旅をする

瓦そば

瓦そばというたべものがある。戊辰戦争の頃、長州に滞在した薩摩軍のために提供された戦場食だったらしい。多数の兵隊に熱い食べ物を一気に提供するということが目的だったとか。
茹でたそばを火で熱したい瓦の上に乗せて温める。それをつゆぬつけて食べる。確かに、大量生産がやりやすい仕組みだ。そばさえ大量に用意すれば、あとは瓦の数で提供数がきまる。
テレビの旅番組で見て一度食べてみたいと思っていた。下関市内でも何店か提供しているようだが、元祖の瓦そば屋は下関から車で30分ほどの離れたところにあるらしい。ちなみに、三人前くらいまでは一枚の瓦に載せるそうだ。

せっかく下関に来たのだからとふぐ(こちらの表記はふく)の唐揚げを合わせて注文した。これはうまい。

ついでにふくの薄造りも頼んでみた。これもうまい。フグを食べるところは全国各地にある。大阪のテッサも有名だし、お江戸でもフグ専門店は多い。ただ、関門海峡のフグが日本のフグ界のスタンダードらしい。下関のフグ漁協の会長に聞いた話だから間違いはないと思う。

ただ、この瓦そばを食べたのは山口県ではなく福岡県北九州市門司港にあるお店だ。関門海峡は、海峡というほどの距離感はない。まるで川の対岸みたいな場所だから、門司港で食べても下関で食べても、関門海峡で取れるフグの味に差があるはずもないし、ましてや焼いた蕎麦の味はどこで食べても同じだろうと、自分を言いくるめた。距離的に言えば、神田の老舗蕎麦屋の銀座支店でそばを食べた程度のことだ。
ただこれでは門司で名物料理を食べたとは言い難い。まあ、それも旅の楽しみ方か。

コメントを残す