
鯛めしといえば宇和島鯛めしを思い出す。が、瀬戸内海はあちこちで美味しい鯛が獲れるから「たいめし」の名所は多いようだ。瀬戸内の海はひと続きで一緒だから、四国側と中国側で海を挟んで鯛めし推しになることもあるだろう。
そんなことを思いながら、四国サイドの鯛めしを手に入れた。紐で結んだ駅弁は、何やら懐かしい雰囲気がある。今風のボックス・スリーブタイプの駅弁より見た目が好ましい。ノスタルジーを感じてしまう。ちょっと読みずらいが「来島名産」と書いてある。

蓋を開ければ、炊き込みご飯に鯛が混ぜ込んであった。完全調理済みの鯛が入っている。鯛そぼろよりも大ぶりだが、飯と一緒に食べると口の中でほんのりと鯛の味がする。おかずは、まさに添え物的だが、これが良いのだ。主役は鯛めしであり、その箸休め、味のバランス調整として卵焼きやかまぼこが入っている。この組み合わせも実に昔の駅弁風で心が和む。
まさに古典的な名作駅弁だろう。ホクホクしながら完食した。コンビニ弁当ではこれほどの完成度が高い弁当は作れないものなのかと、これまた不思議に思う。最近のコンビニ弁当の値段を考えれば、あと一息高くても納得のうまさみたいな攻め筋はあると思うのだがなあ。

鯛めしの製造元がうどん屋もやっていた。この店では炊き立ての鯛めしが食べられるらしいのだが、今回は時間もなく断念した。もし、また来る機会があれば寄ってみたいと思うが、多分、もうチャンスはなさそうだなあ。残念。