
JR鹿児島本線を使い博多から基山まで移動した。おそらく、この辺りが博多の通勤圏としてギリギリの場所ではないかと思う。ベッドタウンとしてはちょっと遠いかも知れない。おまけに福岡市南部は県境が入り乱れていて、基山町は佐賀県だった。その先の久留米は福岡県で、この辺りで暮らす人は隣人が隣の県民などということに慣れているのだろうか。
以前、埼玉と茨城と千葉が一点で交わる場所に行ったことがある。1歩歩けば隣の県という面倒な場所だった。だから観光名所にもなっていたが。歴史的に領主が入り乱れていた騒乱の地域なのだろう。
この町の公民館に用事があって立ち寄ったら、なんだかすごいものにお目にかかった。大陸の古代王朝統一物語に、九州の地方都市がいったいなんの関係があるのだ。メガテンになる。大陸の西方都市と姉妹都市提携をしているなどとは考え難い。そんなことを考えながら下の方を見ると作者の故郷だと書いてあった。確か大分の日田も人気コミック作者の故郷だったな、などと九州繋がりで思い出した。
ひと昔であれば、スポーツ選手が故郷の英雄だったが、今ではコミックの描き手が尊敬される時代らしい。
この基山から私鉄に乗り変えて目的地に向かうことになる。元はJRの路線だったものが民間に移管され私鉄として営業を続けている。文字通りのローカル鉄道だ。

甘木鉄道は昔の軍事基地向け支線だったようだ。当時は九州全域に旧国鉄の支線が張り巡らされていた。九州のあちこちに設置された軍事路線で、採算性などあまり考える必要がなかったに違いない。基地を支える重要インフラだろう。
そもそも航空基地に配備される飛行機は、全部がどこからか飛んでくるわけではない。部品を搬入して故障部分を組み変えることもある。当然、物流手段としての鉄道は基地の必須要件だっただろう。ちなみに、零式艦上戦闘機の移動に牛車を使っていたのは本当らしい。今では、JRがその旧軍事路線を見捨ててしまうのも無理はない。
JR基山駅から甘木鉄道に乗り継ぐには一度改札を出て連絡橋を渡ることになる。なんだか、JRは元の姉妹路線に冷たい対応ではないかと思ってしまう。

鉄道車両には全く詳しくないのでwikiで調べてみたら、これは甘木鉄道の専用車両だった。ローカル鉄道では大都市圏私鉄からの中古導入がよくあるが、ここでは一両編成ということで専用車になっている模様だ。

基山から終点近くの駅までおよそ半時間かけて無人駅で下車した。乗り合わせた乗客は高校生、中年女性、高齢男性という感じでそれなりの数が利用している。日中でこうなのだから、朝夕の通勤通学時間はそれなりに混雑しそうだ。
駅を降りたら旧型のジェット機にお出迎えされた。F86セイバーだと思われる機体だから、板付空港に配備されていた自衛隊機の払い下げだろう。以前浜松で、個人経営の喫茶店に、同じようにセイバーが飾られていた。意外と廃番になった機体は手に入るものらしい。

目的地はここ。平和記念館と書いてあるが、先の大戦までの航空基地博物館といった方が正確だと思う。どうも、基地やら兵器やらの展示施設は、この手の文字遊びをしなければいけないようだ。施設名と展示内容がストレートに結びつかないようにわざわざわかりにくい名前にしている。
郷土歴史博物館みたいな名称も、地域や場所によっては主力展示物が古代ヤマト時代の遺跡だったり、戦国時代の大名居城であったり、施設名だけでは中身がよくわからないことが多い。
昭和後期から始まったポリティカル・コレクション、いわゆる文字狩りは文化に色々な影響を与えているが、文化施設はその対象から外してほしいものだ。九州国立博物館と東京国立博物館は、同じ国立博物館と言っても、もはや別物というくらい展示内容が違う。なんとかならないものでしょうかね。