない。ところがカルビクッパは量が多い。小ぶりのラーメン丼くらいの起きさだ。そうすると、総摂取重量が増加するので胃袋の限界問題が発生する。
だとすれば、白飯の量を並から小に変更だ。当然、もう一つのオプションであるサラダとキムチの選択も量の少ない方、つまりキムチを選ぶことになる。
ここまで慎重に考えてようやく注文できるのだが、注文はタッチパネルなので焦って決める必要はない。横に従業員が立っていて注文を取る従来型スタイルであれば、緊張のあまり適当に頼んでしまうに違いない。焼肉屋の技術向上は確かに役に立つではないか。ここまで、ほとんご気分は五郎さんになりきっている。
とあれこれ迷いながら頼んだ焼肉ランチセットだったが、結論を言うとカルビクッパはやめて焼き肉をもっと増量しておけばよかった。意外なことに思っていたより肉を食べても胃袋の余裕があったのだ。人は歳をとると食が細ると言うが、肉の量に関してはそうでもないらしい。さすがに丼飯で焼き肉を食う元気はないが、米を少なめにして肉をたっぷりであれば、まだ行けそうらしい。何年ぶりかの焼肉屋で気がついたことだ。
うーん、また肉が食いたい。