
だいぶ以前のことだが、とあるラジオ番組でその局を代表する有名アナウンサーがちゃんぽんについて話していた。日本三大ちゃんぽんという話題で、ちゃんぽんといえば長崎ちゃんぽんしか思い浮かばなかったから、他にもちゃんぽんの有名な地域があるとは知らなかった。
しばらくしてから、そのうちの一箇所、天草に行ってちゃんぽんを食べた。確かに長崎ちゃんぽんとは違うなとわかる。どちらが美味いかというものではなく、それぞれにうまさがあるという感じだ。塩ラーメンと醤油ラーメンのどっちが美味いと聞かれれば、それはそれぞれの好みだろうと答える。それと似たようなものだ。
そして、もう一つの名物ちゃんぽんもいつか機会があればとおもっていたが、その機会は全然訪れることがなかった。場所が、なかなか遠いのだ。天草も自宅のある埼玉からは遠いが、それよりも体感的にもっと遠い愛媛県八幡浜という、おそらく東京から行くには相当に時間がかかるところだ。
ちなみに、東京駅をスタートして到着するまでに一番時間がかかる場所を調べると、実は沖縄の南にある島や北海道の北の端っこなどより、四国西部、つまり高知県の西側、宿毛や中村周辺になる。そして愛媛県の南側、宇和島周辺も同様に遠いというか時間がかかる地域になる。
同じくらい遠い場所は(時間がかかる)は、島根県中央部、江津あたりで空港から離れているせいだ。
その愛媛県南部にある町が八幡浜にようやく到達した。おそらく、残りの人生でこの町に来ることは二度とないような気がする。それくらい、遠いと感じる場所なのだ。

この八幡浜は、街全体がちゃんぽん推しをしている「ちゃんぽんシティー」だった。そのちゃんぽんマップの中にある一店を選んで実食することにした。屋根のかかったアーケード商店街の中にある食堂だった。店名を見るとお食事処とある。これは、期待できそうだ。今や、風前の灯となっているマチ中の大衆食堂ではないか。

店頭にかかったバナーを見ると、どうもスープはクリアタイプらしい。野菜が多めに見える。お江戸界隈のローカル麺、タンメンと似ている感じがする。

いざ実食してみた。注文する時に最初に聞かれたにが大盛りにするかだった。どうやら、大盛りがデフォルトらしいのだが、自分の腹をいたわり普通盛りにした。それが正解だった。後から来店した女性客が誰もが大盛りを注文していたから、やはりここのちゃんぽんは大盛りが定番のようだ。
スープはあっさりで塩ラーメン的な味わいだった。野菜がたっぷりと乗っている。麺も細めな感じがよい。長崎ちゃんぽんとは全く別系統のようだが、長崎で発祥したちゃんぽんが九州島を横断して四国に渡ったという物らしい
天草は海路で繋がる西九州の文化圏だが、ここ八幡浜は長崎と海で繋がっているとは言い難いほど距離がある。ただ、日本海周りで関門海峡から瀬戸内、豊後というコースで伝わるとすれば、阿蘇山を越えて陸路を通るよりは伝達速度が速そうだ。
今でこそ、山陽・九州新幹線の道筋がメインルートのように感じるが、江戸期までは瀬戸内海上ハイウェイ、豊後経由で日田・久留米・長崎と西に行くルートが主動線だったのだから、思っている以上に長崎・八幡浜は近かったのかもしれない。
三大ちゃんぽんの伝播に思いを馳せ、中世日本の交通路を振り返る。うーん、歴史的学びをの多いちゃんぽんお試しツアーだった。