旅をする

夜の岡山を歩くと

岡山の街に着いたのはすでに夜だった。グーグル先生のマップを頼りに、当てにしていた居酒屋を探し回った。その途中で、なんとも綺麗な川沿いの公園にぶち当たった。まさにぶち当たったというしかない。
あとで気がついたのだが、岡山城を取り巻く川のそばに設置された遊歩道をイルミネーションで盛り上げているのだった。つまりこの辺が、夜の繁華街近くであるという証明のはずだ。が、周りのビルは暗い、ネオンのかけらもないような静かさだった。

10分ほどうろつき周り、ようやく発見したお目当ての居酒屋は、なんとコロナ対応でテイクアウト専門店になっていた。入り口にそう書いてあるのを見て、コロナの爪痕の深さを改めて感じた。しかし、居酒屋メニューのテイクアウトとは、初めて見た。弁当などではない。明らかに酒の肴、つまみのラインナップだった。

仕方がなく街を彷徨き回り、看板目当てに店を探すことにした。ようやく見つけた良さそうな店には「大衆食堂」とある。これは、なんとなく期待できそうだと中に入ってみたら、これまた昭和的な薄暗い照明の店で、昭和演出はバッチリという感じだ。
この手の店によくいる、高齢者おっさん集団が皆無であるのが不思議だが、店内の客層は概ね三十代前後。おまけに女性シングル客もいる。これが新しい居酒屋なのかもしれない。店内は予想以上に静かというかBGMがよく聞こえていた。

岡山といえばママカリと言いたくなるが、実は岡山県西部はシャコの名産地だったはずだ、とメニューを探したらやはりシャコがいた。すかさず注文して出てきたのが、なんと殻付きの勇姿で、これは食べるのになかなか手強い。シャコを食べながら追加注文したのが、なぜか湯豆腐だった。岡山に名物豆腐が存在するとは記憶にないので、ごくごく普通の湯豆腐だろう。いつもであれば冷奴にするのをちょっと遊んでみただけだ。ただしゃこの濃厚な味の後では口直しに豆腐が良い。

こうした店に必ずあるはずの「当店自慢のビックリメニュー」を探してみたら、ありました。「石焼ポテトサラダ」なるもので、熱々に焼いた小さな石鍋にポテトサラダを放り込み、ポテトサラダを焼きながら食べるというもの。
ツナも乗っているので、変形のツナマヨと言っても良さそうだ。これが、予想外にうまい。まさにびっくりだった。
岡山の夜は、あれこれと発見が多い取れ高たっぷりの夜になった。

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