食べ物レポート

大衆酒場風大食堂

地元にある居酒屋が大改装していた。元々居酒屋的ファミレスみたいな店だったが、それが一段と強まったようで、大衆食堂で酒も飲めますよ的な進化をした。すでに、お江戸の大繁華街では、この転換が着々と進んでいる。しかし、自宅近くの住宅地にある店までこう変わるかとはびっくりだ。

アボカド天ぷら 塩味のわさびソースで食べる

そこで、昼飯を食べることにして、のこのこと出かけたのだが、コロナが終わってみんな夜飲みに戻っていたはずなのに、なんと昼飲みが大賑わいだった。おまけに、こういう店には必ず登場するはずの高齢者男性集団(騒がしいじい様達)は全く見当たらず、20-30代と思しき女性グループが主力客層だった。この改装は狙い通りの結果になったのだと思う。
年齢層の若返りと女性の取り込みは、この先の居酒屋業界では必須要件だ。団塊の世代を中心とした「旧居酒屋ユーザー」は、今後減少する一方だし、最近の「老害」報道を耳にするたびに思うことだが、すでに高齢者は「良い客」ではなく「迷惑な客」として認識されるようになっている。

普通の鳥からあげ キャベツの量が少なめなのが好ましい

その辺りがメニューにも現れている。アボカドの天ぷらは初見だが、メニューに載っていると「ああ、なるほどね」と思うほどにはアボカドは一般的だ。だが、これが高齢者向きに開発されたとも思えない。

大衆食堂で鳥唐揚げは鉄板メニューだと思うが、それも一皿いくらという売り方ではなく、個数単位で注文できる。人数に合わせて、あるいは自分の腹の好き具合に合わせて、欲しい数だけ注文する。これも平成後半以降に定着した注文方法だ。フードロス削減と食育とコスパの三点セットが生み出した、新しい注文様式というやつだろう。
(そういえば、3年前に大ブームだった新しい生活様式はどこに行ったのだろう。全く定着しなかったような気がする)

この店の主力商品は〇〇定食で種類は豊富だが、よく考えると、全ての定食は居酒屋的に酒の肴にもなる。生姜焼き単品はちょっと微妙だが、唐揚げ定食や焼き魚定食などはまさに酒の肴を流用したものだ。
それに加えて、単品めしのラインナップもかなりの豪速球ラインで、ラーメンとチャーハンが定番化されている。今回はチャーハンを頼んだが、普通に美味い。標準以上かもしれない。おそらくこれは完全調理した冷凍品を鍋で煽っただけだと思うが、今やチャーハンはその方が品質が安定する。
街の中華料理屋で下手な店に入ると、油ぎったチャーハンが出てきて閉口することがある。それほど手作りのチャーハンは個人技量に影響を受ける。すでにファミレスでは冷凍チャーハンが標準だし、客もその味に慣れている。となれば技術的障壁のないメニューとして、今後も冷凍チャーハンは定着していくだろう。
おそらく居酒屋は、この手の「メニュー新陳代謝」「コンセプト・チェンジ」が必要だったのだが、平成時代はなかなかできなかった。昔の常連客、高齢者に忖度していたとも言える。それが、コロナという強風で一気に吹き飛ばされた。
どうもこの国は「外圧」がなければ進化できない社会らしい。コロナの落とし子として、この大衆食堂は注視していきたいと思う。

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