
土佐国、漁師町久礼にある一軒の居酒屋に最近はよく通う。友人の家から徒歩1分という便利さもあるが、こちらの店主が作る料理がなかなかうまい。漁師町だが魚にやたらとこだわっているわけでもなく、創作料理というか、料理の腕前で勝負という感じの店だ。

高知名物といえばカツオだが、その鰹の太巻きが「土佐巻き」と呼ばれ、高知に行ったら必ず食べるべきローカルフードだ。鰹の鉄火巻きといえばわかりやすいが、中にニンニクの薄切りが入っている。土佐流の鰹の食べ方はニンニク薄切りを薬味にするので、巻物としてはかなりパンチのあるものになる。これがうまい、好物だ。
鰹のタタキを食べすぎると(贅沢な話だが)、違う食べ方をしたくなる。その時に、土佐巻きは最高だ。この店の良いところはハーフサイズで注文できる。土佐巻きを一人で一本食べると酒が飲めなくなるくらい満腹になるが、ハーフであれば肴としてちょうど良い。

もう一つの高知名物「ナスのたたき」は、揚げなすをたっぷりの野菜と酢醤油、ポン酢で和えたものだ。これも高知以外では見ることがない。目立たないが野菜料理としての完成度は高い。高知の隠れ名物だが、一般的には家庭料理らしく、作り方、レシピーも千差万別というか、我が家のカレー的なバリエーションがあるようだ。という蘊蓄を聞かされながら、揚げ出しナスを食べていた。
どうも店主はナスのたたきに思い入れがないようだ。他の居酒屋でもあまり見ることはないので、客に出すほどの料理ではないということなのかもしれない。うまいんだけどなあ。