
オムライスが好物だ。子供の頃からの好物だが、小さい頃はデパートの大食堂で食べていた。大人になってからは、洋食屋の小洒落てオムライスより町中華のオムライスを好んで食べていた。
そのせいで卵焼きは多少焦げ目のついたぶつぶつ感があり、おまけにペラペラな薄さのものが好みなのだ。だからこんな綺麗に焼き上げられた卵で包まれたオムライスには、いつもちょっと腰が引けてしまう。身の程知らずの高価な食べ物感が付きまとうせいだろう。
それでもケチャップの赤と卵焼きの黄色のバランスにはいつも感動する。うまさを本能的に感じさせるのが素晴らしい。この赤と黄色のコントラストは、多分人類の遺伝子レベルで刻み込まれたうまいもののシグナルだろう。
肉料理に多い、茶色と黒とくすんだ赤というバランスは「ご馳走感」と紙一重だが、その分うまさを感じ取るには経験値が必要だ。いわば、大人の贅沢感みたいなものだ。ところが、黄色と赤は何の疑いもなく「うまさ」を感じさせる。幼い子供でも理解できる原初の記憶にあるご馳走カラーリングだ。
実食してみた。中のチキンライスは実に上品で、油っぽさなど感じない。ただ、チキンが小さい。個人的には大きく切ったゴロリ感がある方が好きなんだが。確かに都会的なオムライスとはこうなるのだ。
完食して店の外に出たら、子供連れの家族を中心に、それもほぼほぼ女性客で長い行列ができていた。ざっと人数を数えてみると、おそらく最後尾は1時間以上待つことになる。オムライスの人気はすごいものだと再認識したが、おやじやじじいにはあまり関わりがない人気のようで、それはそれで納得した。
そういえば店内には40歳オーバーはいなかったような感じも……………