
今年の高知観光ポスターは過去最高の出来でございます、と褒め称えたい。このモノクロ一色のポスターを「看板」として持ちあげ、いくつかの観光シーンをビジュアルで見せつける構成は実に素晴らしい。広告賞を取りそうな出来上がりだと感嘆している。
「どっぷりど級」は、「どっぷり、弩級」ということだろうが、すでに日本人の大半は弩級という字が読めないだろうし意味もわからないだろう。
だから、これは造語と考えるべきなのだが、広告表現としては問題ない。ちなみに弩級とは英国戦艦ドレッドノート級を表したもので、アメリカ合衆国を米国、連合王国をイギリス、英国と表記するような日本的略語だ。弩級は当時の一流戦艦の標準仕様であり、それを超える戦艦を作ろうと海洋国家は競い合った。超弩級という言葉が新聞をにぎわしたはずだ。日本の超弩級戦艦は、長門と陸奥、超超弩級が大和と武蔵だ。(記憶モードです)
だから、極上田舎は日本のあちこちにあるかもしれないが、高知はその中でも抜け出て極上、つまり弩級という意味になるはずだ。コピー全文を読めばなるほどという気がする。確かに高知っぽいことが並べ立てある。

その「ど・高知」の「ど・宴会」の店が、我が尊敬すべき年上の友人、先輩の店だ。今回は、まさにど・宴会を催してくれた。手作り料理がうまいのは間違い無いが、一番のご馳走は店主夫婦の会話にある。遠くからはるばる飲みに訪れる客も多いという。ただし、それをしっかり理解するのは難度が高い。
個人的には土佐弁を第三外国語として理解している。日本語の文法は守っているが、語彙が全く違う異種言語だ。概ねイントネーションも異なる。西国の言葉は京都がルーツであり、京都から離れるほど差異が広がるが、土佐弁は地理的距離の割に京都言葉との乖離が少ないようだ。意外と柔らかい響きを持つ言葉で、女性が使うと耳に優しい。男が喋ると喧しいと感じるのは、性差による「差別」意識なのかもしれない。まあ、反省はしないが。少なくとも高知の男はよく喋る。放っておけばノンストップで10分や20分はしゃべくりまくる知人が多いせいだろう。
これでも土佐弁を学習し始めてから(学習か?)10年以上経つのでそれなりにヒアリング能力は上がっている。それでもネイティブスピードでの会話になると、理解度は良くて8割、おおむね5割程度というところだろうか。それでも、店主ご夫婦の会話が最大の楽しみであることにまちがいはない。

その「ど・宴会」のもう一つの主役がカツオの大盛りだった。ちなみにこれが4人前で、同席した鮮魚店社長のご厚意が満ち溢れている。この大量なカツオが最後には全て消えていた。高知人のカツオ・ラブは凄まじい。この量、おそらく普通に頼めば10人前だろう。

ど宴会とは別の日に食べたランチの2人前刺し盛りがこの量で、カツオ2種と白身(イサキともう一種だが、名前は忘れた)2種だった。これもお友達仕様なので、山盛りてんこ盛りだから、通常の2人前ではない。そこは注意しなければいけない。こちらも普通に頼めば4-5人前なのだと思う。
昼から酒も飲まずに宴会モードでカツオを食いまくるのはなかなかの快感だ。観光ポスターに書いてあることに間違いはない。高知は、「ど」を楽しむ極上な場所だ。ただ、10年以上通い続けているが、今だに観光名所なるところに行ったことがない。これはいかがなものかと反省している。次回は、「はりまや橋」と「桂浜の龍馬像」以外の名所に行ってみようと、こっそり思った。