目黒でホール落語を聞いた帰りに同行者とよく立ち寄ったのが鳥貴族だった。良い演者、演目をみた後は、その感想を話したくなる。そんな時にちょいと立ち寄るには便利な店だった。
そんなことを思い出し、鳥貴族に入ってみたが、よく考えると最後に鳥貴族(多分、東京都内のどこかの店)に入ったのはコロナの前だったから、少なくとも5年ぶりになる。値段は290円(?)から370円に上がっていたが、以前は本体価格表示で消費税込みだと330円だったはずだ。今は税込み価格なので、実質的には1割程度の値上がりということになる。このご時世、随分と良心的な価格調整だと感心した。
まず、ちからこぶの黒胡椒串焼を注文したのだが、「ちからこぶ」とは耳慣れない言葉だ。調べてみると手羽元らしい。鳥貴族は大阪発祥のチェーン店なので、鳥の部位の名称がお江戸とはちょいと異なる。食べれば美味いので問題ないが、頼む時にこれはなんだと思ってしまうことがある。まあ、たいした問題ではない。
さらに載っているマヨネーズにちょっと驚いた。そういえば、焼き鳥にマヨネーズをつけて食べるのは初めてかもしれない。マヨネーズをつけてみても、普通に美味しい黒胡椒焼き鳥だった。

もう一つ気になっていたのが「岩下の○生姜」を使った鳥唐揚げだった。生姜を使った食べ物は気にいっているので、これも勇んで頼んだのだが大正解だった。ただし、出てきた時はルックスにびっくりした。串に刺さった唐揚げが登場して生きたからだ。失敗して黒焦げになった焼き鳥が間違って出てきたのではないかと思ってしまった。
抜刀唐揚 ~紅生姜編~ とメニューには書いてある。串を外してお召し上がりくださいとのこと。何事も慌ててはいけない。あちこちで鳥唐揚げは食べ続けているが、これはとても好ましい味付けだと感じた。個人的には大好物認定しよう。
すりおろした生姜をつけだれに入れて生姜味の唐揚げにするのは普通だが、これはそれとは異なり、もう少し生姜の主張が強い。それが実に美味さを感じさせる。まあ、単純に個人的なショウガ大好き嗜好にハマっただけかもしれないが、うまいものはうまい。

コロナの後、鳥貴族は拡大再開しているようで、それはそれでめでたいことなのだが、自宅のそばにあった店は閉店してしまった。なんとか再出店してもらえないものだろうか。でもパルコが閉まったせいで、街は一気に寂れているから無理かもしれないなあ。
そういえば、この店の従業員の話す言葉が、全くどこの国の言葉かわからなかった。顔つきはアジアン系だったので、ミャンマーとかカンボジアとか、東南アジア内陸部の人たちだろうか。東京都内の居酒屋では、人手不足のせいで多国籍の人たちが働くから共通語が日本語になっていると聞いたが、確かにそうれはありそうなことだ。となると、ますます自宅付近での出店は望めそうにないなあ。