
小樽の街中にある老舗食堂が札幌に出した支店は北海道庁の目と鼻の先にある。北海道庁付近の居酒屋は、基本的に北海道庁関係者が多数利用している。仕事柄、ちょっとそういう関連の方たちとはお会いしたくなかったので、札幌駅周辺で飲むことはあっても北海道庁付近には近寄らないようにしていた。だからこの店には入ったことがない。
ただ、たまたま店の前を通りかかった時、それも昼飯時に、店頭のノボリに目を奪われてしまった。一旦、店の前を通り過ぎたのだが、のこのこ戻ってきてしまった。それまでは蕎麦を食べる気満々だったのだが、急に気が変わった。あんかけ焼きそばには怪しい吸引力があるのだ。

小樽のあんかけ焼きそばは昔から有名だったのだろうか。少なくとも昭和中頃は、さほど名が通っていたと思わない。平成の真ん中ぐらいの時期に、何となくご当地メニューブームに便乗してメディアに登場するようになったという記憶しかない。
小樽あんかけ焼きそばの特徴は、麺が生麺を焼いたもの、海鮮系の具材がたっぷり使われている、量が多いという感じだろうか。かかっている餡も油分が多くコッテリとした味だ。長崎の皿うどんの餡は比較的あっさり目の味だから、それと比べると見た目は同じような餡だが決定的に味が違う気がする。
上にかかっている餡は実に熱々なのでハフハフ言いながら食べる。本当に熱い。そえられている紅生姜をぱらぱらとかけて味変部分を作る。麺量も多いし、餡もたっぷりなので完食すると身動きしたくなるほどの満腹感におそわれる。
今回初見のこの店を毛嫌いしていたわけではなく、小樽の本店や最近千歳空港に開いた支店はたまに使うのだが。次にこの店に行くときは、比較的夕方の早い時間に行って、一番奥の席に座ってあれこれ飲み食いしてみようか。17時から1時間一本勝負にすれば、あまり面倒臭いことにならないだろうし。ちなみに、官公庁付近にある飲み屋は混雑する時間が早い。定時退社(退庁)するものが多いせいもあるのだろうが、実は定年退職後時短勤務で再雇用される爺さまの存在がある。時短勤務なので10時ー16時のような、羨ましいシフトで働く方が16時5分から飲み始めたりするからだ。お江戸でいえば半蔵門界隈には夕方、早くから営業する居酒屋が多かったなあ。
夜のメニューにオムライスがあるかどうかも確かめてみなければ。(ちなみに、小樽水族館の食堂はこの会社が運営していて、その水族館名物料理がカメの形をしたオムライスなのだ)