今更ながらなのだが、youtubeのコンテンツは、ほとんどエンサイクロペディア、百科事典化していると気がついた。Wikipediaと合わせて動画版百科事典という補完関係にあると思う。そう思うきっかけになったものが
これだった。
米国炭酸飲料水会社の宣伝をしたいわけではないが、やはり世界企業は宣伝にかける資金が潤沢だ。このクリップ集に集められた30秒CFの制作費は億単位だろう。ほとんどがロケ撮影だし、天候の予備日などを考え合わせると、「映画本編」を撮るより金がかかりそうだ。
テーマはそれぞれの時代に合わせた「流行りもの」になっているし、その時のファッショントレンドに衣装がはまっている。髪型やメイクアップの仕方も含め時代感がよく出ている。作り物ではないレトロ感とでもいうべきだろうなあ。
一方、映像のテーマは人類普遍のものだ。家族、友達、仲間との共有する時間、空間を彩る笑顔のオンパレードだ。アメリカンな、あるいはグローバル企業の「良い部分」「キリスト教世界の善良なる部分」が確実に反映されている。
歴代CFを並べてみると気がつくのが、登場する人物造形で男はメガネくんが多いが、女性はメガネなしが多い。歯並びは全員が綺麗なもので、美意識がグローバル寄りのように感じる。米国的イケメンは、やはりクラーク・ケントなのだと思う。この辺りは日本CMにおいて意外と統制されない隠れ条件だろう。
スポーツ・シーンが多用されているのも特徴的だ。米国的という感じがする。著名なCF、それも日本的な美意識で撮られた国産シリーズものCFとしては、ソフトバンクやドコモの映像が思い浮かぶ。
基本的に国産CFでは日本的「情緒」が優先され、スポーツ選手を使ったCFですら「運動」を映像にしたものは少ない。あのイチローですらスイングシーンなどどれだけ使われたかという感じだ。
そして、このCFに出てくる人物全てが満面の笑み。もし人類社会がこの笑みで満たされていれば戦争など起きるはずもないと思うほどの、完全なる「幸せ」ムードなのだ。
それを否定するつもりはない。笑顔を否定する社会に未来はないとも思う。
ただ、この「笑顔」の素晴らしい世界はちょっと眩しい、眩しすぎる。日本人的にはもう少し影の部分があってもいいのではないか、などと考えていて気がついた。ああ、この感性が日本映画の名作品、例えば小津監督の諸作だったのだなと。
そして、今風に言えば究極の陰キャに時々落ちていく寅さんみたいな人が、影を持った人気者なのだと。確かにこのCF群の中に、寅さん的キャラは見つからなかった。確かに寅さんの笑顔ははにかみがちだし、この明るいコークの世界には似合いそうもない。
仕事をしている時に、こんなことを考えていたら間違いなく絶望的に落ち込んだに違いないと思う。(あまりの自分の実力の無さのためにだ)
が、今ではダメージも受けない。ただ、一本で良いからこんな映像を作ってみたかったなと思う。
随分と長いクリップ集なのだが、お時間のある時に最後まで見てもらいたいなと思いますよ。ご高齢の方専用ですけどね。