
まるで居酒屋のように大量の日本酒がならぶメニューがあるが、ここは歴とした回転寿司屋だ。埼玉県で回転寿司といえば、基本的に道路沿いにある郊外型店舗が主流で、一時間も車で走ると道路沿いに5-6軒は見かける。回転寿司高密度地帯だ。すっかり数を減らしたファミレスより多い感じもする。
その回転寿司が駅ビルの中に出ると、ファミリー層が少ないせいなのか、夜のサラリーマン需要みたいなものを狙っているのか、海鮮居酒屋風になっている。コロナの間は昼に来るだけだったが、そろそろ夜の営業も見学してみよう出かけてきた。午後6時で満席だった。盛況なのだが、今では当たり前の光景になっている「寿司が回らない回転寿司」だった。

とりあえずメニューを開き(開くとは比喩的表現で、実際にはタッチパネルをポチッと押す)、酒を選ぶことにした。そこにはやかん酒という風変わりな熱燗が載っている。やかん酒にもプレーンなものと味付きがあり、今回は味付きの昆布酒にした。昆布酒の味は、昆布茶の日本酒割みたいなもので、酒としてはなんとも微妙だ。おまけに名前も、なんだか微妙だ。
もう一つおまけにヤカンに入った酒を固形燃料で温める仕組みだから、飲んでいる途中でも加熱が続き、ちょっと油断すると熱燗どころか、飲めないほどの熱々になってしまう。最初の一杯であれば良いが、飲みが進んでからは温度管理ができない危険な酒だ。、熱燗飲んで、口の中を火傷するのは結構間抜けなきがする。

一緒に頼んだ海鮮炙りのつまみはカニ甲羅だった。カニのほぐし身と蟹味噌が甲羅の中でぐつぐつと……………を期待したが、こちらは火力不足のまま生煮え状態で火が消えてしまった。
経験的には、居酒屋の固形燃料を使ったコンロは途中で火が消えてしまうことが多い。これは、固形燃料が保管中に劣化して燃焼時間のばらつきが出るためだと思う。この点は燃料メーカーのせいというより店舗での保管が悪いようだ。

メニューにイカの唐揚げがあると、大体無条件で注文してしまう。ほとんど条件反射的な悪癖だという自覚はあるが、うまいもんは美味い。ただ、チェーン居酒屋で頼む唐揚げは大量生産品が出てくることもあり油断できない。
回転寿司屋であれば大丈夫かと思ったが、よく考えれば回転寿司屋でイカを丸のまま仕入れてそれを捌いて、という手順でイカを使うだろうか。そのさばき工程なしで、丸いイカの胴体部分の唐揚げを作ることはできないはずだ……………などとちょっと疑惑を持ってしまった。
結果的には、食べてみても普通に美味いと思ったが、ゲソがちょっと硬めなので疑惑の完全解明にはならなかったなあ。今回は居酒屋メニュー中心にあれこれ頼んでみたので、寿司はほとんどおまけだ。



本日のお目当ては、塩辛の軍艦だった。この塩辛軍艦巻きはどこの回転寿司屋でもおいてありそうなものだが、意外と見かけることは少ない。経験的に回転寿司屋によって巻物や軍艦のラインナップは相当に異なる。
軍艦巻きのネタに関してチェーンとして何か特別な思い入れがあるのかと言いたいくらいのばらつき加減だ。
塩辛軍艦はなくてもチャンジャ軍艦があったりする。ハンバーグ軍艦と焼肉軍艦は店によってあったりなかったりする。最近では、焼肉に変わり炙りカルビなどという進化系肉乗せ軍艦も生まれている。どこでもあるのがサラダ軍艦だが、これは名前が同じだけで上に乗っているマヨサラは店ごと(ブランドごと)にほぼ別物だ。
あれこれ事件が起きて、回転寿司も変化が続いているようだから、もう少し継続して観察してみようか。高級回転寿司は一人飲みに向いた居酒屋化しているのは確かだった。