旅をする

波止場の風景

JR門司駅付近は昭和レトロをテーマにしたテーマパークのようだ。タウンマネージメントがうまくいっている事例だと思う。
そういう場所であれば、観光地の鉄板施設、顔穴の空いた写真スポットも実に似合っている。
朝早くだったので家族連れ観光客がいないので、これを使って異写真を撮っている人はいなかったが、昼近くになれば順番待ちの行列ができそうだ。

その大陸航路、国際港であった門司港は、当然のことながら税関が置かれていた。どうも港の入り口で一番目立つところに立っていたらしい。この煉瓦造りの建物は中が資料館になっている。税関の資料館など普段お目にすることもないのでノコノコと出かけて見たが、これはなかなか見応えがある。展示の内容は笑ってしまうようなものだが、ともかく建築物の資料的な価値が素晴らしい。港の反対側から写真に撮ると実に絵になる。

が、この写真は「切り取り」の典型で、同じ場所からもう少し周りの風景を取り込むと、実は赤煉瓦のすぐ隣にタワマンが立っている。最初はオフィスビルなのかと思ったが、どうも高級コンドミニアムらしい。
過去と未来のコントラストといえば確かにそうとも言える。しかし、レトロな街の風景を売り物にする観光地としてはいかがなものだ、という気がしないでもない。
旧港(波止場)は景観を守って整備されている感じがする。パッと見た感じはサンフランシスコのフィッシャーマンズワーフにも似ている。日本各地で港の再開発、観光地化が進んでいるが、このレトロ門司港が一番上手に仕上げていると思う。だが、画竜点睛というか、このタワマンがちょっと不満だなあ。
勝手な勘繰りだが、港の地権者は旧財閥系企業も多いはずだ。おそらくその中の一社が景観条例などが整備される前に、抜け駆けしてタワマンを作ってしまったのだろう。わざわざ調べる気も起きないので、実態はわかっていない。
確かに京都駅で降りて駅前バスロータリーにある京都タワーを見たときも同じようなことを思った。まあ、美しい風景というのは時代によって変わるものなのかもしれないし、その街に住む人たちには、景色より重要なものもあるはずだ。旅行者がぶつぶつ言っても仕方がない。

門司港についてはもう少し続く。

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