
大通公園でのイベント、そばフェスは今年が初めての開催とのことだ。北海道は日本有数のそば産地だが、国産蕎麦はなかなかお値段が高いので、国産蕎麦粉を使った蕎麦はもはや高級品だ。北海道産蕎麦粉など滅多にお目にかかれるものではない。それをイベントでやってしまおうというのは、なかなかの心意気ではないか。
似たようなイベントとして長野県松本で行われる蕎麦祭りがある。今年で17回を迎えたようだ。松本城のある公園で全国各地の有名蕎麦処からも出店される賑やかなイベントで、コロナ前は毎年のように通っていた。蕎麦フェスも同じように長く続いて欲しいものだ。
10月下旬、新蕎麦の時期の開催は、北の街でもギリギリのタイミングだろう。この時期を過ぎると、外では蕎麦を食べる気が起きないほどに冷え込む。

この時期は一斉に紅葉が進む。一週間あれば街の彩りが変わるほどだ。ただ、今年はたまたま暖かい天候に恵まれたようで、大通公園を歩いていると軽く汗ばむくらいの気温だった。ただし、その3日後にはダウンを着て歩く人もいたので、気温が急激にアップダウンしていたのだけれども。

蕎麦を食べるにはチケットを買い、それぞれの産地が出しているブースで蕎麦を手にいれる。今年が第一回なので、どの店の蕎麦(どの産地の蕎麦)を選ぶかの情報が全くない。
記憶の中にある蕎麦の名産地といえば、幌加内、江丹別、新得(北海道的難読地名で、ほろかない、えたんべつ、しんとく)だが、そこからも出店されている。
蕎麦という料理は簡単そうで、実は蕎麦とツユの合わせが難しい。蕎麦はうまいがツユがね……………という店も多い。特にツユの味は絶対的な美味さというものが存在しないようだ。地域の好みで味が違っている。昆布出汁が強かったり、甘味が強かったり、あるいは塩味控えめであったりするので、地方によってはこれが蕎麦つゆなのかと思うほどの変化がある。だから、自分の好みを押し付けてもいけない。
個人的には、お江戸の蕎麦屋はやはり味が濃過ぎる気がする。味のバランスとしては「長野県中央部 松本付近」の蕎麦とツユの組み合わせが良いと思うのだが、それも個人差というものだろう。経験的に北海道ではツユに特徴がある蕎麦店・地域は少ないように思う。

この時期なので、テントは風除けの覆いがあり、なんと室内には石油ストーブが設置されている。耐寒設備としてよく考えられているとも思うが、なんだか避難小屋での緊急食堂みたいだなとちょっとおかしくなった。
全体的に働いているスタッフがほぼ全員、若い方だったのも意外だった。偉そなおっさんもいないし、確かに蕎麦祭りというよりそばフェスという言葉が似合っているスタッフだった。


蕎麦と酒がセットで売られているので、蕎麦以外にも酒のつまみ対応の出店があるのが嬉しい。ただ、夕方からここに来て酒を飲むのは、相当に防寒対策をしたとしても覚悟がいる。おそらく震えながら蕎麦をたぐった後、暖房の効いた居酒屋に逃げ込んで二次会ということになるのだろう。まあ、それも北国の「寒い」秋の楽しみ方というものか。
個人的には、夏の公園ビアガーデンよりも楽しみ甲斐があ流と思うけれどね。