
関門海峡を船で渡りたいと思っていた。この海を舞台に商売を広げた石油商人の小説を飛んで以来だ。映画化もされたベストセラーで国産最大手石油会社の成長話だが、海上で石油を販売する移動船でのゲリラ商法から成り上がっていくストーリは実に面白いものだった。
その商売の場所を見てみたいということだったのだが。実際に海峡を下関側から眺めてみると、これは海というよりほぼほぼ川ではないかとおもった。対岸の九州はあまりに近い。
海峡を渡るフェリーはおよそ10分ほどで対岸に着くし、1時間に何往復もしているから、市内を走る路線バスよりよほど便が良い。

船着場から対岸を見れば、あまりに近い。最初は山口県側が海に迫り出して湾のようになっているのかと思った、海面も穏やかだから、どうも川としか見えない。対岸に渡る船を待っていたら、巌流島に行く観光船?が先に到着した。ただ、巌流島行きの船に乗り込む客の大半は大きなクーラーボックスを抱えている。どうやら魚釣りに行くらしい。外国人観光客がちらほらという感じで、ほとんど釣り船だった。



船で海上移動を楽しんでいたら、外には海峡を渡る大橋が見えた。この橋は何度か渡ったことがある。すばらしい景色が堪能できるはずだが、ほとんど記憶にない。瀬戸大橋もそうだが自分で運転していると、景色はあまり見えないせいだろう。

船が対岸について、改めて橋の姿を確認してみた。これはこれでフォトジェニックなものだが、どうも「川」にかかる橋という感覚が抜けない。
それでも、1000年近い昔には、この「大河」の上で、赤い旗と白い旗を掲げた軍団が手漕ぎ船で戦をしていたのだと思うと、それはそれで感慨深い。白い旗の軍団が勝ったのは、船の漕ぎ手を矢で射殺すという、当時は暗黙の了解で禁じられていた戦術をとったせいらしい。いつの世も常識を覆す革命児はいるものだ。ただ、その革命的な戦術も、戦に負けてしまえば世に例をみない蛮行で虐殺だと言われるのだが。戦は負けたものが金も名誉も歴史的評価も、全て失う大ギャンブルだと改めて思った。

この海峡は歴史ポイントというより観光名所だとは思うが、実際に来て見てみると実感できることがある。まさにこの地は、古代日本から大陸航路の出発地として栄えてたのが理解できる。
お勉強になったなあと感じた10分間の船旅だった。船の旅はいつでも楽しい。