旅をする

大三島の風景

大三島バスストップで高速バスを待っていた。目の前には生口島につながる大橋が見える。なんともフォトジェニックな場所だ。瀬戸内の海は穏やかで、秋だというのに汗ばむくらいの陽気で、実に快適だった。この穏やかな海を戦国期には海賊が横行していたのだから、なんとも不思議な気がする場所なのだ。

その景色の中を自転車の大集団が通り過ぎていった。しまなみ海道はサイクリング愛好者にとって垂涎の場所らしい。ざっと見た感じで30-40人くらいの自転車乗りが通過していったが、どうもペースメーカーの掛け声、それもハンドマイクを使った大声なので、なかなかにやかましい。
ぺースおとすなとか、あと500M?頑張れとか、必死で漕げとか、壮絶な絶叫モードで号令をかけるのも、自分で自転車を漕ぎながらなのでそれなりに大変だろうと感心はした。が、やはりうるさい。ひょっとするとサイクリングツアーのガイドというか、ディレクターなのかもしれない。大変なお仕事だとは思うが………
都会の選挙カー並みの騒々しさだった。選挙カーといえば、あの候補者名を連呼するたびに、こいつには絶対投票しないと思う。そう考える有権者も多いはずだが、なぜあれほど候補者(というなの騒音源)は叫ぶのだろう。票を入れたくない奴の名前ほどよく覚えるというのは、選挙カーの皮肉だな。

大三島の神社の前に土産物屋が何軒かあり、その中の一軒が「まんじゅう屋」だった。普段は饅頭などに手を伸ばすこともないのだが、この時はちょっと気が変わった。フラフラと店頭にまで引かれてしまった。神の島のおまんじゅうと書かれてある。ちょっと気になるというものだが、ひょっとすると神のお告げだったのかもしれない。
「今日は我が饅頭を食べよ、そして崇めよ」ということかなあ…………

店の看板を見ると、どうやら村上さんの店らしい。ひょっとすると海賊親分たちの何十代後の子孫かもしれないなと思って笑ってしまった。海賊の子孫がまんじゅう屋になるとは、なんとも平和な業務転換ではないか。時代に合わせて人気商売を選ぶのは大事なことだ。
今でも海賊を続けていれば、祖業とは言え水先案内人ではなく水上犯罪者にしかなれない。皆に愛されるまんじゅう屋への転身は大正解だ。

饅頭は出来立てで、2種類あった。白い方は温泉地によくある蒸しまんじゅうみたいで賞味期限が1日限り。茶色い方が神島まんじゅうで、こちらが本命の土産物饅頭のようだ。
久しぶりに饅頭を食べたが、どちらも甘さ控えめで美味い。が、神のお告げは降りてこない。それがちょっと残念ものだった。饅頭一個で神のお告げを願うのは不謹慎というものだろう。
少しは神様にあやかれたと思いありがたく感じるの正しい饅頭のお作法だ。とりあえず、ご利益、ご利益と唱えながら完食した。大三島は良いところだなあ。

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