
北海道は魚のすり身原材料になるタラの漁獲量が多いことから、魚練製品の会社は多いようだ。その中でも、小樽に本社を置くブランドは知名度の高さ、支店の多さを含め北海道を代表する「かまぼこ屋」だと思う。
その製品の大半はオーソドックスな「すり身揚げ」なのだが、一部に特異な進化を遂げたものがある。魚のすり身製品に詳しいわけではないので、似たようなものが全国のどこかにあるのかもしれないが、個人的には類似品の記憶がない。
九州南部で食べた甘めの揚げものは美味いと思うが、原料が白身魚だけではないようで少し色が黒目だ。ちなみに薩摩ではさつま揚げと呼ばない。まあ、当たり前だが。宮崎の飫肥天は飫肥のてんぷらという意味だと思うが、この揚げたては空港でも売っている。宮崎の隠れ名品土産だと思う。四国宇和島のじゃこ天、塩釜の笹かまぼこなど全国に名を轟かせるすり身揚げ物に名品は多い。
ただ、それと比べても小樽のすり身揚げは、もう少し知名度が上がっても良いのではないかと個人的に思っている。それがこの食パンで挟んだ、すり身揚げ製品だ。三角サンドイッチをそのまま揚げたような形状をしている。

真ん中から切ってみるとわかるが、中は魚のすり身、周りが食パンで、パンが厚めの衣のような役割をしている。誰が考え出したものかは知らないが、このまま食べても美味い。パンの生地はどんな調味料を合わせても対応するが、醤油とマヨネーズを合わせたものが向いている。唐辛子入りのマヨネーズをつければ、ほとんど酒の肴状態だ。

もう一種のパン合体品がある。形はロール状で中に魚のすり身がある。三角サンド型のものとは微妙に食感が違う。外観を見るとやたら太いちくわのような感じもする。

断面を見ればわかるが、衣状のパンが意外と厚い。パンがしっかりと揚がっているせいか、かなり食べ応えがある。これはご飯のお供にすると、いささかヘビーだし、酒の肴となれば薄く切ったもの、その二切れくらいで十分だろう。
魚すりみの甘みがなんとも言えず、パンとバランスが取れていて美味いのだが、このパンロール揚げ物は使い勝手が難しい。ひょっとすると、小腹が減った時のおやつ代わりに一本食べてしまい、腹が膨れすぎて晩飯が食べられなくなった、みたいな使い方をするのかもしれない。
やはり薄く切って酢醤油かカラシ醤油で食べると美味そうだ。どの店に行っても、この「パンかまぼこ合体」系商品はケースの中で大盛りになっているから人気商品なのだと思うが、どうやって食べているのか買っている客に聞いてみたい気がする。