旅をする

おいでよ 久礼と誘われて

仕事柄あちこち旅をしてきた。一度っきりの町もあれば、何度も繰り返し訪れる町もある。年によっては2回3回と繰り返し訪れる場所もあった。そういう町では、何軒か馴染みの居酒屋ができたりもするのだが、おそらく自分の人生で一番長く繰り返し訪れているのがこの町だろう。
ずいぶん昔のことだが、仕事で使う食材を国産化しようという計画があり、その時に「ツナ」の調達先として考えたのが、高知県でも有名なカツオの町だった。なんのコネもなく、いきなりネットで探した相手に電話をかけ面談の約束を取り付けた。
その後、一人でノコノコと出かけて行って名刺を出したが、実は全く信用されなかったらしい。名刺の肩書きと風体がそぐわないという理由だったそうだ。後から聞いた話だ。確かに名刺の肩書きを信じてもらうには、それなりにTPOに合わせてスーツとネクタイは必要だったようだ。
ちなみにその時はチノパンにジャケット、背中にリュックサックという、全くビジネスマンらしくない軽装だった。(だそうだ、本人はあまり記憶にない)

この先は中村、宿毛と高知県西部まで到達する鉄路

JR四国、土讃線で高知駅から普通列車であれば1時間強。列車を降りれば駅前に商店街も見当たらない地方都市だ。すでにJR四国管轄にある駅の多くは無人化されている。この駅も特急が止まるにもかかわらず無人駅だ。

駅の中には昔の切符窓口が残っているが無人駅

駅前にはいつもタクシーが一台止まっている。駅前からコミュニティーバスも発着しているので、時間によっては発車時間待ちのバスが止まっていることもある。
5-10分おきにバスが来る都会の感覚からすると、3時間に1本という運行ペースに驚いてしまうが、田舎暮らしに慣れればそれはそれで使い方の問題らしい。
この町で月に一度のペースで仕事をすることになった。友人たちのおかげで、楽しいお仕事になりそうだ。長く生きていると良いことがあるものだ。

駅の構内に(改札口のすぐ外に)鳥居ができていた。八百万の神様がいるのだから、そのうちの一柱がカツオの神様であっても不思議ではない。御神体はなんなのだろうと不思議だったが、まさかカツオの頭ではないだろうなどと不謹慎なことを考えてしまった。

かわうそのしんじょうくん

この久礼の隣町は、最後の日本カワウソが目撃された町で、今でも生き残っているだろうカワウソの復活を応援している。個人的にも、四国山地の山奥でカワウソはひっそりと生き延びていると信じたい。
そのかわうそキャラ「しんじょうくん」をあしらった土産物をこのコンビニで買ってきたが、なんだか食べて良いものか気になって仕方がない。
次回行った時には、もう少し大量に買い込み罪悪感なしで食べてみたいものだなあ。

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