
10年ほど前に、この店に来たことがある。しかし、臨時休業にぶち当たり中に入ることができなかった。香川名物の鳥料理、その元祖であり、テレビなどでも時々取り上げられる名店だ。香川に仕事できた時に、「骨付鳥」を食べたいというと問答無用でこの支店に連れて行かれる。
天邪鬼な気分になり、何度か他の店に行って骨付鳥を頼んで見たが、やはり現地人の見識は高いものでこの店の鳥が一番うまいと思う。元祖は元祖になるだけの力量があるということだ。
この日も開店から30分ほどのタイミングで行ったのだが、すでに長い行列ができていた。およそ40分ほど待ってようやく席に着くことができた。

JRの駅にご当地キャラがいたのだが、なんと著名な「丸亀城」ではなく「骨付鳥」様がご就任されているではないか。例えてみれば、浜松で徳川家康を押し退けて鰻がご当地キャラになっているようなものだ。あちこちでご当地キャラを見てきたが、これはすごいことだろう。くまもん対からしれんこん、みたいなことで、「くまもん」が負けているということだよなあと、感心してしまった。

前菜に頼んだ、鶏皮の酢の物は絶品だった。鶏皮をカリカリに揚げたもの(多分)を使っている。食感のカリカリ感が素晴らしい。よく出てくるニュルっとした鶏皮の食感ではない。これだけで酒が進んでしまいそうだ。

そして大本命の「おやどり」が到着した。この親鳥特有の固さが好みなのだ。骨を手に取り、直接ガブリと頬張れば、塩と胡椒とニンニクが一体になり口の中で爆発する。散々いろいろな鳥料理を食べてきたが、やはりこれが筆頭というか鳥料理界のキングだろうと思う。世紀末世界で言えばラ◯ウ級の存在だ。そして鳥料理界に北斗の伝承者は存在しないのだなあ。超然と君臨する単独峰のようなものだ。

そして、絶対王者に追随するのが、おむすびと鳥スープのセットだ。このお供なしで、骨付鳥を堪能したことにはならない。小ぶりではあるが3個もおむすびがついてくるというのは、白飯と骨付鳥の塩味が抜群の相性を持っているからだろう。うまいコメを食べるといつも日本人に生まれて良かったと思う。世界中で米料理はあるが、やはり熱々の白飯とシンプルな塩味のおかず、例えばたくあんだったり塩辛だったり海苔の佃煮であったりとの組み合わせは、地上最強のご馳走だ。
白飯と出汁の効いた汁とこの骨付鳥一品あれば、その瞬間にこの世は天国になる。そんなことを感じさせる「幸せなお店」であるのですよ。
わざわざいく価値がある「孤高のレストラン」でのひと時でありました。