食べ物レポート, 旅をする

お好み焼き 三原流

三原での待ち時間の間、昼飯を食べようと駅前の街を歩いていた。平日昼のせいか、ほとんどの店が営業していない。駅前の飲屋街は夜にならないと活気づかないようだった。仕方がなく、ネットでランチ営業店を検索してみたらお好み焼きの店が見つかった。行列ができる人気店らしい。この日は20分ほど待たされたが、店内に入ると予約の電話が次々とかかってきていた。
三原は広島県の街なので、広島スタイルのお好み焼きだと思っていたら、どうも「麺抜き」が三原流のようで、広島風お好み焼き、つまりうどんか中華そばが入っているものはモダン焼きとして区別されている。
周りの注文を聞くと、モダン焼きとお好み焼きは半々くらいだった。待ち席がカウンターの鉄板の前で、目の前で次々とお好み焼きが焼かれていく。それを見物しながらの待ち時間は、待たされているのが全く気にならない。
水溶きの粉を鉄板の上に乗せて焼くのはクレープみたいなものだ。そこにキャベツを乗せ麺や具材を乗せる。火が通ったところで、鉄板に卵を割り薄く伸ばした上に、焼けた粉と蕎麦と具材を裏返しにして乗せる。なかなかリズム感を感じる見た目が美しい調理作業だ。

出来上がったお好み焼き、イカ入りのモダン焼きをヘラを使って食べる。炭水化物の塊だが、実に美味しく食べられるのは、ソースの濃い味付けのおかげだ。ただ、中に入っているそばにはほとんど味がないので、濃いめのソースが良いバランスになる。
大阪式お好み焼き、つまり麺抜きのお好み焼きも、それはそれで美味いので広島式、大阪式のどちらがお好み焼きとして本物かというつもりはない。
家庭で作るお好み焼きは火力が弱いせいが、仕上がりが水っぽくベタついてしまうので、お好み焼きは専門店で食べる方がはるかに美味い。麺入りになればなおのことだ。
三原流の麺なしお好み焼きも食べてみたかったが、2枚食べるほどお腹に余裕はなかった。

三原駅から瀬戸内の島につながる連絡船が出入りする港まで、歩いて行っても5分程度だった。その港に続く道が飲屋街になっているのは、ある意味必然だという気もする。島から酒を飲みに来る人が多いのだろう。そのためなのか、宴会場的な居酒屋より二次会向けスナックが多い感じがする。
ただ、雑居ビルもあちこちが空き家になっているのが目立つ。コロナのせいか、人口の変化のせいかはわからないが、瀬戸内の島から人が集まってくる「夜の社交場」としての役割はだいぶ減っているように見える。
三原の隣には広島県第二の都市、福山があるのでそちらにいく人も多いのかもしれない。しまなみ海道を使えば、福山と大きな島は陸続きだしなあ、などと思い裏通を歩き回ったが、人とすれ違うことはなく、猫すら見かけなかった。なんだか不思議な街だなあ。

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