食べ物レポート

肉まん研究

暑い盛りのお盆ですが、残暑お見舞い申し上げます。

最近、肉まんの研究をしている。これまであまり関心を持っていない分野だったから、知識が全然足りていないので、有名メーカー各社のサイトや中華系料理の文献なども漁り、促成栽培的な情報収集をしている。
その中で初めてわかったのが、なぜ関西では豚まんというのかだった。首都圏で暮らしていると、肉の入った饅頭は普通に「肉まん」と呼ぶ。豚まんと言われても、肉まんを想像するので、格別問題はない。ただ、なぜ豚まんというのか理屈がわかっていなかった。漠然と関東と関西で味付けが違うのかななどと思っていた。
実際には、関西では肉まんというと「肉」=「牛肉」が一般的なので、豚肉を使った饅頭という意味合を強め正確に伝えるために「ぶたまん」と言い始めたらしい。
肉=牛、鶏肉=かしわで、ぶたにくと言わないと肉だけでは「牛」と勘違いするということだ。なるほど……………

さて、その豚まんを代表する大阪ブランドが551ホーライだ。首都圏でいうところの「シューマイ(シウマイ)といえば崎陽軒」みたいなもので、大阪では豚まんの代名詞だろう。肉団子やシューマイなども売っているが、基本的には豚まん専門店に近い。

店舗で蒸し上げた饅頭を売っている。製造直販だが、どの店も行列が絶えない。素直にすごいなあと思う。肉まんといえばコンビニのレジカウンターで買うものという常識が、大阪では根底から覆される。
味付けは濃い。そして、衣の甘さが特徴だと思う。買ってきて冷蔵庫で保存していたものを、レンジアップして食べても美味い。完成度の高さは賞賛すべきだ。

お江戸でホーライに匹敵する肉まん屋は存在しない。単店で有名な肉まん屋は何軒かあると思うが、大阪の豚まん屋の店舗密度はすごい。大きなショッピングセンターや百貨店にはほぼ完全に出店している。ターミナル駅は最低一店、場所によっては2店舗、3店舗と複数展開している。これはお江戸には存在しない。
それでも有名な肉まん屋、老舗ブランドはある。例えば赤坂の中料理店の肉まんだ。百貨店地下食料品売り場では何店か運営しているのから入手するのは容易だ。今回は池袋の百貨店の直売所で手に入れた。

ホーライとは違い、一個ずつ個包装されているチルド品だ。肉まんにもいくつか種類があり、普通の肉まんや辛い肉まん、野菜入り肉まんなどがある。ホーライの肉まんは130g、こちらは180g強なので5割ほど大きいが、お値段は倍近い。お江戸となにわの物価の差というより、店舗数や販売数が桁違いだから生まれる価格差だろう。

その肉まんだが、餡と皮に隙間がない、ぎっしりと詰まったっものだった。カレーパンでよく見る空洞化現象は起きていない。皮も厚みがあり、これ1個を食べると今日のお昼はおしまいという気分になる。ボリューム満点だが、味付けは塩味控え目で薄味だ。もうちょっと味付けが濃くても良いかなと思うが、そもそも赤坂の有名店だしなあ。都会的な薄味も当然で、バランスとしてはこんなものだろうか、などと考えてしまう。

野沢菜の漬物が入った信州名物、お焼きを思い起こさせる饅頭もあった。中身は漬物と大きなエビとツナ(たぶん)だった。変わり肉まんというべきものだが、これは信州お焼きの方がうまいと思う。味付けが薄いせいもある。
エビの食感は楽しいが、どうやら皮の厚さに味が負けている感じがある。これで一食というにはちょっと物足りない。量は十分だが、味で生まれる満腹感みたいなものにかける。
饅頭を食べながら健康に気遣うというのは、ちょっと変な感じもする。健康志向な野菜メインの饅頭というのはコンセプト的に難しいのではないか。饅頭界の奥は深そうだ。

もう少し、肉まん研究は続く。

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