
北の街の目抜通りというべき駅前通り沿いにある雑居ビルの中に、小体ながらなかなかおしゃれな店がある。中華料理と握り鮨が同時に楽しめる店だ。本店は町中華の人気店で、ザンギ(鶏唐揚げ)と麻婆豆腐がおすすめなのだが、この支店ではなぜか鮨推しだ。
スシ職人がいて本格的な握り鮨が食べられる。おまけのように中華料理も頼めるのだが、どちらかメインでどちらがサブか、優劣はつけ難い。どちらも本格的な料理だ。
その店で二十代の女性二人と会食をすることになった。と言えば、まさにヒヒじいい的な展開が予想されるが、二人のチャーミングなお嬢さんは姪で、一年ぶりに会うのでちょっとご馳走してみた。何を食べたいか尋ねたところ「肉」と言われたので、ザンギを嫌になるまで食べようと、ザンギ専門店を選んだわけだ。

ランチのセットでありながら、エビチリとザンギ、それに加えて握り鮨というボリューム満点な組み合わせであり、これを完食できるのかと危ぶんでいたが、全く問題なく食べ切っていた。若いというのは素晴らしいと単純に感心してしまった。ちなみに姪は二人ともかなり小柄なので、これだけの量が腹の中に収まるというだけで感嘆ものだ。

握り鮨もランチ用らしくシャリ玉は大きい。おまけに、単品でザンギを追加注文している。一人当たり3個ずつになったはずだが、綺麗さっぱり無くなっていた。再度感嘆する。
久しぶりにこの店のザンギを食べて実に満足したのだが、それでも2個も食べればもう十分と思うのは、すっかり高齢化した証拠だろう。この街には、持ち帰り専用店も含めザンギ専門店は多い。ザンギを売り物にする居酒屋もある。味付けは千差万別で、自分が好みの店を見つけ出すのはなかなかの楽しみだ。
個人的な嗜好だと断った上で、この店のザンギは明らかに、超絶的に、確定的に美味い。ザンギらしいのだ。大ぶりなカットでカリッと揚がっているから、某フライドチキンチェーンのチキンと比べても遜色ない。いや、こっちが美味いかも………

日替わりランチでも、このサイズ感だった。かなり賑わう繁盛店なので、事前に予約しておいた方が無難だろう。観光で行った人にとっては、鮨とザンギの店というありがたいコンボになるはずだ。まあ、この街の鮨屋はだいたいどこでもザンギは提供しているのだけれど、なんちゃってザンギも多いからね。
本店は「布袋」、この支店は「福禄寿」、どちらもありがたいお名前なのだ。ちなみに、「弁財天」という美人な名前の支店もある。