食べ物レポート

ラーメンの話 徳島の体験

やはり阿波踊りの本拠地に来たら「ラーメン」を食べないわけにはいかない。と思い、駅前の有名な店に行ったら券売機の前に行列ができていた。まあ、人気店だから仕方がないなと思っていたら、大量のチャイニーズスピーカーがやってきて、食券も買わずに店内に入っていく。ラーメン屋でもインバウンド対応で予約席を作るのか、とうんざりしていたら、店員に追い出されてきて券売機で食券を買うようにと諭されていた。ただ、その日本語のご指導が全く理解できていないようで、おまけにガイドらしき案内人風な男も日本語がよくわからないようだった。
そして、いきなり券売機前に並ぶ行列の先頭に行き、割り込んで食券を買い始めるではないか。割り込まれた客も戸惑っている。それをみて、すっかり並ぶ気が失せた。オーバーツーリズムどころではない。日常における不文律を守らない無法ものが存在する店になど怖くて入っていけるものか。(店の責任ではないのだが)
というわけで、そこから少し離れた場所にあるラーメン店に行き先を変えた。

小ぶりな店だが、いかにもラーメン店という感じがする。店内は明るい。日本語以外の文字もない。よしよしだ。多分、まだインバウンド客情報に侵略されていないのだろう。メニューはシンプルでラーメンとチャーシュー麺、チャーハンに餃子。これはひと目で信頼できる。
店内が明るくて綺麗な店、つまり掃除が行き届いていて床が油でべとべとしていない中華料理店は実に少ない。だから、店に入った瞬間にその店のレベルは大まかに判断できる。この店は大あたりだと思った。

豚骨醤油のコッテリ系スープだが、とんこつ特有の匂いは控えめだ。麺はストレートな感じの歯応えがあるタイプで、いや、これ実に好みのラーメンではないか。チャーシューも低レベルの店でよくある「豚肉臭さ」がしない。優れものだった。

初めての店でチャーシューメンを頼まないのは訳があるかなりの確率でチャーシュー作りを失敗しているラーメン店、中華料理店が多いからだ。特に、豚肉の匂いを消しきれていない店は多い。最近流行りの「危ない」低温調理チャーシューはほとんどアウトだと思う。臭くて食えない店が多い。
その次にまずいチャーシューは、煮過ぎて肉の味が全て溶け出してしまったようなカスカスの煮豚だ。これもよくある。単純に不勉強なのだとも思うが、ひょっとすると毎日作っている「商品」を試食もせずに販売している可能性もある。初めての店で美味いラーメンに出会うのは、なかなか大変なのだ。
今回は無法もののインバウンド連中に感謝すべきかもしれない。もし彼らが礼儀正しく行列に並んでいたら、この店に来ることはなかった。人生、万事が流転するのだよ。それもきっと良い方向にね、と我が身を慰める哲学的な夜になった。次の機会があればチャーシューメンに決まりだな。

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