食べ物レポート

はじめてのラーメン居酒屋

島原で夕食難民になった。地方都市では平日、火曜とか水曜に飲食店が休みになることが多いようで、この日の島原では営業している店が少なく、どの店も満員だった。いよいよコンビニで弁当でも買うかと思った時、線路の向こうに明るく輝く店を見つけた。
店の前に来て思わず笑ってしまった。ラーメン・居酒屋とはありそうで、なかった業態な気がする。町中華を居酒屋使いすることはたまにあったが、この店ははっきり自分で居酒屋と宣言している。いさぎよい。

店の入り口横にもしっかり書いてある。確かに昼と夜で営業スタイルを変える二毛作店舗はよく見かける。お江戸の蕎麦屋なども昼は食事屋、夜は居酒屋というところが多い。が、蕎麦居酒屋と名乗っているのを見たことはない。大阪の天満にうどん居酒屋があったことは記憶しているが、今でも営業指定いるのだろうか。香川県で讃岐うどんの店は、夜だけ居酒屋になっていることもあるらしい。
だから、ある意味で「ラーメン」居酒屋は新鮮に思える。ひょっとして素晴らしい業態ではないかと期待感が高まってしまった。

店内はほぼ満席状態だった。大人数のグループが二組ほど宴会をしている。大盛況だ。その中に、子供を連れた家族客が普通に食事をしているのが、なんとも場違いに見えてくる。そちら家族客の方がラーメン屋としては普通だとは思うが。
メニューを見ると、町中華系の定番が並んでいるが、一番びっくりしたのは地魚の刺身があることで、なるほど、これは居酒屋だなと改めて感心した。ただ、ラーメン屋で刺身を食べるのはちょっと抵抗がある。
九州ではよく見かける甘酢の鶏皮を注文したら、なんとびっくりするボリュームで登場した。お江戸の居酒屋もこれを見習って欲しいものだ。お江戸スタイルを想像して注文したのだが、これだけで腹が膨れそうな勢いだった。

その後、つまみを追加した後に「ラーメン」を注文した。いわゆる九州系とんこつラーメンだった。よく考えれば、ここは長崎県なので豚骨ラーメンではなく、ちゃんぽん文化圏ではないかという疑問が浮かぶ。
出てきたラーメンを見ると、博多ラーメンに近い。食べてみれば、見た目とは若干異なり博多ラーメンよりあっさり系の豚骨スープだった。福岡県、佐賀県、長崎県の北部九州は食文化的には近しいのだろう。ただラーメンということで言えば、隣県である天草諸島を挟んだ熊本県とはちょっと違うような気もする。地続きと海の向こうの違いかもしれない。

お江戸でラーメン居酒屋、成立しそうな気もするのだけど、なぜか見当たらない。不思議だ。

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