駅弁

駅弁 たこめし

瀬戸内海に面する街は蛸の名所が多いようだ。タコ飯といえば明石で買った蛸壺入りの弁当を思い出すが、それ以外にもあちこちで各種さまざまなたこめし弁当がある。そのうちの一つを旅の帰りに調達した。紐で縛ってあるのがなんとも嬉しい、今ではすっかりみかけなくなった包装形態だが、いかにも弁当という感じがする。

しみじみと蓋を眺めていると、あれこれ気がつくことがある。瀬戸内名物たこめしなのだ。そして元祖を名乗っている。元祖珍辨 とあるからうまいに違いない。「辨」が読めないので調べてみたら「べん」という読み方だった。辨天(べんてん)などという使い方もあるので「弁」と同じなのだろう。珍弁と読み替えれば、珍しい弁当の意味になるようだ。 おまけに明治創業とあるから100年越えの老舗になる。期待は高いぞ。

蓋を開ければそこにはタコがいた。大好物のタコだけにテンションが上がる。甘辛く煮あげた蛸は期待吐通りのうまさだった。感動だ。
その上にエビが乗っているが、これはご愛嬌というか、すでにタコを拝んだ後ではおまけみたいなモノだ。なんと言ってもメインはタコ。
卵焼きと椎茸の煮物は華やか系駅弁では名脇役だ。崎陽軒のシウマイ弁当で言えば、たけのこに当たる名バイプレイヤーにあたる。崎陽軒のたけのこは、それだけ買いたいという人もいるくらいの人気者だが、このたこめしの椎茸も負けてはいない。
名脇役は、全面的に肉、全面的にあなごみたいなストロングスタイルの強面駅弁では登場しない。類似形態で言えば、横川の釜飯に乗っている椎茸がこれに近い。(あれも超絶にうまい)
たこめしにおいて、このしいたけの存在は、味に「やわらかさ」や「細かさ」を感じさせる。タケノコも良い味を出していた。蛸だし?で炊き上げたらしい飯をふくめ、全体には薄味の弁当だった。
どうも広島といえば牡蠣飯、あなご飯のような味付けの濃い弁当が記憶にあるせいで、勝手にたこめしも濃い味だと思い込んでいた。実際に食べてみると、蛸壺弁当より上品な味付けと認定するべきだろう。あの蛸壺の底から飯をかき込むのもなかなか趣があるが(スプーンが欲しくなる)、こちらのたこめしは列車旅の途中で、車窓の景色を眺めながら食べるのが似合っていると思った。まさに、駅弁らしい駅弁だ。


次はどこでタコ飯を試してみることができるだろう、ちゃんとしらべておかなければ。

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