食べ物レポート

ファミマのパン

ファミマのパン改革が始まって1年以上経つと思う。新聞記事で読んだのだが、ファミマのマーケティングに、マクドナルドV字回復を達成したマーケティングの親分が就任したとのことだった。それ以来、ファミマで何が起きるのかずっと関心があり定点観測を続けている。

そのファミマ商品改革の最初がパンコーナーの整備だったと記憶している。コンビニ各社はパンの大半をPB化しているので、大手三社の比較も面白いかなと思っていた。ファミマの改良第一号はメロンパンだった。生地に柔らかさとバター感が増えたようだった。大手パンメーカーのメロンパンが持つ、ボソボソした生地とは違っているような気がした。単に気のせいかもしれないが。それでも、変わった感は感じられた。
第二号はカレーパンだった。試し買いをして実食してみたが、確かにうまくなった気がする。
コンビニではよくあるパターンだが、商品改良したと言って値上げする。このカレーパンはそうではなかった。中身、つまりフィリングを変えたのは当たり前だが、生地も改良したようだった。揚げパン特有の油っぽさが減ったような気がする。(個人的な感想だ)
ビフォー・アフターで比較できたわけでもないので、あくまで感覚的なものだ。そしてまたちょっと時間があいて登場した第三弾はクリームパンだった。これは明らかに違いがわかる。クリームの出来が違うのだ。例えて言えばスーパーで売っているプリンとケーキ屋(古い言い方だな)のプリンくらいの差がある。明らかに滑らか度が違う。それ以上にクリーム感が強くなった。定番の菓子パンをよく丁寧に改造したものだ。

同じ時期に、(これまたコンビニ業界では当たり前のことだが)PBパンの見直しが他の大手二社でも行われたようだが、どうもこれはファミマの一人勝ちに思える。ローソンはちょっと変わったパンをいじくりまわしたようだ。食物繊維添加のパンが変わったみたいだ。(宣伝していないので分かりにくい)
菓子パンをいじくり回す代わりに弁当の増量キャンペーンで成功したように見える。同じ販促手段を使わないというのは、競合者へのプライドなのか?
そしてもう一社は、菓子パン類の単純値上げという暴挙というか傲慢な手段に出てきた。これはびっくりしたが、10年以上前にスイーツ戦争でファミマに完敗したのがトラウマになっているようだ。
試食をしてみる気にもならない高額ラインナップになったセブンのパンは買って試すまでもない。間違いなくコスパの悪さで失望するだけだ。スムージーでファミマに喧嘩を売ってはいるが、この128円のクリームパンと同等の商品は作れないのだろう。無理やりプレミアムクリームパンなどを作ったら値付けが200円を超えるのは目に見えている。


ファミマ、今回の新作はクッキー菓子とのコラボだった。これが実にレベルが高い。お値段は少々高めだが、他社PB製品と比べて明らかにお買い得だ。食べてみてあらためて思ったのだが、これは脅威のレベルの高さだ。パンと言いながらデザート、ケーキに近い。できれば定番にして欲しいものだと思ったが、どうやら販売予定数をあっという間に達成したらしく二週間もしないうちに手に入らなくなった。

ファミマの商品開発は他のカテゴリーでも急ピッチで進んでいる。商品の磨き上げと価格性能比の向上という王道改革でトップに迫っていく戦略らしい。コンビニ王者陥落という奇跡の大逆転が起きるのかもしれない。
ガリバーキリンと言われたビール業界No.1がアサヒに屈服したことを思えば、コンビニ激変が起こらないとは言えないだろう。そのスタートがメロンパンだったとすれば、良い物語だ。

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