
今回は友人の店の宣伝みたいなものなのでご承知おき願いたい。
最近、せっせと通っている高知県中西部の町で、人気の魚屋を営んでいる友人が、イートインコーナーを設けたらそれが大盛況で昼時には空席待ちの行列ができるほどの人気ぶりだ。基本的に友人はカツオソムリエという熟練のかつお職人なので、その目利きは信頼できる。
高知にはうまい鰹を食べさせる店は多い。だが、あえて高知市内の店は諦めて、この町に来るべきだ。カツオソムリエの名人技を堪能してほしい。
この港町で揚がったカツオを食べるのが、人生最良の選択であり、心底からおすすめする。ただ、何といっても漁に左右される。カツオが揚がらない日にはカツオ無しのこともある。その時は運が悪いと諦めるしかない。
この町で揚がるカツオは土佐湾で一本釣りされた鮮度抜群の生カツオなので、カツオ大好きな高知人がわざわざ買いに来るほどだ。当然、高知に来たら鰹のタタキを食べるべきだと思うが、実際に現地に来てみると地元の人はたたきではなく刺身を好むらしい。この日も、たたきではなくカツオの刺身が出てきた。(ちなみに、出てくるものはいつも友人任せなので………たたきを食べたければ、きちんとそれを主張しておかなければいけない)

ここでカツオを食べると人生を確実に不幸にする。と警告しておく。要するに、ここのカツオのレベルが高すぎるので、自宅近くのスーパーで売っているカツオなど(たとえ産地がお江戸近海、銚子沖だとしても)食べる気がしなくなるからだ。
それでもカツオ食べたさに負け地元スーパーで買ってしまうが、その度に「これは違う。 あの鰹が食べたい」となってしまうのだ。スーパーで売っている普通のカツオで喜んでいた過去の自分がうらやましい。
この店でカツオ(それ以外の魚も含めて)を食べるには、まず魚屋の店頭で盛り付けられている刺身を選ぶ。基本的に重量料金なので、たくさん食べたければ大きめのものをえらぶ。皿ごとに値段がついているので、迷うことはない。カツオ以外にもその日の新鮮な魚が並んでいるから、二種三種と好みの刺身を選ぶことは可能だ。4人くらいで行けば、相当な種類の魚を楽しめる。
ご飯と味噌汁のセットは別料金だ。時間がかかるのを承知であれば、店頭にならんでいる干物も焼いてくれる。客席は基本的にセルフサービスだから、食堂というよりは飲食スペースと考えれば良い。
料亭で出てくる鮮度のカツオが大衆食堂の料金で食べられるから、高知県内どころか県外からも客が押し寄せる。最近では日本語を介さないインバウンド客まで押しかける。なので、鮮魚店で英語の達人が働いている。

この大正町市場では、田中鮮魚店のほかに飲食店が数店営業している。そのどこでも新鮮なカツオや海鮮料理が食べられる。あまり人には教えたくない穴場スポットなのだが。
高知に観光に行ったらレンタカーでこの街に行くのをお勧めする。高速を使い小一時間のドライブで、天上天下唯我独尊の気分になるカツオ体験が待っている。