
岡山駅近くにある百貨店の裏側は、相当に賑わう飲屋街だった。ただ、不思議なことに魚居酒屋・寿司屋が見当たらない。地元民であればみんな知っている有名店がありそうなものだが、旅先で訪れた街ではなかなか見つけにくい。いかにもうまそうな大衆居酒屋的な店はどこも満席で入れそうにない。飲み屋難民だななどとぶつぶつ言いながらさまよっていたら、どこかでみた店名がある。
北海道ではおそらくナンバーワンの知名度を誇る焼き鳥チェーンの名前ではないか。ついに、東京・大阪を乗り越え岡山まで出店したかと感動した。

おまけに看板を見ていると、骨付鳥まであるではないか。この骨付鳥は瀬戸内海の反対側、讃岐国では圧倒的な人気商品のはずだが、瀬戸大橋を超えて岡山にも渡ってきたか、すごいぞ串鳥………と思って気がついた。脳内で店名を漢字変換したので気がついた。この店は、「串鳥」ではなく「串どり」ではないか。妙にパクった感がある。いや、たまたま同名で字が違うだけだと思う。そういえば見慣れたロゴもないしなあ。と思いつつ、これも何かのご縁かとこの店に入ってみることにした。
中に入れば普通の焼き鳥屋で、注文した焼き鳥は普通にうまかった。問題なしだ。それでも岡山の骨付鳥が気になったので、焼き鳥の追加注文は取りやめにして、骨付鳥を頼んでみた。

出てきたものは、讃岐の骨付鳥とはだいぶ異なる。と言うか、ルックスは骨付鳥とはほとんど別物で、食べてみれば味付けも全く別物だった。似ているのは親鳥の肉が固いことだけだった。料理というものは生まれたところからだんだんと変化しながら伝播していくものだと理解はしている。しかし、瀬戸内海という海を渡ると距離的には近くても劇的な変化を遂げてしまうらしい。料理の創作とアレンジの間には、これまた随分と深い深淵があるようだ。鳥料理について、また一段と学んでしまう夜となった。