食べ物レポート

慣性の法則は回転寿司に厳しい

スシロー、くら寿司、はま寿司が回転寿司業界の大手三大チェーンだ。スシロー、くら寿司がそれぞれ事件を起こした後、お値段を上げて複雑な怪奇な食べ物屋になったのとは異なり、はま寿司は百円均一路線をできる限り守ろうとしている。
くら寿司は回転寿司専業であるだけに、ある意味の見識がある。鮨屋ではなく回転寿司としてのプロ意識みたいなものだ。スシローはファンド所有の変わり者外食企業だけに、ビジネスに関して独自な価値観を持っているようだ。業態に関しては若干、ドライな感覚を持っているように感じる。
はま寿司はすき家率いる巨大外食コングロマリットの一員だが、DNA的には正しいファストフードの一族だと思う。つまり、合理化と巨大化で低価格を志向する。個人的には貧乏人に幸福をもたらす幸せ産業だと思っている。だから、はま寿司に関しては細かいことをぶつぶつ言わない。言うつもりもない。それでも今の外食産業を知る定点観測をするにはもってこいの企業なので、二月に一回ほど視察に行くのだ。

鯖はもともと低価格ネタのトップクラスにあったが、最近の回転寿司業界では値段が上昇気味だ。はま寿司の鯖は、見た目は残念な感じだが味には問題ない。低価格を維持するための貴重な努力だ。

マグロのすき身にタレをかけた軍艦巻きは、まさに大手外食企業が腕を見せる、つまり低原価のものを美味しく仕立てることに絶好なネタだ。これも普通にうまい。中に何が混ぜてあるかは詮索しないのが正しい客の流儀だろう。そう言うことをしたい人間は、回転寿司に行ってはいけない。 

とうもろこしのかき揚げが乗っている一皿。揚げたてらしいので熱々でカリカリだった。ただ、カリカリすぎるので料理の時間を間違ったのではないかとも疑ってしまった。揚がりすぎてコーンの味はどこにあるのかといった感もある。かき揚げと寿司はあまり相性が良くないと思うがなあ。
この時期にあちこちでコーンというかとうもろこしの天ぷらで出てくる。生のとうもろこしをあげるのか、下茹でしてあるのかはわからないが、それを食べて感じることは工場生産できるものではないよということだ。このかき揚げ、ちょっと残念な気がするが、季節の賑わいとしてはなかなか良い。

一番残念というか笑ってしまったのが、シャリ玉に海老天を乗せたもの。天むすの寿司版みたいなイメージなのだろう。味がどうこうというつもりはない。ただ、シャリの上に海老天を乗せて、その上にトッピングとしてネギを乗せる。そうなると、完全に積載重量過多になっているのだろう。
回転レーンを静々回っているのであれば何とかなるのかもしれないが、今では寿司は回るものではない。特急レーンを高速で移動してきて目の前で急停車する。その時、無情にもえび天には慣性の法則が働いてシャリの上から転落する。面白いのがエビの転落は前後両方になることだ。

おそらく、まず皿が止まった瞬間に前面の海老天が落ちる。その後、反動て後ろの海老天が落ちるのだろう。見事にはシャリ玉2個を挟んで前後というか左右に海老天が鎮座する。こちらは、おもむろにシャリ玉を取り、その上に自分で海老天を乗せネギを乗せパクりと食べる。回転寿司でセルフ寿司メイクするのもなかなか乙なものだ。

慣性の法則まで計算にいれて料理するのは、料理人に酷というものだろうなあ。でも、海老天の向きを考えて皿をレーンに乗せれば対応できるのかもしれない。そうなると、店のオペレーション問題かも。いや、回転寿司は奥が深いねえ。

コメントを残す